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嫌がらせばかりしてきていた女性も、その嘘を信じ婚約破棄してきた王子も、その後災難に見舞われて不幸になったようです。(前編)
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王子ガルクと婚約した私は、城にやたらと出入りしている彼の幼馴染みだと聞く女性ロメアからやたらと嫌がらせを受けてきた。
なのに――。
「お前、ロメアに意地悪をしていたそうじゃないか」
ある日突然ガルクからそんなことを言われてしまって。
「意地悪? 私が? していませんよ、そんなこと」
「嘘をつくな」
「どうしてそのようなことを言われなくてはならないのですか」
「お前が悪行を重ねてきたからだろう!」
えええー……、としか言えそうにない。
もっとも、実際にはそれすら発せない状況なのだが。
「どなたがそのようなことを?」
「ロメアだ!」
「ええっ」
「本人が俺に相談してきたんだ。実はずっと意地悪されていた、と」
「それは多分勘違いかと」
「……何だと?」
「だって私、あの方に意地悪なんてしていません。というより、私は意地悪されていた側です」
迷惑を被ってきたのは私の方だ。
それを逆みたく言うなんてロメアはどこまでも悪女である。
……ま、それも彼女の策であり嫌がらせなのかもしれないが。
彼女は私のことを良く思っていないようだった。それゆえこういう私を貶めるような嘘をついたとしても不自然ではない。考えられる範囲の行動だ。
「取り敢えず、ロメアに謝れ」
「いいえ」
「……何だと?」
「私おかしていない罪を受け入れ謝罪するなど、そのようなことは絶対にしません」
「はぁ!?」
「当然でしょう。己の名誉にかかわることです。たとえ貴方に指示されたとしても、妥協してできることとできないことがあります」
虐められてきたのに虐めた側にされるなんて絶対にごめんだ。
「私はロメアさんに何もしていません」
ここは退けない。
たとえ辛くとも心ないことを言われようとも。
「それは、絶対です」
その後聞き取り調査が行われた。
対象は侍女や城内で活動している者たちであった。
で、その調査において、結構な数私の味方をするような証言が挙がってくる。
中にはむしろロメアが虐めていたと証言してくれた者もいたようだ――ただ、そういう人たちは、難癖つけられて次々解雇されてしまったようだが。
「お前との婚約は破棄とする」
調査を経てもなお、ガルクの思い込みは変わらず。
「謝罪もしない悪女! 二度と俺の前に現れるな!」
ガルクは別れしなそんな言葉を吐き捨ててきたのであった。
こうして私は城から追放された。
ただ。
でもまぁ良かったのかな、なんて、段々そう思えてきた。
だってこれでもうロメアから虐められなくて済む。
嫌な思いをする必要はなくなる。
そういう意味では解放ともいえる。
嘘によって城から追い出されたのは悲しいことだけれど、逆に、良い側面もないわけではないのだ。
◆
追放され、実家のある田舎町へ戻った。
その数日後王都で大災害が発生。
突如海からあがってきた魔獣の群れによる襲撃だ。
それによって王都は滅茶苦茶になってしまった。
「聞いた? 王都はもう駄目みたいよ」
「ええっ……」
「今のところここはまだ大丈夫そうだけれど……でも、ちょっと、心配ではあるわね」
「まぁここ国の端っこだしなぁ、大丈夫だろ、きっと助かる」
「最悪隣国に逃げりゃいいしな」
私がいる田舎町はまだ平和そのもの。
ただその事件に関する話題でもちきりではある。
位置的にかなり離れているといっても、一応皆事件のことを気にしてはいるのだ。
なのに――。
「お前、ロメアに意地悪をしていたそうじゃないか」
ある日突然ガルクからそんなことを言われてしまって。
「意地悪? 私が? していませんよ、そんなこと」
「嘘をつくな」
「どうしてそのようなことを言われなくてはならないのですか」
「お前が悪行を重ねてきたからだろう!」
えええー……、としか言えそうにない。
もっとも、実際にはそれすら発せない状況なのだが。
「どなたがそのようなことを?」
「ロメアだ!」
「ええっ」
「本人が俺に相談してきたんだ。実はずっと意地悪されていた、と」
「それは多分勘違いかと」
「……何だと?」
「だって私、あの方に意地悪なんてしていません。というより、私は意地悪されていた側です」
迷惑を被ってきたのは私の方だ。
それを逆みたく言うなんてロメアはどこまでも悪女である。
……ま、それも彼女の策であり嫌がらせなのかもしれないが。
彼女は私のことを良く思っていないようだった。それゆえこういう私を貶めるような嘘をついたとしても不自然ではない。考えられる範囲の行動だ。
「取り敢えず、ロメアに謝れ」
「いいえ」
「……何だと?」
「私おかしていない罪を受け入れ謝罪するなど、そのようなことは絶対にしません」
「はぁ!?」
「当然でしょう。己の名誉にかかわることです。たとえ貴方に指示されたとしても、妥協してできることとできないことがあります」
虐められてきたのに虐めた側にされるなんて絶対にごめんだ。
「私はロメアさんに何もしていません」
ここは退けない。
たとえ辛くとも心ないことを言われようとも。
「それは、絶対です」
その後聞き取り調査が行われた。
対象は侍女や城内で活動している者たちであった。
で、その調査において、結構な数私の味方をするような証言が挙がってくる。
中にはむしろロメアが虐めていたと証言してくれた者もいたようだ――ただ、そういう人たちは、難癖つけられて次々解雇されてしまったようだが。
「お前との婚約は破棄とする」
調査を経てもなお、ガルクの思い込みは変わらず。
「謝罪もしない悪女! 二度と俺の前に現れるな!」
ガルクは別れしなそんな言葉を吐き捨ててきたのであった。
こうして私は城から追放された。
ただ。
でもまぁ良かったのかな、なんて、段々そう思えてきた。
だってこれでもうロメアから虐められなくて済む。
嫌な思いをする必要はなくなる。
そういう意味では解放ともいえる。
嘘によって城から追い出されたのは悲しいことだけれど、逆に、良い側面もないわけではないのだ。
◆
追放され、実家のある田舎町へ戻った。
その数日後王都で大災害が発生。
突如海からあがってきた魔獣の群れによる襲撃だ。
それによって王都は滅茶苦茶になってしまった。
「聞いた? 王都はもう駄目みたいよ」
「ええっ……」
「今のところここはまだ大丈夫そうだけれど……でも、ちょっと、心配ではあるわね」
「まぁここ国の端っこだしなぁ、大丈夫だろ、きっと助かる」
「最悪隣国に逃げりゃいいしな」
私がいる田舎町はまだ平和そのもの。
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位置的にかなり離れているといっても、一応皆事件のことを気にしてはいるのだ。
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