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#047 Recitativo Ⅲ
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横浜市・47歳男性「人様を悪趣味呼ばわりする割には、彼も十分に奇特だと思うのですが…?ええ、少女趣味の自覚はあります。小さく可愛い物は護るべきです。あんな野蛮な音楽家の元からは早く保護しなければ…」
…………………………………………………………………………………
ガブリエルが中央に鎮座する、最上階の大広間。
全ての窓から入り込む陽光を遮光カーテンで遮り、室内は大小様々な蝋燭のぼんやりとした光源に照らされている。
「…きっと今日のこのタイミングに合わせたのね……私の感知野の精度が急激に落ちてる。『目』の数が極端に少なくなってるようね。剥がすか燃やすかされたのかしら?」
徐に立ち上がって肩を竦めた先には、ユリエルが腕組みをして壁にもたれ掛かっていた。
「ドクタースギウラから、女が殺されたと連絡があった。しかも、タクト・ウガミの倅にだ」
白い半面の奥にいつもの不気味な笑みは無く、じっと一点を見詰めながら呟いたユリエル。
「あら、残念だったわね。ようやく超絶技巧のロジックに辿り着ける所だったのに…」
「妙に動きが早い……最初からあの女は捨て駒だった可能性すらある。まるで、最初からこうなる事を予想していたようだ」
那珂島茅沙紀が第17楽章を演奏し、一度楽譜の異能を手にしている所までは発電所の記録映像から異端にも情報が回っていた。
しかし、地下オーケストラ全員に装着させられていた首のチョーカーと自滅プログラムからどう逃げ延びたのか。ユリエルにはまだ理解できていなかった。
「発電所が甚大なダメージを受けて以降の映像は、何故か部分的にしか復元できていない……残されていた映像は、敢えて手配書の三人の顔が辛うじて確認できる解像度だった」
ユリエルは懐から出した手配書をガブリエルに手渡す。並んだ三人の顔写真を見つめ、ガブリエルは茅沙紀の顔をトントンと人差し指でさした。
「……この子…プレジデント・トノザキの刺客がブッ刺した後は私の感知野に暫く入って来なかったわね。ミゲルに一度、捜索を頼まれた時も全く……あぁ、アナタが丁度、上海のマフィアのボスの金で遊んで帰ってきた頃かしら」
「アズサ・アズマに関してはずっとノーマークだったからな……彼女に預けられてたと知れたのも、楽団の情報網を掌握した後……」
急に顔色が変わったユリエルの様子は、慌てて踵を返して出入り口の方へと駆け出していく。
「どうしたのよ?血相変えて…」
「ガブリエル!建物内の侵入者は!?」
急に声を荒げた彼に尋ねられ、ガブリエルは困り顔で腕を組んだ。
「敷地内の監視は私の仕事じゃないわよ。近すぎる場所は音が反響し過ぎてノイズが酷いって言ったじゃない。防犯カメラに何か映ったなら警備室から連絡が来るでしょ?」
彼の回答を聞いたユリエルは足を止めると、愕然とした表情でその場に立ち尽くす。
異端本拠地は今、低層階を楽団のエージェント2名によって攻め入られている最中である。それが彼らの認識であった。
防犯カメラによる映像と逃げ延びてきた椙浦による証言。ガブリエルの『目』が使えない本拠地内で発生している“危機的状況”に関して、誰一人として怪しむ事すらしていなかった。
誰も、彼らの侵入に気が付いていなかったのである。
…………………………………………………………………………………
目の前に現れたフードを目深に被った少年に、京哉は小首を傾げた。確かに、何も無い空間から突如姿を現したのである。
「何で避けるんだよ!はずれちゃったじゃないか!」
