父の再婚相手は最低でした。しかし私が家からいなくなった途端に弱り自ら滅んでゆきました。

前編

　私は昔、父の再婚相手マドレッドから虐められていた。

　彼女は前妻の血を引く私をひたすらに嫌っていて、父の手前追い出しはしなかったものの徹底的に虐めてきていた。特に、父がいない時を狙って。私が嫌がることを敢えて選んでしてきたり、汚れる仕事ばかりを押し付けて自分がやったことにしたり。とにかく何でもあり、彼女は驚くくらい残酷な人だった。

　さらに、マドレッドは、ようやくできた私の婚約者にあれこれ嘘を吹き込んで私が婚約破棄されるように仕組んだりもして。

　とにかくただひたすらに私の人生を壊そうとしていた。
　彼女の執着はそこに偏っていて。
　私の人生を台無しにすること、それがまるで彼女の存在意義であるかのようだった。

　だが、ある時、私は王子カミューンに見初められた。

　マドレッドはやはりカミューンに対してもあれこれ嘘を言っていた。私が嫌われるように、である。しかしカミューンは落ち着いていて、嘘などに流されはしなくて。最終的には「自分で確かめます」と言い放ってくれたほどで。彼はマドレッドの言葉より私のことを信じてくれた。

　その後めでたく私は王子カミューンと結婚。

　家を出て、彼のいる城に移り住むこととなる。

　こうしてマドレッドとの同居時代は終わった。
　地獄はようやく終焉へ。
　私は長かった苦しみの日々から解放されたのだった。