雨降りの日、婚約破棄を告げられました。~この人生、無意味ではないのだと思いたいのです~

四季

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後編

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 ◆


「これはあっちですか?」
「そうですぞい」

 コルクットとの婚約破棄から二年が経った。
 直後は酷く落ち込むことも多かった私だけれど、今ではすっかり体調も回復し、最近は研究所で雇ってもらい研究者の手伝いをしている。

「じゃあこれはこっち? ですよね?」
「そうですぞ~い」
「ではこれを持って行ってきます!」
「ありがと~ん」

 何かと慌ただしく忙しい毎日、でもやりがいはある。

 雇い主の男性は悪い人でない。むしろとても寛容で優しい人物だ。研究者だからか少々変人風なところはあるけれど、悪質な棘を持った人物ではないのだ。私がたまに失敗しても許してくれるくらいの広い心の持ち主である。

「お昼買ってきました」
「あ、ありがとん」
「先生は確か、とんかつサンドでしたよね?」
「そうそう~ん」
「良かった。ではこれ、ここに置いておきますね!」
「うわぁい~ん! やっつあ~ん! 美味しいんぞいよな、あの店のとんかつサンド」

 婚約、結婚、その道は上手くいかなかったけれど、でも今は私なりに幸せに生きられていると思う。毎日楽しいしやりがいも感じている。だからこそこの人生も無意味なものではなかったのだと思えるし、これからも私という人間の道を歩んでいきたいと思えているのだ。

「ああそうだった、先日のお返し! これ! あげますぞい」
「え、これは?」
「前に貰ったお土産のお返し~」
「あっ、そういうことですか」
「そうそう~。あのお土産のクッキー、とーっても美味しかったから、お返ししないとと思ってて~」

 私はこれからもこの道を行こうと思う。

 あ、そうそう、一方コルクットはというと。

 あの後下半身がとんでもなく酷く腫れる謎の病にかかってしまい自力で歩くことすらままならなくなってしまったそうだ。

 で、今は親に看護してもらいながら寝たきりの状態で過ごす日々らしい。

 聞けば辛い話だ。
 得体のしれない病によって身の自由を失うなんて。

 ただ、なっているのがコルクットなので、個人的にはそれほど深く可哀想にとは思わない――悪いがどうしても思えないのだ、そんな風には。


◆終わり◆
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