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#038 Bagatelle
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ザルツブルク・51歳男性「目が覚めたら夕方だったな。あの若僧に文句の一つや二つ言ってやりたかったが、奴もあれだけ苦労したんだ。もう二度と壊したりしねぇだろ。次バラして来たら炉の中にブチ込んでやるか…」
…………………………………………………………………………………
ガラス窓を大振りな雨粒が叩き付ける音が静まり返った室内に響く。シェリーはミーアと並んで最上階の社長室にある応接間のソファに腰掛け、部屋の主が戻ってくるのを待っていた。
異端の一員であった『シェスカの遺作を模して造り替えられた存在』であるペネムと接触し、シェリーは自身に秘められた力の可能性を知った。……知ってしまったのだ。
ミーアは当初、シェリーが楽団本社預かりでオーストリアに残される事を危惧し、何の成果も得られなかったという筋書きで社長に報告しようと画策していた。
それは、自らが育て上げた京哉が預かる彼女を彼から奪う事をしたくなかったからだ。
しかし、事態は大きく動いてしまった。
各国で旋律師を惨殺して回っていた子供連れがオーストリア入りするという情報を得た楽団は、ミーアを現地に向かわせて事を処理させた。
わざわざ支部長という立場の人間を向かわせたのだ。上層部には彼女の考えなど筒抜けだったのであろう。彼らはミーアとは違い残忍だ。目的の為ならば、旋律師という駒は如何様にも動かせる。
だから、オーストリアに呼び出したシェリーに彼女自身の秘密を聞き出させる状況を作り、否が応でも『アンプ』という存在の有用性を示す結果をミーアに齎したのである。
暫く壁にかかった時計をじっと眺めていたシェリーの元に、ようやく彼の足音が近付いてくる。
一つ会議を終わらせた後のロジャーは小脇に抱えていた資料をデスクの上に置き、足早に二人の元に歩み寄ってきた。
「悪いね。時間も時間だ。早急に今後の事を決めてしまおう」
対面にドサッと腰掛けたロジャーは、不安げな表情を浮かべるシェリーを一瞥してからミーアの方に視線を移す。
「速報では聞いたよ。オルバスの設計図……異端の本拠地に乗り込む必要がある、か……」
「社長……やはり彼女はキョウヤの傍におくべきではないでしょうか。万が一の事態に備えて監視を続けるという意味でも彼は適任で…」
真剣な表情で捲し立てるように意見を述べてきたミーアの様子に、ロジャーは瞼を瞬かせていた。そして、困った様子で眉を下げると咳払いをしてから言葉を返す。
「落ち着いてくれ、ミーア。彼女の事は引き続きキョウヤに任せるつもりだ」
オーストリアに留めるつもりは無い、と続けたロジャーにシェリーの緊張した面持ちは少しずつ綻んでいく。
「……日本に…帰れるんですか?キョウヤと…」
「ああ。なるべく早い便で向かってもらうつもりだよ。次なる手掛かりは今、日本に本拠地を構えている異端の人間が持っている訳だからね」
シェリーが能力を得る鍵となるオルゴールの謎を解き明かす為に、異端が所持しているというオルバス・シェスカの設計図を奪おうというのだ。
そして、その任を彼女の監視役である京哉に託して彼らを日本に返すつもりだと述べたロジャー。
喜びを隠しきれない様子でニヤけているシェリーを横目に、ミーアは眉間に深く皺を寄せて解せないという態度を露わにしていた。
楽団の体質を熟知している彼女だからこそ、その違和感が拭いきれなかった。シェリーが人体のみで莫大な音エネルギーを生み出す存在と知れた今、本社預かりにして利用しない手は無い筈。
ヨーロッパ支部長という立場であるミーアがつい今し方終わった会議への出席を許されなかったのは、シェリーを再び野放しにする真の理由を隠す為に他ならない。
…………………………………………………………………………………
軽い足取りのシェリーを先に社長室から退出させると、晴れない表情でじっと自分を見つめているミーアの方に向き直ったロジャーは組んでいた腕を解いて前傾姿勢になる。
「疑う相手を間違えるなよ、ミーア」
思いもよらない彼の言葉に、ミーアは訝しげに眉を顰めて問う。
「…疑う……相手?」
「君は今、自分一人が呼ばれなかった会議に集まっていた上層部の人間に不信感を抱いている。もちろん、私を含め…そうだろう?」
