最高レベルの特殊能力を持っていたために王子の婚約者とならざるを得なくなったのですが……?

四季

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5話「爽やかな笑みに癒やされる」

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「じゃ、僕はこれで!」

 男たちをまとめて持ち上げたラヴィールは爽やかな笑顔でそう言って出ていこうとする――そんな彼の背に向けて、私は声を放つ。

「あの!」

 自分の都合で引き留めるようなことをするのはみっともないと思いはするけれど。

「何ですー?」
「あの……もし可能でしたら、後でまたここへ来ていただきたいのですけど……」

 でも、今は不安が大きい。

 だからこそお願いしたい。無理かもしれないとしても、一度は言ってみたいのだ。叶わないなら叶わないでそれでもいいけれど。

「え? それって、どういうことですかー?」
「……こんなことの後、夜一人だと不安で」

 するとラヴィールは目を輝かせる。

「なるほどです! 分かりました! ではすぐに戻りますねーっ」

 想像していた以上にさらりと頷いてもらえた。拍子抜けだ。断られるだろうと思っていただけに、さらりとお願いを聞いてもらえたことは意外なことであった。

 でも、嬉しい。

 それに、とてもありがたい。

「じゃ! 一旦、行ってきまーす!」
「はい」

 ――それから数十分が経ち。

「戻りましたよー!」

 ラヴィールは明るい表情のまま戻ってきた。

 彼が言うには、男たちは街のごみ置き場の中に置いてきたそうだ。
 ちなみにそのごみ置き場というのは柵があって簡単に出入りできないようになっている構造なので、一度入ると簡単には出られない。

 つまり、恐らくすぐに出てきはしない、ということ。

 彼らがそこから出てくるのは早くとも当分先になるだろう。

「ありがとうございます、ラヴィールさん」
「いーえいえ! 何でもお任せくださーい!」
「……相変わらずですね」
「ふょぇっ!?」
「……何ですか、それ」

 つい笑ってしまった。
 彼の口から出てくる音が何かと面白くて。

「あ! 笑ってくれましたね!」
「……ええ、面白いです」
「本当ですか!? じゃあ何回もやります!! 変な声を!!」
「いやいや……」
「あ、もしかしてそうじゃないですか?」
「はい」
「うう……しょんぼりんぐ」

 今はこうしてくだらないことを話していられるだけでほっとできる。

 求めているのはこういう温かさ、一種の安堵感のようなものだ。

 あんな物騒なことがあった後は何もなくても漠然と怖さのような何かを感じるもの。でも、話し相手がいてくれれば、そういったものも多少は薄れ和らぐ。言葉を交わしている、それだけでも、心の状態というのは大幅に変わってくるものなのである。

「ラヴィールさん、助けてくださってありがとうございました。よく駆けつけてくださいましたね。何かで気づいたのですか?」
「男が店にたくさん入っていくのをたまたま見たんですよー!」
「偶然ですか」
「そうなんですよー!」
「それは……では、気にして様子を見にきてくださってありがとうございました。おかげで助かりました」

 嬉しくない事件ではあったけれど、でも、ラヴィールとの絆は少し深まったような気がした。
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