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ある日突然見知らぬ女性が訪ねてきました、どうやら婚約者の浮気相手のようなのですが……?
7話「交流を重ねる」
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一週間後に王都でまた会う約束をして別れた。
約束と言っても昼間に買い物とお茶をするというだけ。
ただ、それでも、その時の私にとっては嬉しい約束だった。
ややこしいことや不快なことが色々あった後だから、他者と純粋な関係を築けそうであることはとても嬉しいことだったのだ。
もちろん、未来なんて分からないし、彼が真の意味で良い人なのかどうかなんてもっと分からない。けれども今は彼を信じたかった。信じて裏切られることは恐ろしくてもそれでも時に誰かを信じたいと思ってしまう、それはある意味一つの人の心というものだろう。少なくとも私はそうだった。お人好しだと馬鹿にされるとしても、それでも、夢を持つことを諦めたくはなかったのだ。
「エッダスさん、こんにちは!」
「お久しぶりです」
「約束通りお会いできて嬉しいです」
「こちらもですよ」
約束の日はあっという間にやって来た。
今日ははりきっていつもより少し良い生地を使ったワンピースを着てきてしまったので心なしか恥ずかしい。
けれど、少し恥ずかしく思っていたところ彼から「綺麗なお洋服ですね」と言ってもらえたので、勇気を出して良かったなと思うことができた。
「今日はエッダスさんさんのおすすめのお店を紹介してもらえるのですよね」
「はい、準備してきました」
「ありがとうございます! 楽しみです」
隣り合って歩けること、向かい合って言葉を交わせること、どちらもとても嬉しいことだ。
未来なんて分からないけれど。
今はただ現在に目を向けて。
幸せだと思えるこの瞬間を大切にしていたい。
「ここは……」
「茶葉店です」
「紅茶の!」
「はい。アイリーンさんはこういったお店がお好きかなと」
「ワクワクします!」
「行きつけのお店があったら申し訳ないなと心配していましたが……どうやらその点は問題なさそうですね」
「もちろんです! 特に、王都のお店には詳しくないので」
「なら良かった」
そんななんてことのない言葉を交わしつつ茶葉店のおしゃれな店内を歩く。
「少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです」
「楽しいですよ、とっても!」
そしてそれからも私たちは複数の店を回った。
私はあまり王都に詳しくないので彼の紹介や案内はありがたかった。
「喫茶店も空いていて良かったですね」
「本当に……! このお店はエッダスさんよく来られるんですか?」
「そうですね、たまに、ですけど」
一度目と違って少し話しやすくなってきている気がする。
そして別れしな。
「今日は楽しかったです、ありがとうございました」
彼はそんな風に言ってくれたので嬉しかった。
「こちらばかり楽しんでしまっているのではと心配してました」
「そんなことないですよ」
「温かいお言葉に勇気をいただきました」
あれからもエッダスとは数回会った。
場所や目的は様々。
しかしそのすべてが健全なものであった。
王都で会ったこともあるし、私の家がもう少し近い地域で会ったこともある。
彼と過ごす時間はいつだって楽しかった。
「今日は暑いね」
「確かに……!」
「半袖も似合ってるよ」
「ありがとう!」
長袖で外を歩くと若干暑さを感じるようになってきたある日のことだ。
その日もいつものようにエッダスと二人で道を歩いていた。
すると突如事件が起こる。
五十代くらいと思われる容姿をした男性が急に刃物を持ってエッダスに襲いかかってきたのだ。
否、厳密にはエッダス一人を狙ったわけではなかった。
ただ、その瞬間だけは、男性の目にエッダスだけが映っていて。
――そして私は咄嗟に間に入った。
「アイリーンさん!!」
叫び声が聞こえて。
腹部に痛みが走る。
……ああ、そうか、私……刺されて……。
「きゃあああああ!」
「うおっ」
「止めて! 誰か止めて! それか人呼んで!」
「刺されるから逃げて!」
「離れろ離れろ! 危ないぞっ。ほらそこ、離れるんだ!」
