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前編
しおりを挟むその日は雨降りだった。
静けさの中、私は、特別な人――婚約者である彼コルクットから氷剣のような言葉を告げられる。
「婚約、破棄することにしたから」
――そう、それは私たちの関係を終わらせるという言葉だ。
「え……、ど、どうして……」
「終わりにしようと思った、ただそれだけさ」
「で、でも! そんな! 急過ぎるわ、何かあったの? もしそうでないとしたら一体」
混乱してやたらとたくさんの言葉を発してしまって。
「もうお前といたくなくなったんだ」
その果てに冷ややかな目で見られて気づく。
「あ……」
コルクットはもう私を少しも愛してはいないのだと。
私を愛していない。いや、それどころか、私のことを好きと思えなくなっている。だから今もこんなに冷ややかな視線を向けられるのだろう。そうとしか思えない、そうでなければ話がおかしい。
「……分かった、もう離れたいのね」
思考の果て、呟くように返す。
「ああ、そういうことさ」
彼はそっと頷いた。
「分かった、じゃあ……」
「さよなら」
最後までコルクットは冷たかった。
私を見る彼のその目は、道端に捨てられた空き缶でも見るかのようなものであった。
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