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ガルセインが一番可愛がっているのは、勇者仲間で回復術を得意としているレイビアという少女。さらりとした銀色の長い髪に青い瞳が特徴的な美少女である。魔王軍退治の際には活躍したらしい。お上品な笑顔を振りまく、同性から見ても『いかにも愛らしい』という感じの少女だ。
「レイビア、ちょっとこっち来いよ!」
「はい。ガルセイン様。参りますわ」
「ここに座ってくれないか? 怪我してるのを治してほしいんだ」
「ふふ、もちろん構いませんわよ」
レイビアはガルセインと私が婚約していることを知っている。にもかかわらず、何の躊躇いもなくガルセインに近づく。私への遠慮なんて欠片ほどもない。彼女はいつも、ガルセインを丸く大きな目で見つめ、甘い声を放つのだ。
彼女は特にガルセインを好んでいる。
距離も異様に近い。
単なる仲間とは思えないような雰囲気が、二人にはあった。
そんなことが続いたものだから、ふと気になって、私は城の者に二人の関係の調査を命じた。妙に親しげなのが気になるから、という、第三者からすればどうでもいいような理由だけれど。けれども、私にとっては、それはとても知りたいことだったのだ。
数週間後、調査結果が上がってきた。
ガルセインとレイビアが大人の関係に発展しているところが確認できた、という調査結果。私は何なとなく納得できた。考えないようにはしていたけれど、そんな気がしていたから。
調査結果といつくかの証拠を手に、私は父親のところへ行く。
そして、婚約を継続することはできないと、このまま話を進めることはできないと、そう説明した。が、父親はちっとも聞き入れてくれなくて。それどころか、彼は、私を責めるようなことを口にした。お前が積極的でないのが悪いのではないか、などと。
もう耐えられない。
私は数名の知人と共に家を出た。
「レイビア、ちょっとこっち来いよ!」
「はい。ガルセイン様。参りますわ」
「ここに座ってくれないか? 怪我してるのを治してほしいんだ」
「ふふ、もちろん構いませんわよ」
レイビアはガルセインと私が婚約していることを知っている。にもかかわらず、何の躊躇いもなくガルセインに近づく。私への遠慮なんて欠片ほどもない。彼女はいつも、ガルセインを丸く大きな目で見つめ、甘い声を放つのだ。
彼女は特にガルセインを好んでいる。
距離も異様に近い。
単なる仲間とは思えないような雰囲気が、二人にはあった。
そんなことが続いたものだから、ふと気になって、私は城の者に二人の関係の調査を命じた。妙に親しげなのが気になるから、という、第三者からすればどうでもいいような理由だけれど。けれども、私にとっては、それはとても知りたいことだったのだ。
数週間後、調査結果が上がってきた。
ガルセインとレイビアが大人の関係に発展しているところが確認できた、という調査結果。私は何なとなく納得できた。考えないようにはしていたけれど、そんな気がしていたから。
調査結果といつくかの証拠を手に、私は父親のところへ行く。
そして、婚約を継続することはできないと、このまま話を進めることはできないと、そう説明した。が、父親はちっとも聞き入れてくれなくて。それどころか、彼は、私を責めるようなことを口にした。お前が積極的でないのが悪いのではないか、などと。
もう耐えられない。
私は数名の知人と共に家を出た。
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