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10話「結ばれる二人」
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ラヴィールから恋人になりたいというようなことを言われそれを受け入れ、特別な二人となった――早いものでもうあれから二年以上が経った。
私たちは明日、結婚式を挙げる。
婚約期間を経て、結婚へ。
そのみちのりは順調そのもので。
共に同じ未来を見据えられた。
だからこそ、ここまで来ることができたのだ。
「明日ね、ラヴィール」
「ですねーっ!」
「相変わらず元気ね……」
「はい! だって嬉しい日ですから! 元気といいますか、張りきってしまうものですよーっ」
ラヴィールはいつだってあの空に輝く太陽のように眩しい。
そんな彼を、私は愛している。
「緊張とかはしない?」
「してますよっ?」
「うそ。してないでしょ」
「もー! そんな意地悪言わないでくださいよー! 僕だって、僕だって、緊張はするんですからねー!?」
「冗談よ」
「へ? そうなんですか? あーっ、良かったぁ」
私にはないものを彼は持っている。だからこそこんなにも惹かれるのだろう。そして、一緒にいるようになってから時が経ってもなお、愛おしく思えるのだろう。
幸い、両親はこの結婚を喜んでくれている。
――それに越したことはない。
だってそうだろう? たとえどれほど愛し合っている人と結ばれることができたとしても、その時に親が悲しい顔をしていたらこちらまで素直に喜べなくなってしまう。
もちろん親にもよるだろうが。
良い親のもとに生まれられたからこそ、二人を悲しませたり不快にさせたりしたくはない。
せっかくの特別な機会だ、二人には笑っていてほしいし喜んでいてほしい。
「しっかし、ご両親に反対されなくて良かったですーっ」
「どうして?」
「だってですよ? 王子と結ばれかけていたくらいの方なのに! そんな方の相手が僕みたいなので反対されないかーって思ってたんです」
ラヴィールの言っていることは間違っている。
王子との縁を得ていた時期があるからって偉いわけではない。
「何よそれ、おかしいわ。反対されるわけがないじゃない」
「そうですかー?」
「それに、あれは能力ゆえよ。ただそれだけ。だから私は普通の女なの」
「でもですねー……」
ラヴィールはまだ納得しきれない様子だ。
なぜこんなところで頑固さを出してくるのだろう……。
「でも! じゃないわ! 私は普通の女、ただちょっと役立つ能力を持って生まれただけよ」
「うわー優てぃー」
「何それ……ふざけてる?」
「ちっ違いますよっ! ふざけてなんていませんっ!」
見つめ合い、笑う。
「明日、楽しみましょうねー!」
「ええ。どうぞよろしく」
◆
あれから八年が過ぎた。
今では私も二児の母となっている。
「オフェリアさーん! たーだいまぁーっ!」
しかしラヴィールは相変わらずだ。
時が経ってもなお、時折子どものような無邪気さを発してくる。
特にこの帰宅した時の抱き締め。
これは日課のようになってしまっているので永遠に続きそうだ。
「今日はどうでしたー?」
「元気にしていたわよ、子どもたち」
「良かったぁ」
「そっちはどうだった?」
「順調ですよ!」
ラヴィールは今も冒険者を続けている。
でも、ここでは、私の夫であり子どもたちの父親だ。
◆終わり◆
私たちは明日、結婚式を挙げる。
婚約期間を経て、結婚へ。
そのみちのりは順調そのもので。
共に同じ未来を見据えられた。
だからこそ、ここまで来ることができたのだ。
「明日ね、ラヴィール」
「ですねーっ!」
「相変わらず元気ね……」
「はい! だって嬉しい日ですから! 元気といいますか、張りきってしまうものですよーっ」
ラヴィールはいつだってあの空に輝く太陽のように眩しい。
そんな彼を、私は愛している。
「緊張とかはしない?」
「してますよっ?」
「うそ。してないでしょ」
「もー! そんな意地悪言わないでくださいよー! 僕だって、僕だって、緊張はするんですからねー!?」
「冗談よ」
「へ? そうなんですか? あーっ、良かったぁ」
私にはないものを彼は持っている。だからこそこんなにも惹かれるのだろう。そして、一緒にいるようになってから時が経ってもなお、愛おしく思えるのだろう。
幸い、両親はこの結婚を喜んでくれている。
――それに越したことはない。
だってそうだろう? たとえどれほど愛し合っている人と結ばれることができたとしても、その時に親が悲しい顔をしていたらこちらまで素直に喜べなくなってしまう。
もちろん親にもよるだろうが。
良い親のもとに生まれられたからこそ、二人を悲しませたり不快にさせたりしたくはない。
せっかくの特別な機会だ、二人には笑っていてほしいし喜んでいてほしい。
「しっかし、ご両親に反対されなくて良かったですーっ」
「どうして?」
「だってですよ? 王子と結ばれかけていたくらいの方なのに! そんな方の相手が僕みたいなので反対されないかーって思ってたんです」
ラヴィールの言っていることは間違っている。
王子との縁を得ていた時期があるからって偉いわけではない。
「何よそれ、おかしいわ。反対されるわけがないじゃない」
「そうですかー?」
「それに、あれは能力ゆえよ。ただそれだけ。だから私は普通の女なの」
「でもですねー……」
ラヴィールはまだ納得しきれない様子だ。
なぜこんなところで頑固さを出してくるのだろう……。
「でも! じゃないわ! 私は普通の女、ただちょっと役立つ能力を持って生まれただけよ」
「うわー優てぃー」
「何それ……ふざけてる?」
「ちっ違いますよっ! ふざけてなんていませんっ!」
見つめ合い、笑う。
「明日、楽しみましょうねー!」
「ええ。どうぞよろしく」
◆
あれから八年が過ぎた。
今では私も二児の母となっている。
「オフェリアさーん! たーだいまぁーっ!」
しかしラヴィールは相変わらずだ。
時が経ってもなお、時折子どものような無邪気さを発してくる。
特にこの帰宅した時の抱き締め。
これは日課のようになってしまっているので永遠に続きそうだ。
「今日はどうでしたー?」
「元気にしていたわよ、子どもたち」
「良かったぁ」
「そっちはどうだった?」
「順調ですよ!」
ラヴィールは今も冒険者を続けている。
でも、ここでは、私の夫であり子どもたちの父親だ。
◆終わり◆
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