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前編
しおりを挟む「キミってさぁ~、ファッションセンス皆無だよね~」
婚約者ルトウスが急にそんなことを言ってきた。
「え? まぁそうかも……あまり興味がないし……」
「ダ! ヨ! ネ! 実際ダサいからさぁ~、そんなことだろうと思ったんだよ~」
ただの会話だろう、そう思っていたのだが。
「って、コ! ト! デ! キミとの婚約は破棄っとするヨ!」
彼の口から出てきたのは想定外の言葉だった。
「ええ!?」
思わず大きな声を出してしまう。
二人で過ごすには広い室内の空気がびんびんと震えた気がした。
「婚約破棄って……え、え、本気で言っているの?」
「当たり前だろぉ~?」
「そんな、ダサいってだけの理由で?」
「あったりまえだっろぉぅ~ん!? それ以外に何があるって言う系だァ~イ」
……いや、本当に、そんなことで?
「てことで関係はおしまい! バイッバァ~イ!」
こうして私と彼の関係は突如解消となった。
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