図星を突かれ、返す言葉が思い浮かばない様子のミーアを見て、ロジャーはくつくつと静かに笑っていた。
「……昔、タクトに管理を任せていた超絶技巧の楽譜の在処がわからなくなる事件があったのは覚えているか?」
「え、ええ……確か、10年以上前です。あの事件の際に、第21楽章を紛失してしまったのだと聞いていますが…」
何故、今その話題を振られたのだろうか…ミーアの頭の中に疑問符が浮かぶ。
「オルバス・シェスカには当時、この本社中にあるピアノの調律を任せていたんだ。事件の前日、唯一社屋に入った外部の人間はオルバスだった……楽譜の一部を外に持ち出したのではないかと疑いを掛けられた彼は、その日以来楽団を出禁になっている」
淡々とした口調で語られたのは、ミーアがこれまでに何度も耳にしている情報であった。
楽団が贔屓にしている調律師組合に所属していたオルバスは当時からオルゴール作家として一定層のコレクターに人気があった。
しかし、到底家族の生活を支えられるほどの収入は得られておらず、その器用さを活かして調律師としての仕事もしていた。
そして、オルバスが楽団に出入りしていた期間は、天地開闢の物語、超絶技巧第21楽章『別天津神』の楽譜を紛失した時期と丁度重なる。
ふと、顔を上げたミーアはある可能性に辿り着き、僅かに震えた唇でロジャーにその答え合わせを求めた。
「……まさか…シェリアーナのオルゴールは別天津神と関係が…?」
「いいや。完奏が異能修得条件の超絶技巧において、オルゴールに刻める程の短さでは無理だと我々は考えていてね」
ギシッと短くソファの骨組みの木材を軋ませながら立ち上がったロジャーは窓際までゆっくりと歩み寄りながら、いまだに雨が降り続く屋外の様子を眺めた。
「私は…これまで、ただの一度も第21楽章の[[rb:楽譜 > スコア]]本体をこの目で確認した事が無いんだよ」
窓に張り付いていた雨粒が自重で徐々に滑り落ちる様を見つめていた彼から紡がれたその言葉に、ミーアはつい先刻の事を思い出す。
「………社長はタクトの事を疑っているのですか?」
全21楽章と言いながら、その楽譜の実体を確認できなかったとされる別天津神。
その楽譜がもし紛失したのではなく今でも彼の手元にあるとしたら…。それは最初からロジャーの目を欺き、何らかの目的のために隠し持つ必要があるということになる。
普段から飄々とした態度で軽口ばかりを叩く楽団専属の作曲家は、彼が生み出した超絶技巧について一体何を隠しているというのだろうか。
「タクトが我々にも言えない秘密を託せる相手など数限られる。それがオルバスだったとしたら……奴の狙いを知るのには良い機会だと思わないか?」
そこで初めて、ミーアはロジャーを始めとした上層部の狙いに気付いた。
シェリーが異能を手に入れる段階で、オルバスが彼女の体内に隠した『託斗への疑念の解答』を暴く事になる。その作業を彼の息子である京哉に担わせる事によって、自身に疑いの目が向けられている事を悟らせない為であった。
託斗が何かを企んでいるのだとしたら、その狙い通りに事が進めばより真実に近い所まで彼に妨害される事なく探りを入れることができる。
「……彼は…貴方の腹心ではなかったのですか?」
目を細めて問うミーアを一瞥すると、ロジャーは肩を竦めた。
「そう思いたかったが……奴が我々を恨む理由は五万とある。まぁ…取り越し苦労ならそれで良いじゃないか」
更にミーアは、ロジャーの口振りから上層部が今回の決定に至る真の理由についても察しを付けた。
オルバスが自身の求める音色の為に及んだ、墓荒らしや殺人の数々。そして、実の娘の身体を使った奇行。最高傑作にして遺作となったシェリアーナを成す為のそれらが全て託斗の指示によるものだったとすれば、京哉は彼女の為に父親を糾弾するかもしれない。
楽団の要である託斗に危害が及ぶ事を恐れた上層部は、彼の息子に何の情報も与えないまま敵地に乗り込ませようと画策していたのだ。
思えば京哉を旋律師にさせた当初から、上層部から彼に対する風当たりは強かった。それは、託斗の血を引き、シエナの演奏能力を受け継いだ京哉による謀反を恐れるが故。
「怖い顔をするな…ミーア。悪戯にキョウヤの心を乱す必要は無いだろう?わかってくれ」
窓から視線を逸らし、デスクに戻っていくロジャーの方に一度頭を下げたミーアであったが、到底納得いかない。
