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後編
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ルーガスに婚約破棄された日から一年、私は、行きつけのパン屋にて一人の男性と運命的な出会いを果たす。
彼の名はジウッドという。
同じパンを同時に手に取ろうとしたところからすべては始まった。
そして彼と結婚にまで至った。
彼は出会って間もないころから色々気にかけてくれていて、私がルーガスとのことについて話してからはこまめに「聞きたいことある?」とか「質問もしあったら言ってね、答えるから」などと言ってくれて――おかげで私は彼に対して質問できるようになっていった――もっとも、徐々に、だが。
今ではもう、普通に問うことができるようになっている。
ジウッドと共に過ごす毎日は穏やかで安心できる、だからとても愛おしい。
変に緊張しなくていい。
余計な気の遣いは不要。
そんなだから、ありのままの私で生きていられる。
普通でいられる幸福を今強く感じているところだ。
ちなみにルーガスはというと、あの後とんでもなく怖い女性と結婚することになってしまい今では妻となったその人に毎日とてつもなく厳しく接されているそうだ。
彼はすっかり畏縮してしまっているとか。
ま、でも、それもまた経験だろう。
自業自得というか何というか。
恐らく彼にはそういう経験が必要だったのだろう。
これまでずっと他人を振り回してきたのだから、一度くらいは振り回される側になってみればいい――そうすれば少しは振り回され当たり散らされる側の苦痛を理解できるだろうから。
せいぜいそのどうしようもない空間で苦しんでいてくれ。
◆終わり◆
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