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後編
しおりを挟むそんなある日。
「久々だな」
「え」
「舞踊家として大成したそうじゃないか」
「あ、はい、そうですね」
ヴィテリが目の前に現れた。
「今なら結婚しても構わないが、どうだ?」
彼は今さらそんなことを言う。
でも無意味だ。
もう彼のところへは戻らない。
彼への感情はとうに消え去った――もう彼と付き合っていく気はまったくない。
「すみませんが、仕事が忙しいですしその気もありませんので、お断りします」
「なっ……」
「それに、相応しくないですよ。ヴィテリさんはヴィテリさんに相応しいもっと素晴らしい女性と幸せになってくださいね」
笑顔で告げ、彼を拒む。
私は彼のところへは戻らない。
「さようなら。もう二度と会いません」
◆
後日、ヴィテリが落命したと聞いた。
彼は私の拒否された日以降荒れていたようで、親と一緒に住んでいる家にて、大量の酒を飲んでは暴れ回ったり踊り狂ったりするというようなことを続けていたそうだ。
だが、ある晩、酔っ払って暴れていたところ階段の上で足を滑らせてしまって、そのまま下の階にまで転がり落ちてしまったそう。
ただ、それだけならまだ死には至らなかったのだろう。
だが運悪く置いてあった大きな壺に頭から突っ込んでしまったそうで。
打ちどころが悪く、彼は亡くなってしまったらしい。
けれど、両親は、彼の死を悲しまなかったそうだ。
息子の行動に困り果てていたから。
両親は彼の死を密かに喜んでいたようだ。
一方、私はというと、業界で知り合った人と結婚した。
ただ踊りは続けている。
夫が仕事を辞めないことを認めてくれているからだ。
だから私は今日も舞う。
◆終わり◆
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