飲み込めない感情が喉元まで上がってくるが、彼女にはそれ以上意見する事ができなかった。組織を存続させる為には、必ずしも“正しく無い事”を正す必要は無いと理解していたからであった。
…………………………………………………………………………………
更に雨足が強くなり、窓に打ち付けられる雨音が大きくなる。夕闇が迫るリング通りを等間隔に並んで設置された街灯が柔らかい光で照らす中、帰路を急ぐ人々の流れもまばらになっていった。
顔に大きな傷痕のある革手袋の男。その目撃者である椿を連れて社屋から出た京哉は、駅に向かう群衆の間を縫って前に進んでいた。
「丁度その街灯のあたりにいた…」
特徴的な外見ではあるものの、その男が噂を流布した張本人であった確証は無い。しかし、もし本人であればわざわざ[[rb:楽団 > ギルド]]の目が届く範囲に姿を現した理由を探る必要がある。
「京哉達にとって不利益な人間なんでしょ?見つけて始末した方が良い?」
「いやいや…何で張り切ってんだよ。社長にもこの件は担当作って解決させるからって言われてるから、これ以上は…」
突拍子もない事を言い出した椿を窘める京哉であったが、ふと視線を移した先に見えた男女と目が合いペコリと会釈する。
ボルドーで細身のロングドレスの上に厚手のコートを羽織った女はブロンドのストレートヘアを手櫛で整えながら京哉の方に手を振った。
「久しぶり。戻ってたんだ、オーストリア」
どうやら京哉とは知り合いのようで、椿の方を一瞥してから彼に話し掛ける。そして、その隣を歩くカッチリとした紺色のダブルスーツに茶色いクラウドマッシュのオールバックでビジネスマンのような印象の長身の男もまた、京哉に向かって笑い掛けてきた。
「3年ぶりだよね。日本での仕事はもう終えてきたの?」
「いやいや…楽器の修理の為に一時帰国してるんですよ。お二人はこれから仕事ですか?」
引き摺っていたキャリーケースを指差しながら京哉が尋ねると、女の方は深い溜め息をつきながら腕時計の盤面を指でコツコツと叩いた。
「楽団のデマを流して回ってる男を何とかしてこいって…。そりゃあ、そういうのは私達の仕事だけどさぁ、時間を考えて欲しいよね…時間を」
ちょうど世間的には終業時刻とされている時間である。一般企業を装いながらも、闇稼業に従事する彼らにとって労働基準法の類は適応されないようだ。
漠然とした任務を言い渡され、当然のように熟してくる事を要求される。
しかし、楽団からの指示とはいえ、二人が出動する事になった原因を作ったのは京哉であった。朝、例の男の件でロジャーに報告を入れたのは紛れもなく彼である。
その事に気が付いたのか、グチグチと文句を垂れる女の様子を見る京哉の表情が引き攣っていく様子に男の方が小首を傾げる。
「どうかした?ウガミくん?」
「あ…!いやあ……!とんだ不届者がいるもんですねぇ!許せねぇや!と思いまして!!」
だははーっ、とわざとらしく笑う京哉に別れを告げると、男女は再びキャリーケースを引き摺りながら帰路を急ぐ人々の流れに紛れていった。
やっと視界から彼らが消えた所で脱力した様子の京哉の腕を指で突いた椿。今のは一体誰だ、と説明を求める表情をしていた。
「僕がヨーロッパ支部にいた時の同僚。楽団の噂流してる奴をどうにかしてこいって言われたらしい」
「……で、京哉はさっきここら辺にその怪しい男が居たって教えてあげたの?」
その問い掛けの後、数秒思考停止した京哉は慌てて踵を返した。しかし、当然ながら二人の姿はもう視認できない。
…………………………………………………………………………………
ニコラ・コルディエとシルヴィア・ベルナールは上長からの指示でウィーンからザルツブルクに移動していた。高速鉄道を使って約2時間の距離である。
ストリートパフォーマンスで賑わう通りを抜けた先に見える古い木造住宅。塗装の剥がれたドアをノックすると、バタバタと忙しない足跡の後にゆっくりとドアノブが下がった。
押し開けられたドアとの隙間から顔を出したのは一人の男児。就寝前のようで毛玉の目立つパジャマを着ていた。
ニコリと笑いかけてきた大人達の様子に小首を傾げていると、彼の背後から一人の青年が姿を現す。
「……何だよアンタら…こんな夜中に…」
訝しげに眉を顰めると、男児の腕を引いて寝室に行くように促す。最初は渋る彼だったが、突然の訪問者を警戒する兄の気持ちを察した様子で一人奥の部屋に消えていった。
「夜分遅くにすみません。我々、ウィーンで貿易会社をやっておりまして…」
