2 / 3
2話「妹を泣かせるなんて」
しおりを挟む
◆
「ねえさまぁぁぁ……婚約破棄されてしまいましたぁぁぁ……」
その日、ハニーは泣きながら帰ってきた。
「婚約破棄? 何があったの? 取り敢えず落ち着いて……それから話して」
「はいぃぃ……」
ハニーの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちている。
彼女をこんな風にするなんて。
酷すぎる。
泣かせるなんて。
「そう。じゃあ、婚約破棄されてしまったのね」
「はいぃぃ……」
「しかも、理由が名前のことだったのね」
話を聞けば、ハニーが婚約破棄された理由は『名前がかっこわるく親戚になりたくない』というものだったらしい。もしかしたら別の理由もあるのかもしれないが。ただ、アマンが口にした理由は、名前のことだけだったとのことだ。
「ねえさま……ごめんなさいぃぃ……家に傷をつけてしまって……」
「何を言うの! ハニーは悪くないわ」
「でも……婚約破棄された妹が……いる、なんて……」
ハニーにこんなことを言わせるなんて辛すぎる。
「大丈夫! ハニーは悪くないし、責めたりしないわ!」
「ねえさま……」
「今一番辛いのは貴女よ、そこにさらに攻撃するようなことは絶対にしない。信じて」
ただ名前が長かっただけ。
彼女に非はない。
そもそも、名前なんて彼女が決めたものでもない。
どこに非があるというのか。
「今はゆっくりして」
「ねえさまぁぁぁ……婚約破棄されてしまいましたぁぁぁ……」
その日、ハニーは泣きながら帰ってきた。
「婚約破棄? 何があったの? 取り敢えず落ち着いて……それから話して」
「はいぃぃ……」
ハニーの瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちている。
彼女をこんな風にするなんて。
酷すぎる。
泣かせるなんて。
「そう。じゃあ、婚約破棄されてしまったのね」
「はいぃぃ……」
「しかも、理由が名前のことだったのね」
話を聞けば、ハニーが婚約破棄された理由は『名前がかっこわるく親戚になりたくない』というものだったらしい。もしかしたら別の理由もあるのかもしれないが。ただ、アマンが口にした理由は、名前のことだけだったとのことだ。
「ねえさま……ごめんなさいぃぃ……家に傷をつけてしまって……」
「何を言うの! ハニーは悪くないわ」
「でも……婚約破棄された妹が……いる、なんて……」
ハニーにこんなことを言わせるなんて辛すぎる。
「大丈夫! ハニーは悪くないし、責めたりしないわ!」
「ねえさま……」
「今一番辛いのは貴女よ、そこにさらに攻撃するようなことは絶対にしない。信じて」
ただ名前が長かっただけ。
彼女に非はない。
そもそも、名前なんて彼女が決めたものでもない。
どこに非があるというのか。
「今はゆっくりして」
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
あの日々に戻りたくない!自称聖女の義妹に夫と娘を奪われた妃は、死に戻り聖女の力で復讐を果たす
青の雀
恋愛
公爵令嬢スカーレット・ロッテンマイヤーには、前世の記憶がある。
幼いときに政略で結ばれたジェミニ王国の第1王子ロベルトと20歳の時に結婚した。
スカーレットには、7歳年下の義妹リリアーヌがいるが、なぜかリリアーヌは、ロッテンマイヤー家に来た時から聖女様を名乗っている。
ロッテンマイヤーは、代々異能を輩出している家柄で、元は王族
物語は、前世、夫に殺されたところから始まる。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
今さら泣きついても遅いので、どうかお静かに。
有賀冬馬
恋愛
「平民のくせに」「トロくて邪魔だ」──そう言われ続けてきた王宮の雑用係。地味で目立たない私のことなんて、誰も気にかけなかった。
特に伯爵令嬢のルナは、私の幸せを邪魔することばかり考えていた。
けれど、ある夜、怪我をした青年を助けたことで、私の運命は大きく動き出す。
彼の正体は、なんとこの国の若き国王陛下!
「君は私の光だ」と、陛下は私を誰よりも大切にしてくれる。
私を虐げ、利用した貴族たちは、今、悔し涙を流している。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる