最高レベルの特殊能力を持っていたために王子の婚約者とならざるを得なくなったのですが……?

四季

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9話「暗い時代にも希望の花束を」

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 世は乱れ、お世辞にも明るい時代とは言えない。

 それでも変わらないものもある――その一つが、ラヴィールの明るさだろう。

 彼はどんな時も明るくて前向きで、私にはとても眩しく感じられる人だ。でも、私とは違っている部分が多いけれど、それでも嫌いではない。むしろその違いにこそ魅力を感じている。

 彼といると明るい気持ちになれる。
 嫌なことがあっても忘れられるようで。

 だから、今は彼と過ごす時間が何よりも愛おしいのだ。

 ……なんて、そんなことは恥ずかしくて言えないけれど。

「ラヴィール、どうしたの? その箱」
「あ、これですか?」
「ええ、何だか凄く重そうね」
「あ……いや、これは……」

 何やら気まずそうな顔をするラヴィール。

 聞いてはいけなかったのかな?
 触れるべきじゃなかった?

 ――そんなことを思ったり。

「言えないならいいのよ、無理に言わなくて」
「いやそうじゃなくてですねー……」
「どういうこと?」

 すると彼はテンポ良く私の真正面まで歩み寄ってくる。

「これ! よければ受け取ってください!」

 そう言って、彼は、持っていた大きな箱をこちらへ差し出してきた。

「え……? あの、え……?」

 思わず出てしまう情けない声。

 馬鹿みたいになってしまう。

「それと! 気持ちを言わせてください……オフェリアさん! 好きです! めちゃくちゃ……好きなんですッ!!」

 ラヴィールは勇気を残り一滴も残さないくらい絞り出すような言い方で言ってきた。

 後ろの棚の陰から母が様子を見守っている――気配がする。
 恐らく空気を読んで出てこないようにしてくれているのだろう、母はわりとそういう人だ。

「よければ! これからは! 特別な人にならせてください!」
「え、えっと……それは、どういうこと?」
「つまり! 結婚したいです!」
「結婚!?」

 背後から母がぶっと噴き出す音がした。

 まぁ笑ってしまってもおかしくはないか……。

 ただ、ラヴィールは真剣そのものだ。

「あ、いや、いきなり結婚はまずいですよねー……なので、ですね、まずはー……恋人から」
「恋人でいいの?」
「も、もちろん! オフェリアさんが許してくださるなら!」
「そう――分かったわ。じゃあそうしましょうか」

 返すと、彼は急に瞳をうるうるさせ始める。

「本当ですかッ!?」

 ラヴィールはなぜこうもいつも真っ直ぐなのだろう。

 純粋に笑ったり、純粋に感動して涙目になったり、そんな風に振る舞えるのだろう。

 とても不思議だ――でも、そういうところも含めて、彼のことは好き。

「ええ、もちろん」

 だから、できるなら、その手を取ってみたい。

「こちらこそよろしくね!」
「はいーッ!!」
「……ちょっとうるさすぎじゃない?」
「す、すみません」
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