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1話
しおりを挟む熊を従える能力を生まれ持った私は、その能力を評価され、王国の王子イフレートと婚約することとなった。
王国では毎年熊による被害が絶えない。
それゆえ私のこの能力が注目されることとなったのだ。
つまり、私と王子イフレートの結婚は、国王をはじめ多くの国民の望みであり希望だったのである。
――しかしイフレートはそれを理解していなかった。
「エリッサ! お前のような女、俺は将来の妻とは認めない!」
彼は愛に生きる人だった。
欲望に忠実だった彼は国のことを考えず行動に出る。
「よって、婚約は破棄とする!!」
ある晩餐会にて、イフレートは高らかに宣言した。
「ちょっとちょっとどういうこと……?」
「何ですのあれ」
「婚約破棄、って……こんなところで宣言して良いものなのかしら……? しかもエリッサ様は戸惑っていらっしゃるようですし……」
周囲の人たちはいきなりのことに困惑している様子だ。
「エリッサ、俺はな、お前のようなくだらないつまらない女とは生きていきたくないんだ」
「え……」
「だからお前とは生きない」
「……本気、なのですか?」
「ああそうだ。当たり前だろう。だから婚約破棄だと言っているんだ。……お前は馬鹿か? 遅すぎるぞ、いちいち」
こうして私は突如切り捨てられてしまったのだった。
「あ、そうだ。城からも出ていけよ。もうお前の顔なんて見たくないからな――二度と俺の前にその顔を晒すな」
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