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何を言われたとしても、婚約破棄されたとしても、私は信じる道を歩み続けたいのです。
3.急展開は重なるもので
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「何なんだ……お前、不審な爺さん、なのか……」
アイダンはかなり戸惑っている様子だった。
今、彼は、先ほどまでより少しだけ冷静さを取り戻している。私ではできなかったことがジャジャノジャには簡単にできた。それは凄いことだと思う。ただ、ジャジャノジャという第三者が登場してきたことによって、状況はより一層よく分からない感じのものへと変化していっている。
とはいえ、ジャジャノジャの登場に助けられたことは事実だ。
あのままだったらアイダンに傷つけられていたかもしれない。
否、かもしれない、なんてものではない。
きっとかなり高い確率でそうなっていただろう、あの時アイダンは本気だったから。
そういう暴力的な展開をひとまず避けられたのはジャジャノジャが現れてくれたからだ。
……深く感謝しなくては。
「お主、これでもわしと戦うか?」
「意味不明すぎるだろ……」
「ふぉふぉふぉ。びびってしまっておるな。ま、そりゃそうじゃろうなぁ。お主のような坊やがわしほどの強者を見ることは滅多にないじゃろうからのぉ」
ジャジャノジャはにっこり笑みを浮かべて「まだやるか?」と尋ねる。
するとアイダンは打った肩を押さえつつ眉間にしわを寄せて「言動がおかしすぎる」と呟いた。
するとジャジャノジャは「会話になっておらんのぉ」と不満げにこぼしつつ長い白いひげを指で揉むように触っていた。
「ではもう一撃、いこうか」
やがてジャジャノジャが構えを取ると。
「もう関わりたくないんだよ!!」
アイダンは叫んで部屋から飛び出ていった。
彼は見たことがないくらいの速さで走って逃げた。
室内に静寂が戻る。
「お嬢さん、大丈夫だったかのぉ? もう出てきてよいぞい。あの危ない男はいげていったからの」
ジャジャノジャの落ち着いたカラーの声が今はとても心地よく感じられる。
取り敢えず隠れていたところから立ち上がってみた。
「……ええと、その……助けてくださってありがとうございました」
「怪我はないかのぅ」
「はい、大丈夫です、どこも怪我していません」
ジャジャノジャと目が合って、咄嗟に「ありがとうございました」と深く頭を下げた。
「礼はよいよい、礼などよい」
彼はそう言ってお茶目な笑みを浮かべる。
「わしゃ困っている者を助けるのが好きなんじゃ」
「そうだったのですね。ですが本当に助かりました。あのままでは危なかったです」
「力になれてうれすぃうれすぃ」
激しくなっていた心臓の拍動がようやく落ち着いてきた、というタイミングで――外から悲鳴が聞こえてきて。
「何かあったのでしょうか……」
「そのようじゃのぅ」
「事故か事件か……とか、ですかね。取り敢えず行ってみませんか」
「心は平気かの?」
「はい」
「おお、強いのお。では行ってみるか。二人で行けば怖さも少しはましじゃろう」
互いに顔を見合せ、頷き合って、それから声がした方へと歩き出した。
家の前の道路でそれは起きていた。
馬車が停止していて。
その前にアイダンと思われる人物が力なく倒れている。
「ぁ……ああ……う……そ、そん……っ、な……」
僅かな動きすらないまま倒れているアイダンらしき人物の傍らには見知らぬ女性がしゃがんでいて泣き出しそうな顔をしている。
「アイダン、あ、ぅ……っ、アイ、ダン……どう、してっ……そ、っ、んな……い、やぁ……ああ、ぁぁぁ、ぁぁぁっ……」
もしかしたらアイダンは事故に遭ったのかもしれない。
なんとなくそんな気がする。
走って家を出ようとして馬車とぶつかった――といったところだろうか。
そして、恐らく、その馬車に乗っていたのが泣きかけている女性なのだろう。
だが他人とは思えない。アイダンのことをアイダンと呼び捨てしているから。たまたま事故に遭遇してしまってショックを受け混乱しているなら、泣くのは分かるけれど彼の名を呼ぶなんてことはしないはずだ。そもそも他人ならアイダンの名がアイダンであることを知らないはずだし。
「あの……どうされましたか」
「え」
「彼とはお知り合いですか?」
「ぁ……は、はい……実は、その……親しくしていただいているんです」
親しく? ……ああ、そういうことか。
「彼、わたしとは恋人に近いような関係なんですけど……婚約者さんに別れを告げに行くって言って出掛けていったので、迎えに行こうと……この辺りまで来たんです、でも、そのせいで彼を事故に巻き込んでしまって……」
「そうだったのですね」
「あ、あの! この辺りに住んでいるマーガレットって人ご存知ですか? 彼の形だけの婚約者はマーガレットっていうんです!」
うわぁ……。
「お知り合いではないですか?」
これはかなり気まずい……。
ど、どうする? 本当のことを言う? 私がマーガレットだ、って。思いきってそう言ってしまう? でも、そんなことを言ったら、あからさまに敵視されてしまうかもしれない。何をされるか分からない。もし彼女が私のことを消えてほしい存在だと思っていたら? そうしたら、今ここで襲われるかもしれない? 消そうとされる可能性もあるのか?
