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前編
しおりを挟む「お姉様のこと、大好きよ! 誰より尊敬しているわ!」
妹ルミエラはいつもそう言ってくれていた。
穢れのない、純粋な笑み。
それが何よりも愛おしくて好きだった。
なのに――。
「ミリア、悪いが、君との婚約は破棄とさせてもらう。理由は一つ、君の妹さんに惚れてしまったから、それだけだ」
ルミエラは私が知らないところで私の婚約者オーディンと関わりを持っていた。
「ルミエラ……どうして、こんな……」
「何よ! お姉様! あたしに責任を押し付けでもするつもり?」
「どうして婚約者を奪うような真似を」
「奪う? 馬鹿ね! お姉様よりあたしの方が可愛くて魅力的だった、それだけのことじゃない!」
この時になって、ルミエラの本性を初めて知ることとなった。
「やっぱお姉様は馬鹿ね。ま、前からそう思っていたけれど」
「何を、言って……」
「だってそうでしょ? 大好きとか尊敬してるとかちょっと言ってればあたしのために動いてくれる馬鹿な姉だーってずっと思ってたの」
「そんな……ルミエラ……」
「ま、いいわ! お姉様との関わりはここまで! じゃあね、お馬鹿な残念お姉様」
こうして私は、大好きだった妹も婚約者も、同時に失うこととなった。
ルミエラの言葉を信じていた私は馬鹿だったのか……。
彼女の言葉だからこそそのままの意味で理解していたのに……。
それからしばらくは立ち直れなかった。
でもいつかは徐々に回復して。
徐々に立ち直る方向へと向かってゆくのだ。
時間はかかってしまうけれど――。
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