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しおりを挟む「婚約者がいる身でありながら好き放題するのはどうかと思います。特に他の女性と過剰に深い関係にまで至るとか……そういったことは人の道から外れていると思うのです」
その日、私は、婚約者アズリーに対し意見を述べた――のだが。
「はぁ? 何言ってんだ、偉そうに」
アズリーは私の言葉になど少しも耳を貸さず。
「くっだらね。もういいわ、婚約は破棄な」
人生の方向性を大きく変えるようなことをさらりと告げた。
「な……どうして、そんな、こんなことだけで!?」
「当たり前だろ、口ごたえしたんだから」
「私はただ意見を述べただけです。それなのに婚約破棄だなんて。では貴方は私に一生言いなりになれと仰るつもりなのですか?」
すると彼はふっと笑みをこぼして、ああ、と短く返してきた。
「そんな。私は奴隷ではないのですよ?」
「分かってるさ、だから鎖で繋いではないだろ。自由に動けるようにしてやっているじゃないか。何だ、それでもまだ文句があるっていうのか?」
「そういう問題ではありません。私が言っているのは身体拘束に関してではないのです」
「うるせえな!!」
「……叫ばないでください」
「女は黙ってはいはい言って頷いてろって言ってんだよ! それが女、雌ってもんだろ!」
そんなことはない。
この世に生きる様々な生物たちは雌だからといって雄の言いなりになっているわけではない。
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