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6話「話を聞いてくれる彼」
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私はローテに婚約破棄のことを話した。
彼は静かに聞いてくれた。
最初はこんなことを話すつもりではいなかったのだ。だがいつしか打ち明けてしまっていた。凝った理由なんてありはしない。ただ何となく話したくなっただけである。
「それはまぁ災難だったね。ま、ラッキーだったとも言えるかもしれないけど」
ローテの言葉はしっくりくるものだった。
婚約がなくなってしまったことは辛いけれど、結婚してずっと経ってから打ち明けられて悲しむことになるくらいなら、早いうちにこうなった方が良かったとは思う。
「こんなつまらないこと……聞かせてごめんなさい」
「べつにいいよ。ただ聞くだけだし」
「そうね。でもとてもありがたいわ。聞いてもらえるだけでも気分が違うの」
自分の複雑な事情を今日出会ったばかりの人に話すのはおかしな行動かもしれない。が、明かしてはならないということはないはずだ。それに彼は人間ではない、勝手に噂を広めたりはしないだろう。ローテにはそんな悪質さはなさそうだ。
「すっきりしたわ。ありがとう。じゃあそろそろ帰るわね」
「もういいのかい?」
「えぇ、もう平気よ」
私はローテに最初に出会った場所まで連れていってもらった。そして、その場所で別れを告げる。密かに寂しさを感じていると、彼は「またきっと会えるよ」と微笑んでくれた。
またしても心を読まれてしまったみたいだ。
もっとも、私が分かりやすい人間なだけかもしれないが。
その後、私は実家へと帰る。
私が行方不明になってしまったと思っていた両親は涙目になりながら迎えてくれて、ほんの少しだけ嬉しさを感じた。
こんなことを言うと病み気味と思われてしまうかもしれないが、両親が私のために涙を浮かべてくれていることが嬉しかった。特別な扱いを受けているように感じられるから。私は必要なのだと思うことができた。
だが、そんな風に迎えられたのも最初だけ。
家の中での私の扱いは日に日に悪くなっていく。
結局私は必要とされてはいなかったのかもしれない。多分、いなくなれば寂しいがいつもいたらどうでもいい、という程度の存在なのだろう。でも仕方のないことなのかもしれない。私は特技も特殊能力も持たない凡人だから。必要としてくれという方が無茶な話だ。
憂鬱な日々が続いていた、ある雨の日。
家を抜け出して散歩をしていると、遥か上空から何か風が動くような音が聞こえてきた気がした。何事かと思い視線を空へ向ける。すると白っぽい光が散っている謎の物体が見えてきた。
やがてそれは近づいてくる。
そして気づくのだ、その謎の物体がローテであると。
「ローテ!?」
白銀のドラゴンはしゅるしゅると流れるように近づいてくる。
あっという間に地表に降り立った。
「やぁ、久しぶり」
「やっぱり! ローテね!」
見間違いではなかった。ドラゴンは確かにローテだったのだ。知り合いの思わぬ登場に、暗かった胸の内が一気に明るくなる。喜びの光が降り注ぐような。
彼は静かに聞いてくれた。
最初はこんなことを話すつもりではいなかったのだ。だがいつしか打ち明けてしまっていた。凝った理由なんてありはしない。ただ何となく話したくなっただけである。
「それはまぁ災難だったね。ま、ラッキーだったとも言えるかもしれないけど」
ローテの言葉はしっくりくるものだった。
婚約がなくなってしまったことは辛いけれど、結婚してずっと経ってから打ち明けられて悲しむことになるくらいなら、早いうちにこうなった方が良かったとは思う。
「こんなつまらないこと……聞かせてごめんなさい」
「べつにいいよ。ただ聞くだけだし」
「そうね。でもとてもありがたいわ。聞いてもらえるだけでも気分が違うの」
自分の複雑な事情を今日出会ったばかりの人に話すのはおかしな行動かもしれない。が、明かしてはならないということはないはずだ。それに彼は人間ではない、勝手に噂を広めたりはしないだろう。ローテにはそんな悪質さはなさそうだ。
「すっきりしたわ。ありがとう。じゃあそろそろ帰るわね」
「もういいのかい?」
「えぇ、もう平気よ」
私はローテに最初に出会った場所まで連れていってもらった。そして、その場所で別れを告げる。密かに寂しさを感じていると、彼は「またきっと会えるよ」と微笑んでくれた。
またしても心を読まれてしまったみたいだ。
もっとも、私が分かりやすい人間なだけかもしれないが。
その後、私は実家へと帰る。
私が行方不明になってしまったと思っていた両親は涙目になりながら迎えてくれて、ほんの少しだけ嬉しさを感じた。
こんなことを言うと病み気味と思われてしまうかもしれないが、両親が私のために涙を浮かべてくれていることが嬉しかった。特別な扱いを受けているように感じられるから。私は必要なのだと思うことができた。
だが、そんな風に迎えられたのも最初だけ。
家の中での私の扱いは日に日に悪くなっていく。
結局私は必要とされてはいなかったのかもしれない。多分、いなくなれば寂しいがいつもいたらどうでもいい、という程度の存在なのだろう。でも仕方のないことなのかもしれない。私は特技も特殊能力も持たない凡人だから。必要としてくれという方が無茶な話だ。
憂鬱な日々が続いていた、ある雨の日。
家を抜け出して散歩をしていると、遥か上空から何か風が動くような音が聞こえてきた気がした。何事かと思い視線を空へ向ける。すると白っぽい光が散っている謎の物体が見えてきた。
やがてそれは近づいてくる。
そして気づくのだ、その謎の物体がローテであると。
「ローテ!?」
白銀のドラゴンはしゅるしゅると流れるように近づいてくる。
あっという間に地表に降り立った。
「やぁ、久しぶり」
「やっぱり! ローテね!」
見間違いではなかった。ドラゴンは確かにローテだったのだ。知り合いの思わぬ登場に、暗かった胸の内が一気に明るくなる。喜びの光が降り注ぐような。
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