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前編
しおりを挟む私は貴方を愛していました。
言葉を交わす、ただそれだけのことでも、世界が煌めいて見えた日――その日、その瞬間から、私は貴方の虜となったのです。
私は貴方の力になりたい。そう思っていました。そして貴方にはできるだけ楽しく生きてほしいとも思っていて。だから、はじめのうちは、貴方が他の女性と関わりを持っていても見なかったことにしていたのです。
けれども、そうしているうちに、貴方の行動は段々酷くなっていって――ついには、私は何日も何週間も放置で他の女性ばかりに時間を捧げるようになっていってしまったのです。
それでも貴方を愛していました。
でも我慢できず。
己の想いを貴方に告げてみることにしました。
けれどそれが間違いだったのです。
「は? 空気が何言ってんだよ。空気のくせにごちゃごちゃ言うなや、文句言うなら俺の前から消えろや」
貴方は怒ってしまい。
「あー、じゃ、婚約は破棄な」
私との関係を終わらせてしまいました。
きっと私が悪かったのだろう。
言い方が間違っていたのだろう。
そう思いはしても、でも、彼の行動にはどうしても納得できませんでした。
どうしてこうも上手くいかないのだろう――そう考えて、私は絶望の海に沈みます。
貴方に愛されたかった……ただそれだけでした、さようなら。
私は死を選びました。
たとえその道が間違っているとしても、それでも、私自身を救うのはその道しかないように思えていたのです。
だから私は生を終えることにしました。
親には申し訳ないと思います。
でももう無理だと。
そう思って、軽い気持ちではなく真剣に、この結末を選びました。
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