「ウィーン?」
にこやかに笑いかけてくる男女の様子に少しばかり警戒を解いた青年は、玄関ドアを大きく開けて二人に対峙した。
そして、次の瞬間には体の中心から何か熱いものがダラダラと流れ出るのを感じながら床にバタリと倒れ伏す。
ピクピクと痙攣する青年の肩をピンヒールの底で押して仰向けにさせたシルヴィアは、胸を貫いていた一本のサバイバルナイフの柄を掴んで一気に引き抜いた。
「ニコラ、奥」
彼女が顎でしゃくりながら指示した先にあるのは、先程男児が消えていった部屋。
最後に兄の物と思われるキーケースから家の鍵を奪い取り、外側から施錠する。シンと静まり返った屋内で、ベッドに横たわる兄弟の遺体の上には丁寧に布団がかけられていた。傍目にはただ眠っているだけのように見せかけているのは、万が一すぐに彼らを尋ねて来た人間が現れたとしても、逃走の為の時間を稼ぐ為である。
スーツに付着した埃を手ではたき落としたニコラの横で、シルヴィアは返り血の付着したベージュのコートを一度脱ぎ、表裏をひっくり返すとそれまで裏地だった黒い面が外側になる。
「それ、リバーシブルだったんですね」
「2枚持って歩くのはダルいでしょ?これからあと何人も消して回るのに上着無しじゃ寒いし」
彼女の返事を聞いて、ニコラは虚空をボンヤリと見上げながら指折り何かを数え始めた。そして、理解したように深く頷く。
「調査班からの情報だと、街のチンピラや浮浪者に噂を広めるよう指示を出していた男……どうも本当にクスリの類を扱ってるバイヤーが絡んでたらしい」
「成程…噂を利用して実際に利益を得ていた人間がいるという事ですか。楽団を陥れる事だけが目的ではなさそうですね」
トゥーフラウベンに根城があると続けたシルヴィアからの情報に、ニコラは懐から取り出した手帳を広げる。街灯の下で立ち止まるとページの間に挟んでいた高速鉄道の時刻表に目を凝らした。
終電は現在時刻より約15分後。走れば何とか間に合うという距離だ。腕時計の盤面をコツコツと人差し指で叩いた彼の様子を見たシルヴィアはあからさまに嫌そうな表情を見せる。
…………………………………………………………………………………
身体の内側が燃えるように熱く、捩じ込まれた異物が臓器を圧迫して呼吸をする事すらままならない。
どうしてこの状況に陥ったのか記憶が曖昧である。
関係者を殺害し、バーを後にした時だった。ザルツブルクから戻った時にちょうど雨は止んでいたが、路面には所々に大きな水溜まりができていた。
雲の合間から覗いた月明かりが反射し、一瞬影のようなものが揺らめいて水溜まりに映ったように感じた。
そこから先の事は覚えていない。
急に地面に倒れたのだろうか。打撲を負った時のような痛みも皮膚のあちこちに残っている。
脳がぼやけるような感覚に襲われながら、ギリギリ意識を保ち続けていたニコラの視界に突如入ってきたのは右頬に大きな傷痕のある壮年の男。その手には革手袋がはめられており、先端の尖ったペンチを握っていた。
「次にあの建物から出てきた奴にしようって決めてたんだよ」
唐突にそう切り出してきた男。薄暗い空間にギシギシと木の軋む音が響き、最後に聞こえたパチンという音で頭上から瞬い光が広がる。天井から吊るされた裸電球が煌々と空間内を照らし、ニコラの目の前に横たわっていたシルヴィアに焦点が合う。
衣服は纏っておらず、彼女のものと思われる大量の血液が古い木の床を濡らしていた。
苦しそうに短く繰り返される小さな呼吸音を聞きながら、ニコラは彼自身も裸の状態で床に転がされていることに気が付く。
「アジア人の二人組の方は、俺だと気が付いて様子を見に来てたみたいだな。建物からはほぼ死角になる位置に立ってたっていうのに…優秀、優秀」
独りごつ男が手に持っていたのは成人がすっぽりと入ってしまう程大きな麻袋。その口を両手で広げながら、シルヴィアの腕を掴んで頭から押し込み始めた。
「アンタらは全くと言って良い程警戒していなかった。おかげで今までで一番捕まえ易かったよ」
シルヴィアを入れた麻袋を肩に担いだ男は、傍に置いてあった台車に彼女を降ろした。そして、ゆっくりとニコラの方に顔を向け、所々に血痕が付着した顔で不気味な程の笑みを見せる。
「さて……次こそミーア・ウィルソンを殺さないといけないんだ。役に立ってくれよ、君達」
床に乱雑に積まれた略式ハンネス機関の山を見て、ニコラはようやくこの状況の全てに合点がいった。
