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後編
しおりを挟む両親は「貴女はあの無能姉とは違う、だから大丈夫」「貴女は魔法が使えるの、選ばれた人間よ」などと言って熱心に励ましていた――しかし、やがて、リリアは魔法を使えなくなってしまった。
心が壊れたことで、魔法の才も失ってしまったのだ。
そしてちょうどその頃、まさかの展開で、私に魔法の才能が発生した。
しかも驚いたことに全属性。
さらには国内で一割もいない最高レベルの魔法であった。
悲しみにくれ落ちてゆくリリア。
才能の芽吹きにより幸運が巡ってきた私。
姉妹の道は大きくすれ違ってゆく――。
◆
あの後、私は、国内で五本の指に入るほどの魔法使いとなった。
そして王子より求婚を受け。
めでたく彼と結ばれることができた。
おかげで今は優しい人たちに囲まれて幸せに暮らせている。
見初めてくれた王子には感謝しているし、急に現れた私に嫌な態度を取らず温かく接してくれる周囲の人たちにも感謝している。
皆がいて、そのおかげで、私は幸せに息をできているのだ。
ありがとう。
今言いたいのはそれだけ。
ちなみに妹のリリアはというと、今も実家で暮らしているそうだ。
しかしかつてのように親から愛されてはいない。
魔法を使えなくなった彼女は両親から「無能になってしまうなんてね」などと言われさらに体調を悪化させ、今では抜け殻のようになってしまっているそうだ。
だがそれも自業自得だろう。
彼女は私を見下していた。
だからいつかはそんな目に遭えばいい。
寂しさ、愛されない苦しみ、そういうものを知ればいいのだ。
ただ、両親も上手くはいっていないようで、最近夫婦喧嘩が極端に増え離婚の危機だそうだ。
今まではずっと私を使って発散していた。
だから夫婦仲も順調だったのだろう。
でもその存在が家から消えた今、サンドバッグとして使えるものはお互いしかない。
そうなった時、夫婦がどうなるのか。
そこはもうすぐ現れてくるはずだ。
いずれにせよ。
リリアにも、両親にも、明るい未来はない。
それでも私は幸せになる。
いいえ、これまで不遇だったからこそ。
だからこそここから大逆転、最大の幸せを掴むのだ。
◆終わり◆
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