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前編
しおりを挟む猫が好きだった。
いつも可愛がっていた――うちで飼っている子も、町を自由に歩いている子も、すべて。
でも、後に、それによって私の人生は変わってしまったのだ。
「リーフェ、また猫と遊んでいたようだな」
「え?」
「野良猫とまで遊んでいるそうじゃないか」
「あ……はい、少し。町猫と呼ばれている皆のアイドルですよ。もちろん、増え過ぎないようにきちんと処置がされています」
猫くらいで、と、皆思うだろう。
私だってそう思っていた。
そのような小さなことが、運命を変える引き金となるなんて――。
「何だろうが猫は猫、あんな気味の悪い生き物とつるむ女なぞ理解不能だ」
「そうですか? 可愛いですよ」
「馬鹿を言うな!! 猫なんぞ怪物の末裔だぞ? あのようなどこまでも恐ろしく汚らわしい獣を可愛いなど! そのような言い方、話にならんわ!!」
婚約者ルリエフは激怒する。
まさかの反応だった。猫を可愛いと言っただけでここまで怒られるなんて、火山噴火のような激怒に見舞われるなんて。想像の域を遥かに超えている。もはや自然災害と言っても不自然でないくらいの展開である。
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