モアメド・デニスを殺害したのはこの男なのだと。
[38] Bagatelle 完
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ガラス窓を大振りな雨粒が叩き付ける音が静まり返った室内に響く。シェリーはミーアと並んで最上階の社長室にある応接間のソファに腰掛け、部屋の主が戻ってくるのを待っていた。
異端の一員であった『シェスカの遺作を模して造り替えられた存在』であるペネムと接触し、シェリーは自身に秘められた力の可能性を知った。……知ってしまったのだ。
ミーアは当初、シェリーが楽団本社預かりでオーストリアに残される事を危惧し、何の成果も得られなかったという筋書きで社長に報告しようと画策していた。
それは、自らが育て上げた京哉が預かる彼女を彼から奪う事をしたくなかったからだ。
しかし、事態は大きく動いてしまった。
各国で旋律師を惨殺して回っていた子供連れがオーストリア入りするという情報を得た楽団は、ミーアを現地に向かわせて事を処理させた。
わざわざ支部長という立場の人間を向かわせたのだ。上層部には彼女の考えなど筒抜けだったのであろう。彼らはミーアとは違い残忍だ。目的の為ならば、旋律師という駒は如何様にも動かせる。
だから、オーストリアに呼び出したシェリーに彼女自身の秘密を聞き出させる状況を作り、否が応でも『アンプ』という存在の有用性を示す結果をミーアに齎したのである。
暫く壁にかかった時計をじっと眺めていたシェリーの元に、ようやく彼の足音が近付いてくる。
一つ会議を終わらせた後のロジャーは小脇に抱えていた資料をデスクの上に置き、足早に二人の元に歩み寄ってきた。
「悪いね。時間も時間だ。早急に今後の事を決めてしまおう」
対面にドサッと腰掛けたロジャーは、不安げな表情を浮かべるシェリーを一瞥してからミーアの方に視線を移す。
「速報では聞いたよ。オルバスの設計図……異端の本拠地に乗り込む必要がある、か……」
「社長……やはり彼女はキョウヤの傍におくべきではないでしょうか。万が一の事態に備えて監視を続けるという意味でも彼は適任で…」
真剣な表情で捲し立てるように意見を述べてきたミーアの様子に、ロジャーは瞼を瞬かせていた。そして、困った様子で眉を下げると咳払いをしてから言葉を返す。
「落ち着いてくれ、ミーア。彼女の事は引き続きキョウヤに任せるつもりだ」
オーストリアに留めるつもりは無い、と続けたロジャーにシェリーの緊張した面持ちは少しずつ綻んでいく。
「……日本に…帰れるんですか?キョウヤと…」
「ああ。なるべく早い便で向かってもらうつもりだよ。次なる手掛かりは今、日本に本拠地を構えている異端の人間が持っている訳だからね」
シェリーが能力を得る鍵となるオルゴールの謎を解き明かす為に、異端が所持しているというオルバス・シェスカの設計図を奪おうというのだ。
そして、その任を彼女の監視役である京哉に託して彼らを日本に返すつもりだと述べたロジャー。
喜びを隠しきれない様子でニヤけているシェリーを横目に、ミーアは眉間に深く皺を寄せて解せないという態度を露わにしていた。
楽団の体質を熟知している彼女だからこそ、その違和感が拭いきれなかった。シェリーが人体のみで莫大な音エネルギーを生み出す存在と知れた今、本社預かりにして利用しない手は無い筈。
ヨーロッパ支部長という立場であるミーアがつい今し方終わった会議への出席を許されなかったのは、シェリーを再び野放しにする真の理由を隠す為に他ならない。
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軽い足取りのシェリーを先に社長室から退出させると、晴れない表情でじっと自分を見つめているミーアの方に向き直ったロジャーは組んでいた腕を解いて前傾姿勢になる。
「疑う相手を間違えるなよ、ミーア」
思いもよらない彼の言葉に、ミーアは訝しげに眉を顰めて問う。
「…疑う……相手?」
「君は今、自分一人が呼ばれなかった会議に集まっていた上層部の人間に不信感を抱いている。もちろん、私を含め…そうだろう?」
図星を突かれ、返す言葉が思い浮かばない様子のミーアを見て、ロジャーはくつくつと静かに笑っていた。
「……昔、タクトに管理を任せていた超絶技巧の楽譜の在処がわからなくなる事件があったのは覚えているか?」
