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2話
しおりを挟む「掃除できてない! 早くやり直しなさい!」
「お母様、それは先ほど掃除の後にあの子が泥を撒いて……」
「だとしても汚いものは汚い! 早く綺麗にしてちょうだい!」
「あの子にも何か言ってください」
「はぁ!? 可愛いあの子に言うことなんてないわよ! あんたがしっかりこまめに掃除していればいいだけの話でしょう!? いちいち妹のせいにしないの! 最低な姉ね」
雑用はほぼすべて押し付けられ。
そんな毎日は苦痛でしかなかった。
――だがある時すべてが変わった。
「ずっと苦労されてきたのですね。ですがもう大丈夫、僕が貴女を地獄から救ってみせます」
ある茶会にてたまたま出会った資産家の男性に見初められたのだ。
「お母様、私は向こうへ行きます。……さようなら」
私は彼と共に生きる道を選んだ。
たとえ罠が仕掛けられていたとしてもここに居続けるよりはましだろうと思ったから。
「ちょっと! 何を言っているの!? あんたには自由になる権利なんて――」
「彼が私を引き取ってくれるのですよ」
「あんたはここにいればいいのよ! ずっと! 家族のために尽くしなさい!」
「もう嫌です」
母は引き留めようとしてきたが私は家から去った。
きっともうあそこへ戻ることはない。
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