何かと不運でしたが、幸せを掴みました

四季

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前編

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 私、フレリア・カルカッタは、何かと不運だった。

 カルカッタ家の長女として生まれたのだが、両親は私ではなく妹ばかりを可愛がった。妹が生まれるまではまだ可愛がってもらえていたのだが、妹が生まれるや否や私は無視されるようになった。生きるのに必要な食べ物を与えてもらえていただけ、まだましかもしれない。だが、幼い私にとって、両親との接し方の変化はとても辛いものだった。

 両親は妹のことをよく褒める。
 可愛い、とか、賢い、とか……それに、自慢の娘だ、とも。

 私はそんなことは一度も言われたことがない。少なくとも、記憶がある範囲では。それどころか。愛想が悪いだとか地味だとか頭の回転が遅いだとか、嫌みなようなことばかり言われてしまう。昔も、今も。

 十八を迎えた日、私は両親が紹介してきた男性と婚約することになった。

 しかしそれも上手くはいかなかった。

 というのも、婚約者の男性が、凄まじく女好きな人だったのだ。

 婚約者がいようがいまいが関係なく好き放題遊んで回る。それが彼の主義だった。婚約者うんぬんなんて関係ない、やりたいことをやるだけ。そんな考えの持ち主だった。

 だから長続きはしない。
 結婚式を迎える前に、私は彼のもとから去った。

 しばらくは婚約者からも両親からも隠れて過ごした。が、両親に見つかってしまって。一年も経たぬうちに実家へ連れ戻されてしまうこととなった。

 それからはまた地獄のような日々。

 一度婚約者から逃げた私の立場は最悪なものになっていた。家族は皆、私を嫌悪感を滲ませた目で見てきた。

 父親は少し機嫌が悪くなると「出来損ないの娘、恥を晒すな!」と罵倒してくる。
 母親は隙あらば嫌みを投げてくる。
 妹は睨んでくる。また、時折絡んでくることもあるが、それは大抵私を馬鹿にした気持ちの時だ。また、わざわざ罠にはめて困っている私を見て嘲笑う、というようなことをしてくることも少なくはない。

 そんな中で生きるのは苦しすぎた。

 地獄よりも辛い。

 このままだとおかしくなってしまう。心が壊れてしまう。ここにいたら、まともに生きてゆくことなんてできるはずがない。

 そんな風に考え、私は家から出ていくことを決意した。
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