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5話「彼の本当の姿は」
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やがて、ローテは白色のドラゴンへと変化した。
白銀の鱗に包まれた細長い身体、二本の小さめの前脚、柔らかく繊細な羽根の生えた尻尾。
「これが……ローテの本当の姿?」
「そうだよ」
白色のドラゴンの姿になっても声はローテのそれと大差ない。
声帯の構造だって違うだろうに、不思議なことだ。
「驚いた?」
ローテは驚かれることを楽しんでいるかのような雰囲気でくすくすと笑い声を漏らしている。何やらとても楽しそうだ。今は機嫌が良いらしい。
この感じだと、腹部の怪我もどうということはなさそうだ。
そこはホッとできる部分だ。
「ううん、そうでもないわ。貴方って普通の人とは少し違った感じだったもの」
「何となくは予想できた?」
「えぇ。……でもまさかドラゴンだとは。ドラゴンなんて初めて会ったわ」
この世界に生まれ落ちて十年以上が経過しているけれど、本物のドラゴンなんて見たことがなかった。おとぎ話の中に出てくる空想上の存在、くらいにしか思っていなかったのだ。
でも今はその存在を信じずにはいられない。
だって、こうして目の前に、どこからどう見てもドラゴンな存在がいるのだから。
存在しないと思っていた生物との遭遇に、驚きと喜びが入り混じる。何とも言えぬ複雑な心境ではあるけれど、それは決して重苦しいものではない。さりげない心地よさを感じる、妙な感覚だ。上手く掴めないけれど嫌なものではない。
「僕はドラゴンの中では小さい方だよ。こう見えて、まだ未熟者だからね」
そう言って、ローテは人間の姿に戻った。
側面の髪が乱れたことが気になったのか、片手でさりげなく直している。
「これで納得してもらえたかな」
「えぇ、納得したわ」
「じゃあもう帰る? さっきのところまで送っていくよ」
その言葉を耳にした瞬間、胸に痛みが走った。
あぁ、どうして。離れたくない、と、強く思ってしまう。特別な存在でも何でもないはずなのに、こんなことを思う資格は私にはないのに、その感情を消してしまうことはできない。
「……もしかして、まだ帰りたくない?」
「えっ」
まただ。心を読まれるのは初めてじゃない。二度も奇跡が起こるはずがないから、多分、彼の能力か何かによるものなのだろう。そうでなければすべてがおかしい。
「他人の心を読めるのね」
「当たりみたいだね」
「えぇ。私は帰りたくないと思っている、けど、無理を言う気もないわ」
「もう少しここにいてもいいよ?」
何のつもりかは分からない。が、その優しさに縋りつきたくなってしまう。一応甘えるのは良くないと思ってはいるのだけれど。でも、どうしても、甘えたい衝動に駆られてしまうのだ。
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
結局私はもう少しここにいさせてもらうことにした。
白銀の鱗に包まれた細長い身体、二本の小さめの前脚、柔らかく繊細な羽根の生えた尻尾。
「これが……ローテの本当の姿?」
「そうだよ」
白色のドラゴンの姿になっても声はローテのそれと大差ない。
声帯の構造だって違うだろうに、不思議なことだ。
「驚いた?」
ローテは驚かれることを楽しんでいるかのような雰囲気でくすくすと笑い声を漏らしている。何やらとても楽しそうだ。今は機嫌が良いらしい。
この感じだと、腹部の怪我もどうということはなさそうだ。
そこはホッとできる部分だ。
「ううん、そうでもないわ。貴方って普通の人とは少し違った感じだったもの」
「何となくは予想できた?」
「えぇ。……でもまさかドラゴンだとは。ドラゴンなんて初めて会ったわ」
この世界に生まれ落ちて十年以上が経過しているけれど、本物のドラゴンなんて見たことがなかった。おとぎ話の中に出てくる空想上の存在、くらいにしか思っていなかったのだ。
でも今はその存在を信じずにはいられない。
だって、こうして目の前に、どこからどう見てもドラゴンな存在がいるのだから。
存在しないと思っていた生物との遭遇に、驚きと喜びが入り混じる。何とも言えぬ複雑な心境ではあるけれど、それは決して重苦しいものではない。さりげない心地よさを感じる、妙な感覚だ。上手く掴めないけれど嫌なものではない。
「僕はドラゴンの中では小さい方だよ。こう見えて、まだ未熟者だからね」
そう言って、ローテは人間の姿に戻った。
側面の髪が乱れたことが気になったのか、片手でさりげなく直している。
「これで納得してもらえたかな」
「えぇ、納得したわ」
「じゃあもう帰る? さっきのところまで送っていくよ」
その言葉を耳にした瞬間、胸に痛みが走った。
あぁ、どうして。離れたくない、と、強く思ってしまう。特別な存在でも何でもないはずなのに、こんなことを思う資格は私にはないのに、その感情を消してしまうことはできない。
「……もしかして、まだ帰りたくない?」
「えっ」
まただ。心を読まれるのは初めてじゃない。二度も奇跡が起こるはずがないから、多分、彼の能力か何かによるものなのだろう。そうでなければすべてがおかしい。
「他人の心を読めるのね」
「当たりみたいだね」
「えぇ。私は帰りたくないと思っている、けど、無理を言う気もないわ」
「もう少しここにいてもいいよ?」
何のつもりかは分からない。が、その優しさに縋りつきたくなってしまう。一応甘えるのは良くないと思ってはいるのだけれど。でも、どうしても、甘えたい衝動に駆られてしまうのだ。
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
結局私はもう少しここにいさせてもらうことにした。
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