奇襲を寸前のところで躱されてしまい、空を切った右腕を京哉の方に突き出しながら文句を言うアミティエル。理不尽なクレームに呆れ顔を見せた京哉は、下段の構えはそのままに、再度周囲を確認した。
先程感じた違和感が徐々に薄れてきている。演奏による何らかの異能であるならば、音の特性上時間経過によるエネルギーの収束の可能性が高い。
目の前の少年が奏者であろうとアタリをつけた京哉は、彼の次なる攻撃に意識を集中させる。
アミティエルの能力は、精神攻撃系の音波を作り出し、聴衆に意図した幻覚を見せるというものだ。彼がチェロで奏でた音が京哉の脳に作用した瞬間に、エレベーターホールの幻覚を見せていた。
彼の音の影響を受ける範囲に立っている人間が幻覚から抜け出す方法は無い。京哉が今置かれている状況は、真っ暗闇の狭い空間の中でVRゴーグルを付けられているようなものである。
再びチェロの演奏が始まり、強い幻覚が作用する。京哉の目の前に立つアミティエルは紛い物であるが、聴衆に真偽を見抜く術は無い。
弓をコンバットナイフに持ち替えたアミティエルが足音も無く京哉に近付く。そして、白い燕尾服の中心に向かって鋭い刃を突き進めるが、またしても相手の体に触れる事なく京哉の脇腹の横を掠めていった。
直ぐに体勢を立て直そうとするアミティエルであったが、ナイフを突き出した姿勢で伸び切った右腕を突如上から掴まれ、床に組み伏せられる。
金属の甲高い音と共に床に転がったナイフ。取り返そうと慌てて腕を飛ばしたアミティエルの手首を掴んだ京哉は、手早く内側に捻って後ろ手に押さえ付けた。
「っぐ……っ」
関節に走る痛みに顔を歪めた少年は、何故気が付いたのかわからないといった表情で自分の上に乗る京哉の方を睨みつけていた。
何とか拘束から抜け出そうと踠き続けるアミティエルの片腕を持ち上げた京哉は、肩甲骨の辺りにもう一方の手を添えて力を入れた。パキッと小気味良い音がホール内に響き、続いて少年が悲鳴を上げる。肩を脱臼した様子で、京哉が手を離した後はその腕を床にダラリと投げ出していた。
「っ……何で…俺の幻覚が効いてなかったの…!?耳が良い奴程効果ある筈なのに…」
何故奇襲を何度も回避されてしまったのか。答えを知りたがる彼の眼差しに、ニヤニヤと得意げな笑みを浮かべた京哉。
「お前、僕から見えてないからってド正面から攻撃してきてんじゃん」
京哉の指摘通りアミティエルは自身の作り出した幻覚を過信するあまり、攻撃方法がぞんざいであった。致命的なミスは、何かの気配を察知した京哉が敢えて下段に構えて心臓近くの急所を晒した状態にした時、正直に其処を狙う動きを見せた事だ。
敵が戦闘経験の少ない人間だと見破った京哉は、相手の姿が見えなくとも、攻撃してきそうな箇所とタイミングを予想することで対処していた。
…………………………………………………………………………………
背中に乗っていた京哉が立ち上がった事で、自身を床に押さえ付けていた重みから解放される。アミティエルは一瞬安堵の表情を見せるものの、視線の先にはギラリと刀身を鈍く光らせた太刀が見えた。
「立てよ、ガキ」
切先をアミティエルの鼻先まで近付けた京哉は、冷たく言い放つ。
「……ガキ相手に大人が刀ブン回すのかよ…」
肩の痛みに耐えながら、脱臼していない方の腕で体を支えたアミティエル。歯を食いしばりながら京哉の方を見上げて悪態を突いた。
「ブン回されたくなかったら、大人しく答えろ。異端全体の規模と構成は?色んな国の政府に取り入ってご機嫌取りしてるようだが、何が目的だ?」
「……答えると思ってんの?僕が子供だからって舐め…」
