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後編
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彼にそう言われてしまったら。
今さら引くことなどできやしない。
もはや後ろへ下がる道はないのか。
「自分は、貴女と生きていきたい」
腹をくくろうか。
「……はい」
それに、彼が王子であろうがなかろうが、彼が彼であることに変わりはない。
「よろしくお願いいたします……」
そうして私は王子ルリスと夫婦となるのだった。
◆
私はルリスと共に暮らし始めた。
王族が暮らす城で。
そこは一般人が暮らす世界とはまったく異なる世界。最初はとにかく緊張した。当然だらだらできる時間なんてない、しかも、いつも凛々しくあらなくてはならない。だからよく手洗い場にこもって心を休めていた。そこだけが唯一静かに穏やかに一人になれる場所だったのだ。
ちなみに、ネネはというと、ルリスが王子であることを知った途端悔しがって発狂していた。
「お姉さま! 騙したわね!」
そんなことまで言われてしまったけれど、そんなのはただの八つ当たりでしかない。
だって私だって何も知らなかったのだ。
すべてを知っていながら彼女を騙して奪い取ったわけではない。
そして、私とルリスが結婚して二年半ほどが経過した頃、ネネはルリスの部屋に許可なく侵入しようとして捕らえられる。
彼女は『王城という聖地に勝手に踏み込んだ』という罪と『王子に危害を加えようとした』という罪によって牢屋に入れられた。
聞いた話によれば、牢屋では罰として拷問のようなことをされていたらしい。
「貴女に何もなくて良かった」
「ルリスさん……妹がすみません……」
「いえ」
最初の頃は冷ややかに感じられた彼の言葉遣いにももう慣れた。
今は言葉の奥にある優しさを感じる。
「ご迷惑お掛けしました……」
「貴女が謝ることなどないのです」
私はきっと、これからも、ルリスと共に幸せに生きてゆくだろう。
◆終わり◆
今さら引くことなどできやしない。
もはや後ろへ下がる道はないのか。
「自分は、貴女と生きていきたい」
腹をくくろうか。
「……はい」
それに、彼が王子であろうがなかろうが、彼が彼であることに変わりはない。
「よろしくお願いいたします……」
そうして私は王子ルリスと夫婦となるのだった。
◆
私はルリスと共に暮らし始めた。
王族が暮らす城で。
そこは一般人が暮らす世界とはまったく異なる世界。最初はとにかく緊張した。当然だらだらできる時間なんてない、しかも、いつも凛々しくあらなくてはならない。だからよく手洗い場にこもって心を休めていた。そこだけが唯一静かに穏やかに一人になれる場所だったのだ。
ちなみに、ネネはというと、ルリスが王子であることを知った途端悔しがって発狂していた。
「お姉さま! 騙したわね!」
そんなことまで言われてしまったけれど、そんなのはただの八つ当たりでしかない。
だって私だって何も知らなかったのだ。
すべてを知っていながら彼女を騙して奪い取ったわけではない。
そして、私とルリスが結婚して二年半ほどが経過した頃、ネネはルリスの部屋に許可なく侵入しようとして捕らえられる。
彼女は『王城という聖地に勝手に踏み込んだ』という罪と『王子に危害を加えようとした』という罪によって牢屋に入れられた。
聞いた話によれば、牢屋では罰として拷問のようなことをされていたらしい。
「貴女に何もなくて良かった」
「ルリスさん……妹がすみません……」
「いえ」
最初の頃は冷ややかに感じられた彼の言葉遣いにももう慣れた。
今は言葉の奥にある優しさを感じる。
「ご迷惑お掛けしました……」
「貴女が謝ることなどないのです」
私はきっと、これからも、ルリスと共に幸せに生きてゆくだろう。
◆終わり◆
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