異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても幸せになることはできます~

四季

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婚約するまで良い人だった彼から婚約破棄を告げられました。〜おかげで幸せを手に入れられました〜

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 婚約するまで、彼は良い人だった。

 会うたびに笑顔で接してくれる。
 素敵な贈り物もくれて。
 柔らかな笑みを浮かべながら話を聞いてくれて、また、何度でも好意を言葉にして表現してくれていた。

 ……そんな彼だから好きになった、のに。

「君にはもう飽きたんだよ」
「え」
「だから、婚約破棄することにしたよ」

 婚約してから冷たくなった彼ザンガスは、婚約から三ヶ月も経たないうちに、そんなことを言ってきた。

「何を、言って……」
「いやだから婚約破棄」
「ちょ……ちょっと、ちょっと待ってちょうだい! おかしいじゃない! いきなりすぎるわ」
「だとしても決めたことは決めたこと。そういうことだよ。だからもう決まったんだ。君とはおしまい、ね? さよなら」

 こうして私たちの関係は終わりを迎えたのだった。


 ◆


 あれから三年。

 今はあの時ザンガスと結婚しなくて良かったと心から思うことができている。
 そして彼に感謝してもいる。
 なぜなら彼が私を切り捨ててくれたから今の夫と巡り会え結婚するに至れたから。

 夫は資産家の息子で自身も事業を営んでいる人。経済的に豊か。それでいて人間性も悪くない。思いやりがある人だし、他者に寄り添える人。そして妻となった私のことも常に気にかけてくれている。

 そんな良き人と出会えたのも、ザンガスが私を捨ててくれたから。

 そう考えるとザンガスには感謝しかない。

 ちなみにザンガスはというと、あの後一度結婚するも勝手なことをしすぎたために関係は壊れ離婚となったそうだ。そして、その後、結婚相手だった女性に悪評を広められて。そのことに苦しみ、やがて自ら死を選んだのだとか。

 死を選ぶことになったこと自体は悲しいことだ。
 だが自業自得の要素も強い。
 すべては彼の行いが招いたこと、それゆえ、単なる気の毒な話とは少し異なっている。


◆終わり◆
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感想 3

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