京哉が垂直に立てた切先が音も無くアミティエルの左手の中指と人差し指の第一関節から上を弾き飛ばす。ドクドクと流れ出る血を目の当たりにして、少年の顔からみるみるうちに血の気が引いていく。
「あ…ああああっ!指……があ…っ!」
「答える気が無いならこの場で殺す。3…2…い」
カウントダウンが終了する間際、涙をポロポロと床に溢しているアミティエルが大声を上げた。
「世界中の人間が俺達と同類になることだよ!」
はぁはぁと息を切らしながら床を這い蹲って移動したアミティエルは、エレベーターの扉に背中を預けて座り、京哉を再び睨み付けた。
「お前らが持ってる楽譜を演奏すれば、誰だって異能を持つことができんだろ!?ユリエルは皆が平等に生きられる様に曲を書いたんだ!」
音楽家が持つ者とするならば、この地球上に生きる殆どの人間は持たざる者という事になる。
音楽的な技術だけではなくセンスと呼ばれる努力だけでは越えられないもの、それらは産まれや生育環境に起因し、一生触れることの無い人間すら存在する。
世界のエネルギーの中心が音に成り代わった瞬間に、音楽家は職業カーストの最上位に急浮上した。
ハンネス機関によってエネルギーを増幅する場合も、音楽家の奏でる生音が一番の発電効率を叩き出す特性を持つ事から、完全なオートメーション化はできず、音楽家の力を借りる他ないのだ。
楽器に触れた事のない人間でも、膨大な音エネルギーを産み出す異能を得る方法。それが、異端の人間曰く託斗の超絶技巧に触れる事だという。
音楽家、しかも超絶技巧を習得するに至る技量を持つ者のみが持ち得る異能をどのようにして万人が手にしようというのだろうか。
しかし疑う余地は無く、京哉はこれまで何度も目の当たりにしてきている。
上海の福音、そして鶯谷の霊歌だ。
大衆に聴かせるという形で、奏者ではなく聴衆が災厄の影響を受ける結果となっていたその盗作された楽譜が齎したものは、紛れもなく『し損ねた結果』としての副産物である。
アミティエルの言い分を真に受けたとすれば、人々を死に至らしめる呪いとなったのは当初の目的ではない筈なのだ。
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「そのユリエルって奴…お前が思う様な崇高な志で曲書いてるって、本当にそう思ってんのか?」
京哉が現地で目の当たりにしてきた惨状を、まさか同じ組織の人間が知らない訳がない。
「超絶技巧は万人が扱える魔法じゃねーし、お前らの組織が作った曲が誰かを救うなんて到底思えねぇな。どれだけ人が死んだかわかってんのか?」
「うるさい!自分達の儲けの為にしか力を使おうとしない楽団に何がわかる!異端はこれから世界政…」
エレベーターが最上階から降下し3階に到着したのと同時に、アミティエルがもたれかかっていた扉が開く。バランスを崩し、仰向けに倒れていった少年が見上げたのは、グレーの髪をオールバックに撫で付けたスーツ姿の男。
左脚は関節から下が無く、松葉杖をついた状態であった。
オーストリアから帰国した後、鬼頭から見せられた映像の男であった。
敵の指示役という中枢を担う人物の突然の登場に、京哉はすぐに距離を取って太刀を構えた。
「ミゲル!どうして此処に!?」
アミティエルの声色はどこか嬉しそうであった。そんな彼を見下ろしたミゲルは、ニコリと笑って懐から拳銃を取り出した。
間髪入れずに引き金を数回引き、全ての鉛玉が少年の頭部を貫通する。
「…おしゃべりし過ぎは良くないな、アミティエル」
ミゲルの足元に赤い水溜まりができる。ギョロギョロと忙しなく痙攣する少年の目玉は、既に息絶えている筈なのに『何故』と訴えている様にいつまでもミゲルの方を見つめていていた。
一瞬の迷いも無く仲間を撃ち殺した目の前の男の次なる行動を注視していた京哉。しかし、ミゲルは再び和かな笑顔を作ったかと思えば閉まりかけた扉に手を置いて呑気な声色で話しかけてきた。