騒ぎが起こっているのが分かる。でも何もできない。動けない。鈍い痛みが脳内を埋め尽くしている。視界すら徐々に曖昧になって。意識もじんわりと溶けるように薄れていく。
約束と言っても昼間に買い物とお茶をするというだけ。
ただ、それでも、その時の私にとっては嬉しい約束だった。
ややこしいことや不快なことが色々あった後だから、他者と純粋な関係を築けそうであることはとても嬉しいことだったのだ。
もちろん、未来なんて分からないし、彼が真の意味で良い人なのかどうかなんてもっと分からない。けれども今は彼を信じたかった。信じて裏切られることは恐ろしくてもそれでも時に誰かを信じたいと思ってしまう、それはある意味一つの人の心というものだろう。少なくとも私はそうだった。お人好しだと馬鹿にされるとしても、それでも、夢を持つことを諦めたくはなかったのだ。
「エッダスさん、こんにちは!」
「お久しぶりです」
「約束通りお会いできて嬉しいです」
「こちらもですよ」
約束の日はあっという間にやって来た。
今日ははりきっていつもより少し良い生地を使ったワンピースを着てきてしまったので心なしか恥ずかしい。
けれど、少し恥ずかしく思っていたところ彼から「綺麗なお洋服ですね」と言ってもらえたので、勇気を出して良かったなと思うことができた。
「今日はエッダスさんさんのおすすめのお店を紹介してもらえるのですよね」
「はい、準備してきました」
「ありがとうございます! 楽しみです」
隣り合って歩けること、向かい合って言葉を交わせること、どちらもとても嬉しいことだ。
未来なんて分からないけれど。
今はただ現在に目を向けて。
幸せだと思えるこの瞬間を大切にしていたい。
「ここは……」
「茶葉店です」
「紅茶の!」
「はい。アイリーンさんはこういったお店がお好きかなと」
「ワクワクします!」
「行きつけのお店があったら申し訳ないなと心配していましたが……どうやらその点は問題なさそうですね」
「もちろんです! 特に、王都のお店には詳しくないので」
「なら良かった」
そんななんてことのない言葉を交わしつつ茶葉店のおしゃれな店内を歩く。
「少しでも楽しんでもらえれば嬉しいです」
「楽しいですよ、とっても!」
そしてそれからも私たちは複数の店を回った。
私はあまり王都に詳しくないので彼の紹介や案内はありがたかった。
「喫茶店も空いていて良かったですね」
「本当に……! このお店はエッダスさんよく来られるんですか?」
「そうですね、たまに、ですけど」
一度目と違って少し話しやすくなってきている気がする。
そして別れしな。
「今日は楽しかったです、ありがとうございました」
彼はそんな風に言ってくれたので嬉しかった。
「こちらばかり楽しんでしまっているのではと心配してました」
「そんなことないですよ」
「温かいお言葉に勇気をいただきました」
あれからもエッダスとは数回会った。
場所や目的は様々。
しかしそのすべてが健全なものであった。
王都で会ったこともあるし、私の家がもう少し近い地域で会ったこともある。
彼と過ごす時間はいつだって楽しかった。
「今日は暑いね」
「確かに……!」
「半袖も似合ってるよ」
「ありがとう!」
長袖で外を歩くと若干暑さを感じるようになってきたある日のことだ。
その日もいつものようにエッダスと二人で道を歩いていた。
すると突如事件が起こる。
五十代くらいと思われる容姿をした男性が急に刃物を持ってエッダスに襲いかかってきたのだ。
否、厳密にはエッダス一人を狙ったわけではなかった。
ただ、その瞬間だけは、男性の目にエッダスだけが映っていて。
――そして私は咄嗟に間に入った。
「アイリーンさん!!」
叫び声が聞こえて。
腹部に痛みが走る。
……ああ、そうか、私……刺されて……。
「きゃあああああ!」
「うおっ」
「止めて! 誰か止めて! それか人呼んで!」
「刺されるから逃げて!」
「離れろ離れろ! 危ないぞっ。ほらそこ、離れるんだ!」
騒ぎが起こっているのが分かる。でも何もできない。動けない。鈍い痛みが脳内を埋め尽くしている。視界すら徐々に曖昧になって。意識もじんわりと溶けるように薄れていく。
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