「え、ええ……確か、10年以上前です。あの事件の際に、第21楽章を紛失してしまったのだと聞いていますが…」
何故、今その話題を振られたのだろうか…ミーアの頭の中に疑問符が浮かぶ。
「オルバス・シェスカには当時、この本社中にあるピアノの調律を任せていたんだ。事件の前日、唯一社屋に入った外部の人間はオルバスだった……楽譜の一部を外に持ち出したのではないかと疑いを掛けられた彼は、その日以来楽団を出禁になっている」
淡々とした口調で語られたのは、ミーアがこれまでに何度も耳にしている情報であった。
楽団が贔屓にしている調律師組合に所属していたオルバスは当時からオルゴール作家として一定層のコレクターに人気があった。
しかし、到底家族の生活を支えられるほどの収入は得られておらず、その器用さを活かして調律師としての仕事もしていた。
そして、オルバスが楽団に出入りしていた期間は、天地開闢の物語、超絶技巧第21楽章『別天津神』の楽譜を紛失した時期と丁度重なる。
ふと、顔を上げたミーアはある可能性に辿り着き、僅かに震えた唇でロジャーにその答え合わせを求めた。
「……まさか…シェリアーナのオルゴールは別天津神と関係が…?」
「いいや。完奏が異能修得条件の超絶技巧において、オルゴールに刻める程の短さでは無理だと我々は考えていてね」
ギシッと短くソファの骨組みの木材を軋ませながら立ち上がったロジャーは窓際までゆっくりと歩み寄りながら、いまだに雨が降り続く屋外の様子を眺めた。
「私は…これまで、ただの一度も第21楽章の[[rb:楽譜 > スコア]]本体をこの目で確認した事が無いんだよ」
窓に張り付いていた雨粒が自重で徐々に滑り落ちる様を見つめていた彼から紡がれたその言葉に、ミーアはつい先刻の事を思い出す。
「………社長はタクトの事を疑っているのですか?」
全21楽章と言いながら、その楽譜の実体を確認できなかったとされる別天津神。
その楽譜がもし紛失したのではなく今でも彼の手元にあるとしたら…。それは最初からロジャーの目を欺き、何らかの目的のために隠し持つ必要があるということになる。
普段から飄々とした態度で軽口ばかりを叩く楽団専属の作曲家は、彼が生み出した超絶技巧について一体何を隠しているというのだろうか。
「タクトが我々にも言えない秘密を託せる相手など数限られる。それがオルバスだったとしたら……奴の狙いを知るのには良い機会だと思わないか?」
そこで初めて、ミーアはロジャーを始めとした上層部の狙いに気付いた。
シェリーが異能を手に入れる段階で、オルバスが彼女の体内に隠した『託斗への疑念の解答』を暴く事になる。その作業を彼の息子である京哉に担わせる事によって、自身に疑いの目が向けられている事を悟らせない為であった。
託斗が何かを企んでいるのだとしたら、その狙い通りに事が進めばより真実に近い所まで彼に妨害される事なく探りを入れることができる。
「……彼は…貴方の腹心ではなかったのですか?」
目を細めて問うミーアを一瞥すると、ロジャーは肩を竦めた。
「そう思いたかったが……奴が我々を恨む理由は五万とある。まぁ…取り越し苦労ならそれで良いじゃないか」
更にミーアは、ロジャーの口振りから上層部が今回の決定に至る真の理由についても察しを付けた。
オルバスが自身の求める音色の為に及んだ、墓荒らしや殺人の数々。そして、実の娘の身体を使った奇行。最高傑作にして遺作となったシェリアーナを成す為のそれらが全て託斗の指示によるものだったとすれば、京哉は彼女の為に父親を糾弾するかもしれない。
楽団の要である託斗に危害が及ぶ事を恐れた上層部は、彼の息子に何の情報も与えないまま敵地に乗り込ませようと画策していたのだ。
思えば京哉を旋律師にさせた当初から、上層部から彼に対する風当たりは強かった。それは、託斗の血を引き、シエナの演奏能力を受け継いだ京哉による謀反を恐れるが故。
「怖い顔をするな…ミーア。悪戯にキョウヤの心を乱す必要は無いだろう?わかってくれ」
窓から視線を逸らし、デスクに戻っていくロジャーの方に一度頭を下げたミーアであったが、到底納得いかない。
飲み込めない感情が喉元まで上がってくるが、彼女にはそれ以上意見する事ができなかった。組織を存続させる為には、必ずしも“正しく無い事”を正す必要は無いと理解していたからであった。
…………………………………………………………………………………
