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後編
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あの後アイウアーはミリーと婚約した。
そして結婚。
そこまではあっという間、順調な進展であった。
しかし結婚から二ヶ月も経たずにアイウアーはミリーに高圧的に出られるようになってしまったようで、ある晩彼は急に私のところへやって来る。
「何なんだよあの女! 威張り散らすじゃないか! お前より低級女だよ、あれは!」
「そうですね」
彼が言うには、ここのところ毎日のように「出来損ない」「脳力低すぎ」などとののしられているそうだ。
「今からでもいい! もう一度俺とやり直してくれ!」
「それは、お断りしますね」
「なっ……何でだよ!? どうしてそんな!?」
「何で? 貴方は自分でミリーを選んだのではないですか。その穴埋めをする義務は私にはありません」
だが可哀想とは思わない。
そんな女を選んだのは他の誰でもないアイウアー自身。
それゆえどうなろうとも自業自得である。
「私のところへは二度と来ないでください」
都合が悪くなったら急にこちらへ寄ってくるなど愚かの極み。
「さようなら。永遠に」
◆
婚約破棄から三年が経った。
「結婚は諦めかけていたのですが……貴女のような美しく清らかな女性と結ばれることができて嬉しいです」
「い、いえ、私など」
「そのように仰る必要はないのです。素晴らしい貴女なのですから。堂々としていてください、その時の姿が何よりも一番美しいものなのですよ」
私は今日結婚した。
相手は広大な領地を持つ領主の子息。
急遽結婚することになって忙しくなったミリーの代わりに参加した催し物にて出会った。
彼のおかげで式も華やかなものになったし、これからも未来にも希望を持てそうだ。
「……ありがとうございます」
「ありのままで良いのです、その姿に惚れたのですから」
ちなみにアイウアーとミリーはというと。
ある日の晩、夫婦喧嘩がエスカレートして暴力事件にまで発展したそうだ。
アイウアーはほうきで頭を殴られ過ぎて死亡。
ミリーは人殺しとして拘束され今は強制労働させられているそう。
どうやら二人に幸せな未来はなかったようだ。
でもそれもそうだろう。
他者を巻き込み傷つけておいて幸せになんてなれるはずがない。
◆終わり◆
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