先の長くない命と言われたので婚約破棄されるものと思っていたのですが……。

四季

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前編

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 夕暮れ時、私は、担当の医師から「先の長くない命だ」と告げられた。

 私は一番に婚約者オーガニック・コットンにそのことを連絡した。
 最も迷惑をかけるのは彼だろうと思ったからである。

 その日はもう夜が近づいていたので眠った。

 翌日、オーガニックが病室へやって来た。

「話は聞いたよ。そんなに状態が悪いのかい?」
「はい、実は。……申し訳ありません」

 本当のことを告げてしまった。きっともう関係は続いていかないだろう。ここで終わってしまうだろう、婚約破棄を告げられてしまうに違いない。

 だが。

「そうか。なら、最期まで、共に在ろう」

 オーガニックは婚約破棄は口にしなかった。

「だが私は諦めない!」
「え」
「君を救う道を探す!!」
「ええ……」

 彼は前向きだった。
 この状況でも明るい未来を見据えているようであった。

「道はあるはずだ」
「そうでしょうか……」
「諦めるな! 最期まで! 死に抗うんだ!」

 今日の彼はやたらと熱血系である。

「……婚約破棄しないでくださってありがとうございます」
「何だって? するわけないだろう」
「本当にありがとうございます。……救いです」

 死が近い私を切り捨てなかった彼には感謝の気持ちしかない。
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