婚約破棄された日の翌朝、起きてみると枕が驚きのものに変わっていて……!? ~人生、平穏第一です~

四季

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前編

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 敵意を持ってこちらを見てくる金髪の女が一人。
 そしてその隣には我が婚約者モルトスの姿。
 モルトスの正当な婚約者は私だというのに、今は一対二であるかのような状況に陥ってしまっている。

「俺は彼女だけを愛している。よって、婚約は破棄とする」

 モルトスは淡々とそう宣言した。

 その目つきは言葉で表現できないくらい冷ややかで。
 私を人と思いもしないかのようなものであった。

「愛して!? ……それは一体、どういうことで」
「言葉の通りだ。俺はこの娘をただ一人彼女だけを愛している。お前と婚約したのはそうするしかなかったからだ。――そういうことだが?」
「なんてこと……」
「もう理解できたか?」

 金髪の女はモルトスの胴体に腕を絡めながら勝ち誇ったような顔でこちらをちらちらと見ている。

 感じの悪い人だなぁ……。

 黙っていれば可愛らしい感じもあるのだが。
 その表情からは腹黒さが垣間見える。

 でもモルトスは気づいていないのだろうな、彼女の黒さになんて。

 だが仕方ないことだ。そういうものだから。男性は女性の腹黒さに気づかない、特に上手く隠している女性に関しては。

「分かりました。私が消えれば良いのですね」
「ああ、去ってくれ」
「ではそのようにします。……さようなら、モルトスさん」

 私はもう言われた通りにするしかなかった。

 だって、あんな勝ち誇ったような顔をされて。馬鹿にしたような、見下したような、そんな目つきで見られて。それでもまだモルトスに縋りつくなんて、そんなこと、できるわけがない。その辺りはプライドの問題だ。私にだってプライドはある、だからできることとできないことがある。

 ――その翌日、目が覚めると。

「え……、な、何これ!?」

 普通の枕だったものが金塊に変わっていた。
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