婚約者が妹の嘘を信じて婚約破棄してきました。しかも私は北の国の王に差し出されることとなってしまい――けれどもそれは幸せへの道でした。

四季

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2話

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「もういい。貴様との婚約は破棄とする!! そして、貴様には、北の国の王に差し出されてもらうぞ」
「き、北の国の……?」
「ああそうだ、あの噂の冷酷王だ。あいつに差し出す。やつは悪魔のような男だと聞く、そいつに嫁げ。それが何よりもの罰となるだろう」

 こうして私は、嘘を理由に婚約破棄されたうえ、北の国の王のもとへ運ばれることとなってしまったのだった。


 ◆


「来たくなかっただろう、こんなところへは」

 北の国の王ノーザは顔に大きな傷を持った男性でそっけない態度をとる人だった。

 しかしその瞳の奥にはどこか人間らしさがあるようにも思えて。

「いえ。どこにいても同じことです、大事にされないことに変わりはありませんから」
「……何だと?」
「あの国にいても私ははめられ悪女とされるだけでした。ならば、あちらへいてもここにいても同じことなのです。ですからここへ来ることはそれほど嫌なことではありません」

 話せば徐々に変わっていくかもしれない。

 そんな予感があった。

「それは……あまりにも諦め過ぎではないか」

 最初こそそっけなかった彼だったが。

「まぁいい、ここでは好きに過ごすといい」
「……ありがとうございます」

 それから徐々に私たちの関係は進展していった。

 ――そして。

「ハーブティーを持ってきました。美味しいですよ、これ。ノーザさん、飲んでみませんか?」

 私たちはいつしか深い仲になった。

 と言っても、大人な意味合いでの男女の関係にまでは発展していない。

 でもそれはその方が助かる。
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