私の実母は最低な人でした。そのため死を選ぼうとしたのですが、ちょうどその時ある存在に出会ったために大きく方向転換することとなり……。

四季

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3話

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「死にに……?」
「はい、私はこの世から去ります」
「駄目だよ!」
「もう嫌なんです、何もかも。その手を離してください」

 すると彼は翡翠のような瞳でじっとこちらを見つめてきた。

「じゃあ、死ぬんじゃなくて、人間やめるってのはどう?」

 彼は静かな声でそう提案してきた。

「え……」
「僕らみたいな道を行くんだ」
「どう、いう……」
「人間をやめればいい。なら死ぬ必要はなくなる。それに、人間でなければ誰だって何でもできる。もうお金なんて関係なくなるしね」

 彼は名をローゼットといった。

 私はなぜか彼に惹かれた。
 そして彼と共に歩む道を選ぶことにした。

 どうせ死ぬ気だったのだ、人間をやめるという選択だって一つだろう――そう考えて、私はローゼットと共に行く道を選んだのである。

 その後、結論からいうと、私は母への復讐に成功した。

 人間をやめた時に手に入れた情報を好き放題広められる能力によって。

 まずは母の不倫と私への心ない対応を彼女の夫である父に知らせた。最初こそいたずらかと信じなかった父だったが、何度も情報が入ってきて、やがて知人から「奥さん不倫してるよ」と言われたことでついに事実を事実と受け入れた。そして父は慰謝料を取って離婚した。

 その後私は多くの人に母のこれまでの悪しき行動について情報を与えた。

 すると驚くべき量の批判が母に届いて。中には過激な人まで発生。そしてある日の夕暮れどき、母は過激な批判者にナイフで刺された。死にはしなかったものの、その件がトラウマになり、以降母は一人で家から滅多に出られないような状態となってしまった。

 母は離婚後しばらく実家へ戻っていたが、ちょうど母が心を病んだ頃に彼女の両親は他界。それによって母は一人ぼっちになってしまった。親の死後はずっと一人ぼっちで泣いていたようだ。

 今や彼女は悪の人。
 誰もがそう理解している。

 これが私の復讐――娘を虐めこき使ってきた罰から、母は生涯逃れられない。

 そして私はというと、これからは、ローゼットと共に人々に色々な出来事を与える仕事に従事してゆく予定だ。

 今の私には仲間がいる。
 もう一人じゃない。
 だからどんな山も谷も越えてゆけるしそう信じられる。


◆終わり◆
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