アイダンはかなり戸惑っている様子だった。
今、彼は、先ほどまでより少しだけ冷静さを取り戻している。私ではできなかったことがジャジャノジャには簡単にできた。それは凄いことだと思う。ただ、ジャジャノジャという第三者が登場してきたことによって、状況はより一層よく分からない感じのものへと変化していっている。
とはいえ、ジャジャノジャの登場に助けられたことは事実だ。
あのままだったらアイダンに傷つけられていたかもしれない。
否、かもしれない、なんてものではない。
きっとかなり高い確率でそうなっていただろう、あの時アイダンは本気だったから。
そういう暴力的な展開をひとまず避けられたのはジャジャノジャが現れてくれたからだ。
……深く感謝しなくては。
「お主、これでもわしと戦うか?」
「意味不明すぎるだろ……」
「ふぉふぉふぉ。びびってしまっておるな。ま、そりゃそうじゃろうなぁ。お主のような坊やがわしほどの強者を見ることは滅多にないじゃろうからのぉ」
ジャジャノジャはにっこり笑みを浮かべて「まだやるか?」と尋ねる。
するとアイダンは打った肩を押さえつつ眉間にしわを寄せて「言動がおかしすぎる」と呟いた。
するとジャジャノジャは「会話になっておらんのぉ」と不満げにこぼしつつ長い白いひげを指で揉むように触っていた。
「ではもう一撃、いこうか」
やがてジャジャノジャが構えを取ると。
「もう関わりたくないんだよ!!」
アイダンは叫んで部屋から飛び出ていった。
彼は見たことがないくらいの速さで走って逃げた。
室内に静寂が戻る。
「お嬢さん、大丈夫だったかのぉ? もう出てきてよいぞい。あの危ない男はいげていったからの」
ジャジャノジャの落ち着いたカラーの声が今はとても心地よく感じられる。
取り敢えず隠れていたところから立ち上がってみた。
「……ええと、その……助けてくださってありがとうございました」
「怪我はないかのぅ」
「はい、大丈夫です、どこも怪我していません」
ジャジャノジャと目が合って、咄嗟に「ありがとうございました」と深く頭を下げた。
「礼はよいよい、礼などよい」
彼はそう言ってお茶目な笑みを浮かべる。
「わしゃ困っている者を助けるのが好きなんじゃ」
「そうだったのですね。ですが本当に助かりました。あのままでは危なかったです」
「力になれてうれすぃうれすぃ」
激しくなっていた心臓の拍動がようやく落ち着いてきた、というタイミングで――外から悲鳴が聞こえてきて。
「何かあったのでしょうか……」
「そのようじゃのぅ」
「事故か事件か……とか、ですかね。取り敢えず行ってみませんか」
「心は平気かの?」
「はい」
「おお、強いのお。では行ってみるか。二人で行けば怖さも少しはましじゃろう」
互いに顔を見合せ、頷き合って、それから声がした方へと歩き出した。
家の前の道路でそれは起きていた。
馬車が停止していて。
その前にアイダンと思われる人物が力なく倒れている。
「ぁ……ああ……う……そ、そん……っ、な……」
僅かな動きすらないまま倒れているアイダンらしき人物の傍らには見知らぬ女性がしゃがんでいて泣き出しそうな顔をしている。
「アイダン、あ、ぅ……っ、アイ、ダン……どう、してっ……そ、っ、んな……い、やぁ……ああ、ぁぁぁ、ぁぁぁっ……」
もしかしたらアイダンは事故に遭ったのかもしれない。
なんとなくそんな気がする。
走って家を出ようとして馬車とぶつかった――といったところだろうか。
そして、恐らく、その馬車に乗っていたのが泣きかけている女性なのだろう。
だが他人とは思えない。アイダンのことをアイダンと呼び捨てしているから。たまたま事故に遭遇してしまってショックを受け混乱しているなら、泣くのは分かるけれど彼の名を呼ぶなんてことはしないはずだ。そもそも他人ならアイダンの名がアイダンであることを知らないはずだし。
「あの……どうされましたか」
「え」
「彼とはお知り合いですか?」
「ぁ……は、はい……実は、その……親しくしていただいているんです」
親しく? ……ああ、そういうことか。
「彼、わたしとは恋人に近いような関係なんですけど……婚約者さんに別れを告げに行くって言って出掛けていったので、迎えに行こうと……この辺りまで来たんです、でも、そのせいで彼を事故に巻き込んでしまって……」
「そうだったのですね」
「あ、あの! この辺りに住んでいるマーガレットって人ご存知ですか? 彼の形だけの婚約者はマーガレットっていうんです!」
うわぁ……。
「お知り合いではないですか?」
これはかなり気まずい……。
ど、どうする? 本当のことを言う? 私がマーガレットだ、って。思いきってそう言ってしまう? でも、そんなことを言ったら、あからさまに敵視されてしまうかもしれない。何をされるか分からない。もし彼女が私のことを消えてほしい存在だと思っていたら? そうしたら、今ここで襲われるかもしれない? 消そうとされる可能性もあるのか?
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