「やあ、君と会うのは初めてかな?私はミゲルと呼ばれている男だ。アポ無しの訪問は困るな。おもてなしの準備ができなかったじゃないか」
「…何がおもてなしだ……茶菓子でも用意してくれんのかよ?」
じっと顔を凝視してくる相手を睨み付けた京哉。一方のミゲルは攻め入られている立場にも関わらず、余裕の笑顔を見せていた。
「少し話をしないか?」
「………は?」
予想外の申し出に、京哉は唖然とする。
「警戒しなくても良い。見ての通り、今は手負いでね。弾もさっきので全部使い切ったさ」
そう言いながら先程アミティエルを殺害した拳銃をエレベーターの床に投げ捨てた。
松葉杖を支えにしながらホールに出てきたミゲルに向けて太刀を構える京哉に、戦う意志は無いのだと両手を挙げて示す。
「……誰が信じるんだよ、アンタの言葉を」
「信じなくて良いよ。私が怪しい動きを見せたと思ったら遠慮なく斬りかかってきてくれて構わない。な、そこに休憩スペースがあるだろ?」
一歩ずつ近付く度、距離を保つ為に遠ざかって行く京哉を見てミゲルは苦笑いを浮かべた。
「折角異端の中枢人物に出会したのに、何の収穫も無かったなんて情け無いだろ?君が知りたい事を何でも教えてやろう」
困った様子で好条件をチラつかせるミゲルを鼻で笑った京哉は、エレベーターとホールの境界に跨って倒れているアミティエルの方を顎でしゃくった。
「おしゃべりは良くないって教えてくれたのはアンタだぜ?」
エレベーターホール全体を冷気が駆け抜け、四方からパキパキと壁が凍りついていく音だけが聞こえてくる。
そして、目の前に立っていたミゲルの姿が蜃気楼の様に揺らめき、やがて消えてしまう。
幻覚の世界から引き戻された京哉は、冷凍庫の内部の様に凍り付いた氷点下の室温に白い息を吐く。
対面にはチェロを構えたまま首の下まで氷漬けにされているアミティエルがガタガタと震えて歯を鳴らしていた。
…………………………………………………………………………………
非常階段を昇ってきた巳継が合流し、京哉は太刀をフルートの姿に戻してアミティエルの前に並ぶ。
「あぶねー…危うく情報抜かれる所だった…。閖塚さん、あーっス」
「礼には及ばないよ。PHSを常に通話状態にするようにと忠告してくれたのは君のお父様だ。やはり右神先生は先見の明が…」
手でメガネをスチャッと上げながらいつもの託斗語りが始まった所で、京哉は慌ててアミティエルの方に向き直った。
唯一動かすことの出来る首から上をしきりに振り乱し、どうにか逃れようとしているようだ。無理に動かした所為で、氷との境い目の皮膚から血が滲んでいる。
「やめろやめろ。取って食ったりしねーよ。そのまま大人しくしてろ」
京哉が呆れ顔を見せると、アミティエルは必死の形相のまま彼を睨み付けた。
「ミゲルがまだ動けないのわかって攻めてきたんだろ……」
「あー…ハイハイ、そうね」
指示役不在の状況を狙ったのだと勘違いしている様子のアミティエルに、真実を伝える訳にもいかず軽くあしらった京哉。その隣で巳継が何かに気が付いた様子で口を挟んだ。
「……あの指示役と名乗った男はミゲルというのか。まぁ、コードネームか何かだろうが」
鬼頭からの情報共有によれば、ミゲルという指示役の男が攻め入って来た際に彼に重傷を負わせたのは巳継である。そして、同時刻に廃雑居ビルでナツキや鬼頭と対峙したのは幻覚を操る少年であった。
「氷の……お前がミゲルの脚を…ッ!」
隣に並んだ巳継の方に視線を移したアミティエルは、噛み付かんばかりの勢いで首を動かした為また彼の首を傷付けて血が出ていた。
見かねた巳継がリードを食み氷が一気に溶けると、ずぶ濡れのアミティエルが掴み掛かろうとして前に飛び出してきた。
