異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても幸せになることはできます~

四季

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婚約破棄後、彼はあっさり……。〜亡くなってしまっては意味がありません〜

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「君との婚約は破棄とする」

 婚約者ローンバはある日突然そんなことを言ってきた。

 彼は凍りつくような冷たい目をして「これまで検討してきたが君は僕には相応しくない」とか「君はハイクオリティな乙女ではない。それゆえ僕の横に立つには色々足りないんだ。少しくらいは自覚があるだろう?」とか心ない言葉を投げつけてきて。

 そうして二人の関係は終わってしまったのだった。

 ――数週間後、ローンバはこの世を去った。

 ローンバはその日栗を集めるため山へ出掛けていたそうなのだが、そこで毒のある虫に襲われ刺されて倒れ、その結果この世を去ることとなってしまったようだ。

 あまりにも呆気ない最期だった。

 あんなに偉そうなことを言っていたのに。
 あんなに他者を見下していたのに。
 彼には華やかな明るい未来などありはしなかった。

 結局、人間なんて、死んでしまえばそこまでだ。

 もちろん死後も功績は残る。
 だがそれは功績があればの話だろう。

 周りを見下し威張り散らしていただけの人が遺せるものなんて何もない。

 ……彼のような人間がこの世界に遺せるものなんてありはしなかったのだ。


◆終わり◆
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