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前編
しおりを挟む「貴様との婚約、破棄とするゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
婚約者で王子でもあるウィットレイルよりそう宣言されたのはある茶会の最中であった。
王家主催のお茶会。
これは数ヶ月に一度開かれている会だ。
それゆえ特別なものではない。
おおよそ定期的に催されている会なのである。
ただ、ウィットレイルは、敢えて婚約破棄宣言をその日にもってきた――これに関しては少々悪意を感じる行為である。
といってもここにいるのはほとんどが私と知り合いの人。それゆえ何も知らない人からあれこれ心ないことを言われることはない。通常は皆の前で切り捨てれることの恐ろしさにはひそひそ言われてしまうというようなところも含まれているだろうが、今回に関してはそれはない。
「本気で仰っているのですか?」
「そうだ! あったりまえだろオオォォォォォ!」
「分かりました」
「貴様のような忠実さ不足の女はなアァァァッ!? くずなんだよ価値なしなんだよオォォォォォッ!! 鼻水垂らした小僧レベルなんだよォォォッ!!」
それに、そもそも、ウィットレイルは少々変わった人物なのだ。
非常にくせが強い。
そして身勝手。
基本的にいつも自分のことしか考えていないような人。
誰もがそのことを知っているからこそ、私に非があったのだと捉える者はいなかった。
「大丈夫? 気にしなくていいわよ、あんなの。彼ってちょっとアレだし……貴女に非はないわ」
「相変わらず暴走してるわね……それに、感じ悪いし……ちょっと無理」
「貴女にはもっと素晴らしい相手がいるって思うの! だからこれは良い機会! そう思う! だから落ち込まないで! 気にしちゃ駄目だよ?」
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