しかし、少年が一歩前進した先には京哉が待ち構えており、いとも簡単に腕を掴まれて後ろ手に捻られてしまう。床にできた水溜まりに足を滑らせたアミティエルが床に体を打ち付けたところで巳継が再度オーボエを取り出した。
両足を揃えた状態で京哉が押さえ付け、脚首周辺を太い氷の枷が纏わりつく。立ち上がる事のできない状態のアミティエルの両腕を抱えてエレベーターの中に放り込んだ京哉は、最上階のボタンを押してから閉ボタンを連打した。
「じゃあな、クソガキ。ミゲルサンとやらによろしくー」
「おい!舐めんな!俺がお前らをぶっ殺してやる!」
腕の力だけで這い出ようとしたアミティエルであったが、あと数センチという所で扉が閉まる。
少年の暴言は数秒後には聞こえなくなり、エレベーターホールは一気に静まり返った。
…………………………………………………………………………………
赤色灯が等間隔に並ぶ薄暗い空間。
アームで頭上に吊られた無影灯、バイタルを測定する数々の精密機器が並ぶ空間はさながら手術室のようである。
薬品の並ぶ鉄製の棚の中に、10センチほどの分厚いファイルが収納されていた。静かに扉を開け、両手でそれを取り出す。
無造作に書類が散らばっている作業台の上に鈍器のようなファイルを置き、手早く中身を確認していく。
「……あった。コレだな…」
人骨を使ったオルゴールの作成方法と人体への埋没処理。小型ハンネス機関との連結方法。
オルゴール造形師であったオルバス・シェスカが遺した最高傑作、シェリアーナ・シェスカを造り変える為の設計図である。
異端本拠地の最上階に忍び込んでいた麗慈は、無事に今回の作戦の目標物を発見していた。
それは、持参してきた布製のトートバッグにファイルを仕舞い込み、早々に現場を離れようとしていた時であった。
両開きのドアが勢い良く開き、白い半面をつけた男と七三分けのスーツ姿の男が室内に入ってきたのだ。棚の配置によって彼等からは見えない場所にいた麗慈であったが、発見されるのも時間の問題であった。
手に持った懐中電灯で辺りを照らすユリエルは、ズカズカと足音を立てながら麗慈が身を潜めている方向へと進んで来た。続いて椙浦も棚と天井の隙間や作業台の下までくまなくライトで照らしていく。
迫り来る二人分の足音が目の前で止まり、懐中電灯の眩い光が麗慈を捉えた。
「……此処も違いましたか。書庫の方を探してみましょう」
「あぁ…」
再び両開きのドアが勢い良く開け放たれ、ユリエルと椙浦の二人はかなり急いだ様子で部屋を後にした。
完全に足音が聞こえなくなり、麗慈は静かに息を吐く。確かに真正面で対峙し、懐中電灯の明かりを向けられた筈。しかし、二人にはまるで麗慈の姿が見えていないかのような反応をしていた。
「あれ以上近付いて来られたらどうしようかと思ったけど…良かったわね」
静まり返った室内に響く彼女の声。
奏でる音は空気中の水分を特定の周波数で振動させて光の反射角を歪める。すると、周囲にいた筈の人や物の姿を認識できなくなるのだ。
麗慈の隣には、茅沙紀によって殺害された筈の梓の姿があった。
もちろん、亡霊ではない。
「やーっぱりアンタは私がついててあげないとダメだなぁ。死んだって聞かされて、どうだった?泣いちゃった?」
ニヤニヤとしたり顔で尋ねてくる梓を睨みつけた麗慈。
鬼頭の運転するワゴンに乗りニュー千代田区画に向かう途中、彼のPHSは1件のメールを受信していた。
送り主は師匠の梓であった。
殺害された筈の梓からのメール。しかしこの時、麗慈は特段驚く様子も見せなかった。
彼もまた、計画の一部に加担した人間だったからである。
…………………………………………………………………………………
