2 / 3
2話
しおりを挟む
「ま、いいさ。これ以上言ってもお前みたいな馬鹿には分からないだろうからな。関係はここまでだ。婚約は破棄、じゃあな」
最後まで、彼は私に発言する権利を与えようとはしなかった――いや、厳密には、それを受け入れ認めなかった。
一応仲良しでいるつもりだった。
同意のもとに婚約したから。
でもどうやらそれは私の思い込みであって、実際にはそうではなかったようだ。
私の心と彼の心は同じではなかったみたい。
結局彼は私を言いなりにしておきたかっただけ。自分の意見を述べる私なんていうものは不要なもので。ただ一応婚約者を持っていただけ、雌を最低限一体確保しておきたかっただけ、ということなのだろう。
そこに人と人の愛みたいなものは存在しなかった。
◆
あれから数年が経過、私は先日父親の仕事場の社長の子息と結婚した。
「これから新しい暮らしが始まるんだね、わくわくするよ」
「ええ、私も」
私の方が一つ年上。
けれども彼はいつもほどよく甘やかしてくれる。
年下男子とは思えぬ包容力を持った人だ、彼は。
余裕のある環境で育ってきたからだろうか、彼はいつも落ち着いている。若いのに、まるで大人の男性みたい。年齢のわりに心が広く、攻撃的なところもあまりない。
私は彼のそういうところが好き。
「家事は任せてちょうだい! 上手くやってみせるわ!」
アズリーとは上手くいかなかったけれど、今度こそ上手くやってみせる。
「ありがとう。でも僕もたまにはやるよ。結婚生活って二人で協力することが大事だからね」
ただ、結婚生活を順調に、というのは私一人の問題ではない。それゆえ相手の意識も大きく関係してくるものなのだ。でも、協力して生きていこうという発想がある彼となら、きっと順調にやっていけるだろう。
最後まで、彼は私に発言する権利を与えようとはしなかった――いや、厳密には、それを受け入れ認めなかった。
一応仲良しでいるつもりだった。
同意のもとに婚約したから。
でもどうやらそれは私の思い込みであって、実際にはそうではなかったようだ。
私の心と彼の心は同じではなかったみたい。
結局彼は私を言いなりにしておきたかっただけ。自分の意見を述べる私なんていうものは不要なもので。ただ一応婚約者を持っていただけ、雌を最低限一体確保しておきたかっただけ、ということなのだろう。
そこに人と人の愛みたいなものは存在しなかった。
◆
あれから数年が経過、私は先日父親の仕事場の社長の子息と結婚した。
「これから新しい暮らしが始まるんだね、わくわくするよ」
「ええ、私も」
私の方が一つ年上。
けれども彼はいつもほどよく甘やかしてくれる。
年下男子とは思えぬ包容力を持った人だ、彼は。
余裕のある環境で育ってきたからだろうか、彼はいつも落ち着いている。若いのに、まるで大人の男性みたい。年齢のわりに心が広く、攻撃的なところもあまりない。
私は彼のそういうところが好き。
「家事は任せてちょうだい! 上手くやってみせるわ!」
アズリーとは上手くいかなかったけれど、今度こそ上手くやってみせる。
「ありがとう。でも僕もたまにはやるよ。結婚生活って二人で協力することが大事だからね」
ただ、結婚生活を順調に、というのは私一人の問題ではない。それゆえ相手の意識も大きく関係してくるものなのだ。でも、協力して生きていこうという発想がある彼となら、きっと順調にやっていけるだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
6
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる