「水泳なんかするような破廉恥な女は受け入れられない」って、その認識は一体何なのですか!? しかもそれが理由で婚約破棄とは一体……。

四季

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「水泳なんかするような破廉恥な女は受け入れられない」って、その認識は一体何なのですか!? しかもそれが理由で婚約破棄とは一体……。

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 全国水泳大会に女性として初めて参加した。
 そこで私は十位に入ったのだが。
 それを婚約者ベリーボーデーに知られてしまい「水泳なんかするような破廉恥な女は受け入れられない、よって婚約は破棄とする」と告げられてしまった。

 なんてこと……。
 ただそれだけで捨てられるなんて……。

 しかし私は気にしないことにした。

 なぜって、私は私の好きなものを失ってまで彼と共にいたいとは思わないからである。

 私の人生は私のもの。
 だから他の人にあれこれ言わせる気はない。

 もちろん、改善点があるならきちんと聞くし対応するが。

 愛しているものを根本的なところから否定してくるような人とはやっていけない。

 私は一人の人間だ。
 ベリーボーデーのために生きているわけではない。


 ◆


 あれから十年。
 私は結婚はしなかったけれど、水難救助の分野で活躍し、多くの命を救うことができた。
 初期は「女に救助なんぞ無理だ」ともよく言われていた。珍しいからこそ批判的に捉えられていたのだ。だが、淡々と活動を続けているうちに段々信頼が積み重なっていって、実績を積んでゆくと共に評価も上がっていって。いつしか「女だから」「頼りない」などとあれこれ言ってくる人は減ってきた。

 一方ベリーボーデーはというと。

 あの婚約破棄の直後、嵐の日に、周りからの制止を振り切って増水している川を見に行って流されてしまったそうだ。
 それで行方不明に。
 しばらく捜索活動は続いていたようだが、亡骸やその欠片さえ見つからなかったらしい。

 私は今英雄となり、それとは対照的に、彼はあの世へ逝ってしまった。

 まったく別の人生を歩むこととなったのだ。


◆終わり◆
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