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後編
しおりを挟む――しかしその翌日、ルトウスは、仕事仲間で元恋人でもある女性に復縁を迫られ拒否したことにより棒で何度も殴られて死亡した。
そして流れた噂によれば、ルトウスはこれまでも恋人なんかに急に別れを告げるといった迷惑な行為を繰り返していたそうだ。
「ほんとなの? ルトウスさんが亡くなったって」
「そうみたいなの」
「ええっ。でも、そういうことなら……ある意味婚約破棄されていて良かったわね。失礼かもしれないけれど……そんな揉め事の種みたいな人と一緒にいても、きっと良いことなんてないもの」
私はというと、実家で穏やかに暮らしている。
ちなみに今は友人と久々に会ってお茶をしているところだ。
「それは思うわ。今はそう思っているの、私も」
「でしょ!? ああ、良かったよ、ややこしい物騒な事件に巻き込まれなくて」
「心配かけるところだったわ」
「もうさすがに大丈夫だとは思うけど……気をつけてね?」
「ええ。念のため気をつけておくわ」
「それがいいと思う!」
ルトウスがいなくても私の人生に光は確かにある。
確かに婚約破棄には驚いたし多少衝撃も受けた。いきなりのことだったからなおさら。だが、私が手放すことになったのは、ルトウスというあくまでたった一つのピースだけだ。誰が何と言おうとも、それ以上ではない。
だから私は心折れたりはしないのだ。
前を向いて歩く。
ただそれだけである。
◆終わり◆
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