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前編
しおりを挟む「貴様! ルリイアに手を出したんだってな! ビンタまでしたとか……なんてことをするんだ、最低女!」
婚約者で王子でもあるアフォガーオからいきなりそんなことを言われたのは平凡な昼下がりであった。
ちなみにルリイアというのは最近アフォガーオについてまわっている女の名である。
彼女の存在には薄々不安感を抱いていたのだが。
「え、な、何ですか!?」
ついにこんな日が来てしまった。
嬉しくない予感は当たった。
「とぼけるな!」
アフォガーオは完全に彼女の味方をしている。
おかしな話だ。
こちらは何もしていないのにこんなことを言われるなんて。
恐らくすべてはルリイアがついた嘘のせいだろう。
「ええっ……、とぼけているのではありません! 本当に心当たりがないんです!」
「だとしてもルリイアがそう言っているのだからそうなのだろう!」
「えええ!! それはさすがに滅茶苦茶な理論過ぎます!!」
「うるさい! 女のくせに口ごたえなんぞするな! 馬鹿が!」
「えええ……」
「とにかく、そんな悪女と付き合っていく気は一切ない! よって、婚約は破棄とする!!」
こうして私は理不尽に捨てられたのだった。
◆
あの後アフォガーオとルリイアは結婚したそうだ。
しかしルリイアの周囲からの評判は最悪で。
あっという間に二人は城内で孤立していったらしい。
そして、そんな中迎えたある日、ルリイアは何者かに暗殺されたそうだ。
それによってアフォガーオは絶望。
愛する人を失った悲しみで彼はまともな情緒を失ってしまったらしくて、彼は最低限の言葉を発することさえできない状態となってしまったらしい。
王子が壊れた。
それはつまり国の未来が壊れたということでもある。
――ルリイアによってすべてが壊されたのだ。
国王夫妻も、親戚も、城内で働いている人たちも。
皆残念がっていた。
それは分かる。
そういうものだろう。
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