更に雨足が強くなり、窓に打ち付けられる雨音が大きくなる。夕闇が迫るリング通りを等間隔に並んで設置された街灯が柔らかい光で照らす中、帰路を急ぐ人々の流れもまばらになっていった。
顔に大きな傷痕のある革手袋の男。その目撃者である椿を連れて社屋から出た京哉は、駅に向かう群衆の間を縫って前に進んでいた。
「丁度その街灯のあたりにいた…」
特徴的な外見ではあるものの、その男が噂を流布した張本人であった確証は無い。しかし、もし本人であればわざわざ[[rb:楽団 > ギルド]]の目が届く範囲に姿を現した理由を探る必要がある。
「京哉達にとって不利益な人間なんでしょ?見つけて始末した方が良い?」
「いやいや…何で張り切ってんだよ。社長にもこの件は担当作って解決させるからって言われてるから、これ以上は…」
突拍子もない事を言い出した椿を窘める京哉であったが、ふと視線を移した先に見えた男女と目が合いペコリと会釈する。
ボルドーで細身のロングドレスの上に厚手のコートを羽織った女はブロンドのストレートヘアを手櫛で整えながら京哉の方に手を振った。
「久しぶり。戻ってたんだ、オーストリア」
どうやら京哉とは知り合いのようで、椿の方を一瞥してから彼に話し掛ける。そして、その隣を歩くカッチリとした紺色のダブルスーツに茶色いクラウドマッシュのオールバックでビジネスマンのような印象の長身の男もまた、京哉に向かって笑い掛けてきた。
「3年ぶりだよね。日本での仕事はもう終えてきたの?」
「いやいや…楽器の修理の為に一時帰国してるんですよ。お二人はこれから仕事ですか?」
引き摺っていたキャリーケースを指差しながら京哉が尋ねると、女の方は深い溜め息をつきながら腕時計の盤面を指でコツコツと叩いた。
「楽団のデマを流して回ってる男を何とかしてこいって…。そりゃあ、そういうのは私達の仕事だけどさぁ、時間を考えて欲しいよね…時間を」
ちょうど世間的には終業時刻とされている時間である。一般企業を装いながらも、闇稼業に従事する彼らにとって労働基準法の類は適応されないようだ。
漠然とした任務を言い渡され、当然のように熟してくる事を要求される。
しかし、楽団からの指示とはいえ、二人が出動する事になった原因を作ったのは京哉であった。朝、例の男の件でロジャーに報告を入れたのは紛れもなく彼である。
その事に気が付いたのか、グチグチと文句を垂れる女の様子を見る京哉の表情が引き攣っていく様子に男の方が小首を傾げる。
「どうかした?ウガミくん?」
「あ…!いやあ……!とんだ不届者がいるもんですねぇ!許せねぇや!と思いまして!!」
だははーっ、とわざとらしく笑う京哉に別れを告げると、男女は再びキャリーケースを引き摺りながら帰路を急ぐ人々の流れに紛れていった。
やっと視界から彼らが消えた所で脱力した様子の京哉の腕を指で突いた椿。今のは一体誰だ、と説明を求める表情をしていた。
「僕がヨーロッパ支部にいた時の同僚。楽団の噂流してる奴をどうにかしてこいって言われたらしい」
「……で、京哉はさっきここら辺にその怪しい男が居たって教えてあげたの?」
その問い掛けの後、数秒思考停止した京哉は慌てて踵を返した。しかし、当然ながら二人の姿はもう視認できない。
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ニコラ・コルディエとシルヴィア・ベルナールは上長からの指示でウィーンからザルツブルクに移動していた。高速鉄道を使って約2時間の距離である。
ストリートパフォーマンスで賑わう通りを抜けた先に見える古い木造住宅。塗装の剥がれたドアをノックすると、バタバタと忙しない足跡の後にゆっくりとドアノブが下がった。
押し開けられたドアとの隙間から顔を出したのは一人の男児。就寝前のようで毛玉の目立つパジャマを着ていた。
ニコリと笑いかけてきた大人達の様子に小首を傾げていると、彼の背後から一人の青年が姿を現す。
「……何だよアンタら…こんな夜中に…」
訝しげに眉を顰めると、男児の腕を引いて寝室に行くように促す。最初は渋る彼だったが、突然の訪問者を警戒する兄の気持ちを察した様子で一人奥の部屋に消えていった。
「夜分遅くにすみません。我々、ウィーンで貿易会社をやっておりまして…」
「ウィーン?」
にこやかに笑いかけてくる男女の様子に少しばかり警戒を解いた青年は、玄関ドアを大きく開けて二人に対峙した。
そして、次の瞬間には体の中心から何か熱いものがダラダラと流れ出るのを感じながら床にバタリと倒れ伏す。