京哉が日本に戻り極楽町に潜る少し前……麗慈が管理する品川の医院に身を置いていた託斗からの『お願い』からこの作戦は急始動した。
「今回は一つ電話を入れてもらうだけで良いんだ。簡単なお願いだろ?」
託斗から麗慈へのお願い。それは、贔屓にしている葬儀屋に連絡をして『新鮮な死体を一人分融通してもらう』というもの。
死体を用意して行う事など数が知れているが、その中でも今回の目的は死を偽装するという事であった。
「今日燃やす予定だったのを一人分確保してもらった。何処に運ぶか教えろだと」
端末の受話器の部分を手で押さえて振り返った麗慈は、診察室で談笑していた託斗に尋ねた。
「あぁ、君のお師匠さんの家だよ。都営団地わかる?」
何故?と顔に書かれた表情で小首を傾げた麗慈に歩み寄った託斗は、手のひらを上に向けて右手を差し出してきた。PHSを寄越せ、という意味である。
麗慈から端末を奪い取った託斗は、咳払いをしてから電話先の相手ににこやかに話しかけた。
「どうもー、ご無沙汰してまーす」
『おや、この声は右神様ですね。こちらこそ、ご無沙汰しております』
楽団が贔屓にしている葬儀屋…もとい、遺体回収屋の男は託斗と面識のあるようであった。
「ごめんね、急に。場所は八王子の都営団地で、今から向かってもらえる?敦賀っていうオジサンが駐車場で待っててくれてるから」
『ツルガさん、ですね。承知いたしました。すぐに出発致します』
手短に通話を済ませ、託斗は麗慈に端末を投げ返す。
「那珂島茅沙紀の処刑日が決まったって、本社から通達があった。まぁ、湯河原の別荘を出た時にはもうそういう段取りに入ってた訳なんだけどさ…」
「あぁ…やっぱりそうなったか。結局楽団には入らなかったんだな」
楽団本社には秘密裏に茅沙紀を保護している。梓は本人にそう説明をしていたものの、そもそもそのような勝手が罷り通る筈がない。
報告義務を怠り、組織の掟に反する者の末路については旋律師としての経験が長い梓が一番良く理解している。楽団の調査網を掻い潜る事など無理に等しいのだ。
事実、茅沙紀の件に関しては発電所爆破後に帰国した託斗からロジャーの耳にもしっかりと聞き及んでいた。
日本政府によって迫害を受け、地下に追いやられて利用され続けていたオーケストラの一員であった茅沙紀が宇迦之御魂神に触れたのは不可抗力によるものであった。
楽団としても元の所有者が第17楽章の楽譜を手放す事態になった責任を取る意味でも彼女の処刑に関しては憂慮期間を設けてはいたのだ。
そして、音楽家であった彼女が望み、適性さえあれば仲間になる事もできた。
しかし、それら全ての可能性を捨てる羽目になったのは異端による謀略と、彼女自身の心の弱さに他ならない。
…………………………………………………………………………………
楽団調査班による徹底マークによって、茅沙紀がニュー千代田区画の病院を出る際、既に異端の人間と接触していた事は調査済みであった。
異端は言葉巧みに彼女を利用し、楽団に対して何らかの攻撃を仕掛けようとしている。
敵の思惑通り、茅沙紀は京哉達の保護下に入った。
……かのように見せかけていたのだ。
託斗の思惑によって。
茅沙紀は超絶技巧を暗譜している唯一の非旋律師。異端としては利用しない手は無い。
必ず彼女に接近する筈だと踏んだ託斗は、異端が茅沙紀を懐柔し引き入れる瞬間を狙おうと画策したのだ。
託斗の狙いは、自分の曲を盗作し続ける人間を引き摺り出す事。
宇迦之御魂神の一件に麗慈を関与させたのは託斗の独断であった。
理由は二つ。まず、発電所が崩壊する際の自滅プログラムによって地下オーケストラの人間が全員殺害される事態は想定の範囲内であり、茅沙紀の生命維持の為に大己貴命を奏でる彼を現場に仕向けたのだ。
