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7話「生の実感が湧いた」
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「偶然だね、こんなところでまた出会うなんて」
「そうね。でもとても嬉しいわ」
こんな偶然があるものだろうか。雨の中、こんな風に再会するなんて。まるで夢でもみているかのようだ。
「どこかへ出掛けでもするかい?」
「でもこの雨よ」
川の水がすべてを押し流すなんてことを起こしてしまうほどの大雨ではない。が、小雨とはとても言い難い。こんな雨の中を動き回ったら、身体が濡れてしまうだろう。もっとも、ドラゴンであるローテにとっては大きなことではないみたいだけれど。
「大丈夫だよ。雨が降っていないところへ行けばいいんだ」
「飛んで?」
「そうだね。背中に乗るといいよ」
ドラゴンの姿のままのローテはそんなことを言いながらくすくすと笑う。
「手当てしてもらった恩があるから、乗せてあげるよ」
「……じゃあお願い。乗せてちょうだい。そして……私をどこかへ連れて行って」
「いいよ」
私は恐る恐るローテに近づく。そしてその背中の辺りにまたがろうと片足を持ち上げた。その際うっかりバランスを崩し、持ち上げていた足でローテの表皮を踏みつけてしまう。その時はさすがに「痛いよ!」と怒られた。が、それでも彼は私を乗せてくれた。
ドラゴンに乗るなんて初めての経験。
馬やロバには乗ったことがあるけれど、それらとは感覚が違う。
「落ちないように背中をしっかり掴んでいてね」
「痛かったらごめんなさい……」
「持てた? 痛かったら言うから遠慮しなくていいよ」
そう言われても、慣れていないことをするのは難しいものだ。
背中を掴む。それたけのことでも、力加減やら何やらが難しく、どうしても緊張してしまう。また、その緊張が身体を硬くして、ますます自然な動きができなくなってしまうのだ。
「高度を上げるよ」
「分かったわ!」
「しっかり掴まって。怖かったら下は見ないように」
「そうするわ」
生き物に乗って陸を歩いた経験はあっても空を飛んだ経験はない。
下を見たら怖くなりそうなので、ただひたすらに前だけを見つめていようと思う。
ローテの幻想的な身体はいつしかふわりと宙に浮く。そして、みるみるうちに高度が上がっていった。体感したことのない風が髪を激しく揺らし、しかしそれに慌てている暇もない。
気づけば私は大空の中にいた。
頬を撫でる風、冷たい空気、すべてが地上とは違っている。そして、視界に入るものもまた、これまで生きてきた中でのそれとはまったくもって異なっていた。遥か下に在る街、人の世があり得ないくらい小さく見える。
あぁ、私は生きている……。
なぜだか分からないけれど、奇妙に感じるほど生の実感が湧いた。
「そうね。でもとても嬉しいわ」
こんな偶然があるものだろうか。雨の中、こんな風に再会するなんて。まるで夢でもみているかのようだ。
「どこかへ出掛けでもするかい?」
「でもこの雨よ」
川の水がすべてを押し流すなんてことを起こしてしまうほどの大雨ではない。が、小雨とはとても言い難い。こんな雨の中を動き回ったら、身体が濡れてしまうだろう。もっとも、ドラゴンであるローテにとっては大きなことではないみたいだけれど。
「大丈夫だよ。雨が降っていないところへ行けばいいんだ」
「飛んで?」
「そうだね。背中に乗るといいよ」
ドラゴンの姿のままのローテはそんなことを言いながらくすくすと笑う。
「手当てしてもらった恩があるから、乗せてあげるよ」
「……じゃあお願い。乗せてちょうだい。そして……私をどこかへ連れて行って」
「いいよ」
私は恐る恐るローテに近づく。そしてその背中の辺りにまたがろうと片足を持ち上げた。その際うっかりバランスを崩し、持ち上げていた足でローテの表皮を踏みつけてしまう。その時はさすがに「痛いよ!」と怒られた。が、それでも彼は私を乗せてくれた。
ドラゴンに乗るなんて初めての経験。
馬やロバには乗ったことがあるけれど、それらとは感覚が違う。
「落ちないように背中をしっかり掴んでいてね」
「痛かったらごめんなさい……」
「持てた? 痛かったら言うから遠慮しなくていいよ」
そう言われても、慣れていないことをするのは難しいものだ。
背中を掴む。それたけのことでも、力加減やら何やらが難しく、どうしても緊張してしまう。また、その緊張が身体を硬くして、ますます自然な動きができなくなってしまうのだ。
「高度を上げるよ」
「分かったわ!」
「しっかり掴まって。怖かったら下は見ないように」
「そうするわ」
生き物に乗って陸を歩いた経験はあっても空を飛んだ経験はない。
下を見たら怖くなりそうなので、ただひたすらに前だけを見つめていようと思う。
ローテの幻想的な身体はいつしかふわりと宙に浮く。そして、みるみるうちに高度が上がっていった。体感したことのない風が髪を激しく揺らし、しかしそれに慌てている暇もない。
気づけば私は大空の中にいた。
頬を撫でる風、冷たい空気、すべてが地上とは違っている。そして、視界に入るものもまた、これまで生きてきた中でのそれとはまったくもって異なっていた。遥か下に在る街、人の世があり得ないくらい小さく見える。
あぁ、私は生きている……。
なぜだか分からないけれど、奇妙に感じるほど生の実感が湧いた。
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