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3話
しおりを挟む「何ですか? まだ何か話が?」
「本気で言ってるのか!? 婚約破棄とか……ま、まぁ、それはこちらとしても助かるけど……援助は続けてくれるんだよな!?」
「はい? 打ち切りますけど何か」
「嘘だろ……」
「既に親とも話し合っていますから。援助は打ち切り、今までの援助分も時間がかかったとしてもすべて返済していただきます」
アドレーは青ざめてゆく。
「や、やめてくれ! それだけは! 頼む、親に怒られる!」
今さら焦ってももう遅い。
「知りませんよ、貴方がどうなるかなんてどうでもいいことです」
「婚約した仲だろ!?」
「何ですかそれ。都合のいい時だけそんな風に言わないでください。ダサい女は嫌なのでしょう? 良かったではないですか私と離れられて」
「ちっ、違うんだっ、それはっ……」
「一度言ったことは消せないものなのですよ」
人を傷つける可能性があるようなことを言った事実は決して消えない。
「お、お願いしますっ、許して! 許してください! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ、ごめんなさいっ、ごめんなさい、本当にっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
謝っても無駄だ。
もう手遅れ。
「謝罪は結構です、さようなら」
こうして婚約は破棄に。
そして彼の家への援助も打ち切りとなった。
その後アドレーはというと。
両親から身勝手過ぎる行動を酷く叱られ、そのことに耐え切れなくなって暴れ二人を撲殺。
結果、返済しなくてはならない金のみならず親殺しの罪までも背負うこととなってしまったようだ。
彼は社会的に完全に終わった。
今や彼は罪人。当然人権もなく、これからずっと長く痛い目に遭わされ続けることだろう。つまり、絶望。彼の人生に明るい未来はない。だがそれは外の誰のせいでもなく、確かに、彼の行いのせいなのである。
自業自得というやつだ。
一方私はというと、同じような家柄の青年と結婚し幸せになれた。
結婚一年目。
夫婦仲は良好そのもの。
私たちの行く道の先には、光も希望も確かに存在する。
ちなみに、最近のブームは、夫婦で庭園を見に行くことだ。
これはとても楽しい。
元々は夫の趣味だったのだが誘われて同行しているうちに私もすっかりはまってしまったのである。
今ではすっかり共通の趣味に。
そして、庭園へ行くことが、二人の大好きなこととなっている。
◆終わり◆
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