満月の夜、私は見てしまったのです――婚約者が知らない女と抱き合っているところを。

四季

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後編

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「分かりました。ではそれで構いません」
「何だその態度は!」
「ただし、こちらの写真をばらまきますので」
「なっ……!?」

 オルクルは今になって己が不利であることに気づいたようだ。

「それだけはお覚悟を。では、さようなら」

 理不尽に捨てられるくらいなら、こちらからも捨ててやる!

 その後私は両親に協力してもらいオルクルの行動を明るみに出した。
 その結果オルクルの評判は転落する。
 また、彼の仕事先にも情報を流したため、彼は住んでいる地域でも職場でも冷ややかな目を向けられることとなる。

 オルクルは婚約者がいる身で他の女と抱き合うようなどうしようもなくだらしない男。

 みるみるうちに多くの者がそう認識するようになっていった。

 そして彼は社会的に死んだ。

 彼は終わったのだ。
 色々な意味で。

 それは肉体的な死ではない、が、彼は名誉も築いてきたものも失った。

 皆に冷ややかな目を向けられる。
 それこそが彼への最大の罰だろう。

 また、オルクルと抱き合っていた女性も股の緩いだらしない女として有名になってしまい、あっという間に男性から相手にされなくなっていったそう――そして彼女はある夏の日に自ら死を選んだそうだ。

 婚約破棄から数ヶ月が経った頃、私は中央公園にて王子とばったり出会い、見初められた。
 そこから私の人生は大きく変わっていく。
 自分の人生は大きく方向転換、嘘みたいな早さで王子の妻となる道へと進み始めたのだ。

 私は幸せになれる。
 今は真っ直ぐにそう思える。

 これからもきっと良いことがたくさんあるはず、だから大丈夫。


◆終わり◆
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