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3話「守りたい」

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 一方的に婚約を破棄し、理由も意味が分からないようなもの。やりたい放題虐めただけでなく切り捨てるなんて、アマンには人の心というものがないのか。なぜそんな酷いことができるのか、私には理解できない。

「ハニー、後は私に任せて」
「ねえさま……?」
「アマンたちをぎゃふんと言わせてやるわ!」

 今こそ、私の調査の成果を利用する時だ。

 可愛い妹を泣かせる男。
 絶対に許さない。
 顔面を絶望に染め上げてあげる。

 ここからは私の出番よ。


 ◆


 私はアマンとその母親の悪い行いを世に出した。

 表向きは良い家柄の母息子で通っていた二人の評判はあっという間に地に堕ちる。
 証拠が揃っているので本人たちが何を言おうとも無駄。
 こちらは主張が事実であることをはっきり皆に知らせるものを持っているので圧倒的に有利だ。

 アマンは闇取引に参加していた罪と禁止薬物をやり取りしたり所持したりした罪で逮捕。
 彼の母親は不倫がばれたことで夫から離婚を言い渡され、また、騒ぎになったことで不倫相手の男たちにも離れていかれ一人ぼっちになった。

 もちろん、ハニーを虐めていた事実も世に出た。

 ざまぁみろ、というやつね。

 でも悪いのは本人。
 自業自得だ。


 ◆


「ねえさまがあんなネタを持っていたなんて驚きました」

 あれから数ヵ月が経ったが、ハニーはだいぶ元気になっている。

 毎日彼女を可愛がってきた。
 だからこその達成感。
 愛しい人が私の頑張りで元気になってくる、こんなに嬉しいことはない。

「実はこっそり調査していたのよ」

 ハニーの好きなお茶を淹れながら。

「でも……本当に、ありがとうございました。助かりました」
「いいの、私はハニーを守りたかっただけよ」

 私はハニーを守りたい。

 これからも、ずっと。


◆終わり◆
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