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2話「そこそこ良好だった、けど」
しおりを挟む婚約直後は王子アイルとの関係はそこそこ良好だった。
彼が外で負ってきた傷を癒やしたこともあって。
過剰な接触はないものの、それなりに仲良くやれている感覚はあった。
しかし、いつからか、段々彼がそっけなくなっていって。
何かおかしいな――そう思っていたところ、彼にはコルセリアという愛し合う女ができていることが判明した。
彼からは、コルセリアは幼馴染みだと聞いていた。
しかしどうやらそれだけではないようなのである。
ある時、二人が図書館の裏でいちゃついているのを目撃したこともあって、二人の本当の関係性を察した。
また、城では、コルセリアとその取り巻きに時折嫌がらせされた。
こちらは特に彼女を意識してはいなかったのだけれど、向こうは同じではなく、私に対して対抗心を持っているようであった。
そして、そんなある日。
突然アイルに呼び出されたと思ったら。
「オフェリア・リーン! お前との婚約、本日をもって破棄とする!」
急にそんなことを告げられた。
アイルの隣には赤毛の女性コルセリアがいる。すぐ傍に立っているアイルの片腕を両手で握り、彼は私のもの、とでも言いたげな様子で、こちらへ嫌みな視線を向けていた。
「……良いのですか?」
「何が言いたい」
「いえ、そのままの意味です。私、帰ってもよろしいのでしょうか?」
するとアイルは少し苛立ったように顔を歪め「生意気な女め」と呟いた。
そこへ口を挟むのは、アイルの腕を抱いているコルセリアだ。
「怒って差し上げないで? アイル。彼女、強がりを言っているだけよ」
私を馬鹿にするようにくすくす笑いながらそんなことを言う。
「コルセリア、そういうものなのか」
「ええ、そうよ。きっと精一杯強がってみせているのよ。間違いないわ」
「ああそうか、そういうことか」
アイルとコルセリアは暫し見つめ合った。
だが数秒してアイルはこちらへ視線を戻した。
「ま、そういうことだから、オフェリアは今すぐ去ってくれ」
「はい」
こうして婚約は破棄となった。
私は実家へと戻る。
両親は驚きながらも事情を聞いて受け入れてくれた。
その後、国王は息子が勝手に婚約破棄をしたことを知り激怒したようで、城はしばらく揉め事の嵐となっていたようだ。
でも私には何の関係のないことだ。
だって、私はただ捨てられただけだから。
被害者ではあったとしても、加害者の要素は欠片ほどもないはずだ。
それから数ヶ月が経ち、アイルはコルセリアと婚約したようだった。
けれども、コルセリアのいかにも胸を強調した感じやアイルにやたらとひっつきまわる様子から、国民受けは最悪だったよう。
アイルとコルセリアが一般国民からかなりの批判を受けていた。
思えば、私の時はそういう批判はなかった。周囲の女性陣からあれこれ言われることはあっても、国民らから否定されることはなかった。周囲の者が悪く言うのはほぼ嫉妬からだろうから流しておくとして。今の状況を思えば、私はまだ運が良かった方なのだろう。
国民の大勢から批判されるのは辛いに違いない……。
いや、コルセリアならそんなことはまったく気にせず生きていそうだが。
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