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1話
しおりを挟む母は最低な女だ。
外面だけはいい、よその人に対しては良き母を装っている。
しかし中身はカス以下である。
少し動物を可愛がっていれば私のその行動を「虐待だ」などとののしり、婚約者と仲良くしていれば不機嫌になったりその婚約を壊す行動をし、私の些細な行動に対して突如「非人道的だ」などと喚き出す。
母の人生において楽しみというものは娘である私を侮辱することしかないのだろう。
ある意味可哀想な人なのかもしれない。
でもだからといって許せるわけもない。
だって、罪なき人に対して平然と暴言を吐くのだ。
しかも謝りもしない。
そんな人を許せるか?
そんな人を愛せるか?
……不可能だろう、そんなのは。
私は母に何と言われても言い返しはしない。なぜなら余計ややこしいことになるだけと知っているから。無駄な労力を使うことはしたくないから、たとえ暴言を吐かれても黙って流しているのだ。
でも、だからといって、彼女の発言を受け入れているわけではない。
喧嘩していたわけでもないし言い合いになっていたわけでもない、にもかかわらず一方的に人格を否定するような言葉を発する女――受け入れられるはずがないではないか。
特に、些細なことで「非人道的」はないだろう。
私は戦争をしたのか? 戦争犯罪を? 抵抗できない人々を蹂躙するような行為を、人権をないがしろにするようなことを、したというのか。何百人という人の命を奪って。非人道的、というのは、本来そういうことのはずだ。でも私はしていないだろう? 殺してなんていないし、辱めてもいない。
急に他者の人格を貶める発言ができる人の方がいくらか非人道的だと思うのだが?
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