そしてもう一つは、本来表立った戦闘に不向きである麗慈を敢えて『楽団の人間である』と政府や警察に強く印象付ける事によって、彼に日本を一時的に離れさせる理由を作る為である。
爆発事件の後、顔写真を撮影されて特別手配をされた京哉と麗慈は国外の任務に向かわされている。麗慈には託斗から予め、自身が預かりきれなくなれば信頼できる人間に預けるように、と言付けていた。自然な形で茅沙紀が彼の元を離れ、梓の保護下に入るように仕向けていたのだ。
全ては、異端の盗作犯に文句を言ってやろうという託斗の目的の為であった。
そうして、託斗と関わりの深い梓と茅沙紀の間に繋がりが出来れば、敵は必ずそこを突いて来ようとする筈。
楽団の精鋭達に取り囲まれ、手を出す事が出来ない要たる存在に唯一接近する為の方法……それは、託斗自身が一人で出向くだけの理由を作る事より他無い。
異端は茅沙紀を使い、頃合いを見て梓を攻撃してくる筈である。
…………………………………………………………………………………
梓が狙われるという前提のもと、楽団上層部は茅沙紀を旋律師として迎え入れられなかった場合の処刑の段取りを進めていた。
異端と手を組む可能性が出てきた彼女が超絶技巧を暗譜している事は楽団としては由々しき事態である為だ。
当初、上層部は異端の動きとは関係無く、京哉を使って茅沙紀を処刑する事を考えていた。しかし、それに待ったをかけたのは託斗である。
諸々の事情、託斗自身の思惑を知ったロジャーは最終的に彼の策に乗ったのだ。そして、作戦を遂行するべく一人の人間を梓の元にアサインした。
それが、敦賀侑儞である。彼は楽団御用達の工作員であり、死体の偽造や現場状況の改竄を行って敵の目を欺いたり警察の捜査を撹乱する役割を担う職人であった。
異端が最も茅沙紀に接近するのは、彼女を預かっている梓を亡き者にしたタイミングであろう。現役でないにしても旋律師一人を殺害するには骨が折れる事を彼らは理解していた。その点、近しい間柄となった茅沙紀を利用すれば警戒される事なく成し遂げる事ができる筈だと、敵は考えていたようだった。
都営団地にて椙浦が茅沙紀を呼び出した晩、勿論梓はその動きに気が付き、尾行していた。そして、相手から姿を認識されなくなる技を利用し、茅沙紀を使った自身の殺害計画を真正面で全て聞いていたのだ。
家族と自身の生命が危機的状況にあるという虚偽の説明を受け、いよいよ事態が大きく動きそうだという時……オーストリアの楽団本社内で、ペネムがシェリアーナに隠された秘密を解き明かす為の重大なヒントを暴露した。
異端が所持しているオルバス・シェスカの設計図が大きな手掛かりになる、と。
託斗の思惑を叶える為、楽団の掟による部外者の粛清、そして敵の中枢に入り込む重大な理由…それらが重なったタイミングで、ロジャーはアサインしていた敦賀を現地に向かわせたのだ。
椙浦からの指示によって思い悩む茅沙紀の疑念に拍車を掛け、もう後がないのだと彼女を追い詰める為に。
[47] Recitativo Ⅲ 完
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ガブリエルが中央に鎮座する、最上階の大広間。
全ての窓から入り込む陽光を遮光カーテンで遮り、室内は大小様々な蝋燭のぼんやりとした光源に照らされている。
「…きっと今日のこのタイミングに合わせたのね……私の感知野の精度が急激に落ちてる。『目』の数が極端に少なくなってるようね。剥がすか燃やすかされたのかしら?」
徐に立ち上がって肩を竦めた先には、ユリエルが腕組みをして壁にもたれ掛かっていた。
「ドクタースギウラから、女が殺されたと連絡があった。しかも、タクト・ウガミの倅にだ」