ピクピクと痙攣する青年の肩をピンヒールの底で押して仰向けにさせたシルヴィアは、胸を貫いていた一本のサバイバルナイフの柄を掴んで一気に引き抜いた。
「ニコラ、奥」
彼女が顎でしゃくりながら指示した先にあるのは、先程男児が消えていった部屋。
最後に兄の物と思われるキーケースから家の鍵を奪い取り、外側から施錠する。シンと静まり返った屋内で、ベッドに横たわる兄弟の遺体の上には丁寧に布団がかけられていた。傍目にはただ眠っているだけのように見せかけているのは、万が一すぐに彼らを尋ねて来た人間が現れたとしても、逃走の為の時間を稼ぐ為である。
スーツに付着した埃を手ではたき落としたニコラの横で、シルヴィアは返り血の付着したベージュのコートを一度脱ぎ、表裏をひっくり返すとそれまで裏地だった黒い面が外側になる。
「それ、リバーシブルだったんですね」
「2枚持って歩くのはダルいでしょ?これからあと何人も消して回るのに上着無しじゃ寒いし」
彼女の返事を聞いて、ニコラは虚空をボンヤリと見上げながら指折り何かを数え始めた。そして、理解したように深く頷く。
「調査班からの情報だと、街のチンピラや浮浪者に噂を広めるよう指示を出していた男……どうも本当にクスリの類を扱ってるバイヤーが絡んでたらしい」
「成程…噂を利用して実際に利益を得ていた人間がいるという事ですか。楽団を陥れる事だけが目的ではなさそうですね」
トゥーフラウベンに根城があると続けたシルヴィアからの情報に、ニコラは懐から取り出した手帳を広げる。街灯の下で立ち止まるとページの間に挟んでいた高速鉄道の時刻表に目を凝らした。
終電は現在時刻より約15分後。走れば何とか間に合うという距離だ。腕時計の盤面をコツコツと人差し指で叩いた彼の様子を見たシルヴィアはあからさまに嫌そうな表情を見せる。
…………………………………………………………………………………
身体の内側が燃えるように熱く、捩じ込まれた異物が臓器を圧迫して呼吸をする事すらままならない。
どうしてこの状況に陥ったのか記憶が曖昧である。
関係者を殺害し、バーを後にした時だった。ザルツブルクから戻った時にちょうど雨は止んでいたが、路面には所々に大きな水溜まりができていた。
雲の合間から覗いた月明かりが反射し、一瞬影のようなものが揺らめいて水溜まりに映ったように感じた。
そこから先の事は覚えていない。
急に地面に倒れたのだろうか。打撲を負った時のような痛みも皮膚のあちこちに残っている。
脳がぼやけるような感覚に襲われながら、ギリギリ意識を保ち続けていたニコラの視界に突如入ってきたのは右頬に大きな傷痕のある壮年の男。その手には革手袋がはめられており、先端の尖ったペンチを握っていた。
「次にあの建物から出てきた奴にしようって決めてたんだよ」
唐突にそう切り出してきた男。薄暗い空間にギシギシと木の軋む音が響き、最後に聞こえたパチンという音で頭上から瞬い光が広がる。天井から吊るされた裸電球が煌々と空間内を照らし、ニコラの目の前に横たわっていたシルヴィアに焦点が合う。
衣服は纏っておらず、彼女のものと思われる大量の血液が古い木の床を濡らしていた。
苦しそうに短く繰り返される小さな呼吸音を聞きながら、ニコラは彼自身も裸の状態で床に転がされていることに気が付く。
「アジア人の二人組の方は、俺だと気が付いて様子を見に来てたみたいだな。建物からはほぼ死角になる位置に立ってたっていうのに…優秀、優秀」
独りごつ男が手に持っていたのは成人がすっぽりと入ってしまう程大きな麻袋。その口を両手で広げながら、シルヴィアの腕を掴んで頭から押し込み始めた。
「アンタらは全くと言って良い程警戒していなかった。おかげで今までで一番捕まえ易かったよ」
シルヴィアを入れた麻袋を肩に担いだ男は、傍に置いてあった台車に彼女を降ろした。そして、ゆっくりとニコラの方に顔を向け、所々に血痕が付着した顔で不気味な程の笑みを見せる。
「さて……次こそミーア・ウィルソンを殺さないといけないんだ。役に立ってくれよ、君達」
床に乱雑に積まれた略式ハンネス機関の山を見て、ニコラはようやくこの状況の全てに合点がいった。
モアメド・デニスを殺害したのはこの男なのだと。
[38] Bagatelle 完
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