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後編
しおりを挟む「マリーですぅ、わたしぃ、ローラン様に愛されてしまってぇ……婚約者さんごめんなさいねぇ? わたしが魅力的だったがためにぃ、こんなことになってしまってぇ」
女にまで余計な言葉をかけられる。
「いいんだマリー、君は何も悪くない」
「でもぉ、婚約者さんが睨んできてぇ……ちょっと、怖い」
「気にするなマリー、所詮嫉妬さ。盗られたとか思って勘違いしてるだけさ。マリーはマリーでいいんだ、本当に可愛いんだから堂々としていればいい」
二人は、今まさに捨てられたばかりの私をちらちら見ながら、くすくすとこもった笑みをこぼす。
もういじめみたいなものじゃないか、こんなのは……。
「これでさよならだ、じゃあな」
最後、ローランはそれだけしか言わなかった。
◆
あの悲しい婚約破棄から数年、私はようやく幸せを掴んだ。
ちょっとしたことから参加した国主催のパーティーにて知り合った王族の男性と結婚、私は今彼と共に人生という道を歩めている。
「今日、この資料、作っておいてもらえるかな?」
「はい!」
「いつもごめんね、色々」
「いえ! いいんです、私こういうの意外と好きなので!」
「じゃあ……頼むよ」
「お任せください!」
私と彼は夫婦であり仕事上のパートナーでもある。
「あ、そうだ。今度食事しようよ、久々に二人だけで」
「良いですね!」
「何が食べたい?」
「海の幸、とかですかね」
「それいいね! 名案! じゃあその方向で」
「お願いします」
ローランとはあれから一度も会っていない。一度切れた縁はもう戻りはしないのだ。ただ、そうなったことを、今は後悔していない。だって、彼があの時私を切り捨てたからこそ今があるのだから。この幸せは、彼といたままでは掴めなかった。
ちなみにローランとマリーはというと、ある時から友人の影響で過激な思想に染まりだしたそうだ。で、ある大規模集会に参加。そこで仲間たちと共に危ない行動を長時間にわたって続けたらしい。そして、それによって、国の治安維持組織に拘束されたのだそうだ。そうして二人は引き離され、別々に処刑されることとなったのだそう。
結局二人は最期までは一緒にいられなかったのだ。
◆終わり◆
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