白い半面の奥にいつもの不気味な笑みは無く、じっと一点を見詰めながら呟いたユリエル。
「あら、残念だったわね。ようやく超絶技巧のロジックに辿り着ける所だったのに…」
「妙に動きが早い……最初からあの女は捨て駒だった可能性すらある。まるで、最初からこうなる事を予想していたようだ」
那珂島茅沙紀が第17楽章を演奏し、一度楽譜の異能を手にしている所までは発電所の記録映像から異端にも情報が回っていた。
しかし、地下オーケストラ全員に装着させられていた首のチョーカーと自滅プログラムからどう逃げ延びたのか。ユリエルにはまだ理解できていなかった。
「発電所が甚大なダメージを受けて以降の映像は、何故か部分的にしか復元できていない……残されていた映像は、敢えて手配書の三人の顔が辛うじて確認できる解像度だった」
ユリエルは懐から出した手配書をガブリエルに手渡す。並んだ三人の顔写真を見つめ、ガブリエルは茅沙紀の顔をトントンと人差し指でさした。
「……この子…プレジデント・トノザキの刺客がブッ刺した後は私の感知野に暫く入って来なかったわね。ミゲルに一度、捜索を頼まれた時も全く……あぁ、アナタが丁度、上海のマフィアのボスの金で遊んで帰ってきた頃かしら」
「アズサ・アズマに関してはずっとノーマークだったからな……彼女に預けられてたと知れたのも、楽団の情報網を掌握した後……」
急に顔色が変わったユリエルの様子は、慌てて踵を返して出入り口の方へと駆け出していく。
「どうしたのよ?血相変えて…」
「ガブリエル!建物内の侵入者は!?」
急に声を荒げた彼に尋ねられ、ガブリエルは困り顔で腕を組んだ。
「敷地内の監視は私の仕事じゃないわよ。近すぎる場所は音が反響し過ぎてノイズが酷いって言ったじゃない。防犯カメラに何か映ったなら警備室から連絡が来るでしょ?」
彼の回答を聞いたユリエルは足を止めると、愕然とした表情でその場に立ち尽くす。
異端本拠地は今、低層階を楽団のエージェント2名によって攻め入られている最中である。それが彼らの認識であった。
防犯カメラによる映像と逃げ延びてきた椙浦による証言。ガブリエルの『目』が使えない本拠地内で発生している“危機的状況”に関して、誰一人として怪しむ事すらしていなかった。
誰も、彼らの侵入に気が付いていなかったのである。
…………………………………………………………………………………
目の前に現れたフードを目深に被った少年に、京哉は小首を傾げた。確かに、何も無い空間から突如姿を現したのである。
「何で避けるんだよ!はずれちゃったじゃないか!」
奇襲を寸前のところで躱されてしまい、空を切った右腕を京哉の方に突き出しながら文句を言うアミティエル。理不尽なクレームに呆れ顔を見せた京哉は、下段の構えはそのままに、再度周囲を確認した。
先程感じた違和感が徐々に薄れてきている。演奏による何らかの異能であるならば、音の特性上時間経過によるエネルギーの収束の可能性が高い。
目の前の少年が奏者であろうとアタリをつけた京哉は、彼の次なる攻撃に意識を集中させる。
アミティエルの能力は、精神攻撃系の音波を作り出し、聴衆に意図した幻覚を見せるというものだ。彼がチェロで奏でた音が京哉の脳に作用した瞬間に、エレベーターホールの幻覚を見せていた。
彼の音の影響を受ける範囲に立っている人間が幻覚から抜け出す方法は無い。京哉が今置かれている状況は、真っ暗闇の狭い空間の中でVRゴーグルを付けられているようなものである。
再びチェロの演奏が始まり、強い幻覚が作用する。京哉の目の前に立つアミティエルは紛い物であるが、聴衆に真偽を見抜く術は無い。
弓をコンバットナイフに持ち替えたアミティエルが足音も無く京哉に近付く。そして、白い燕尾服の中心に向かって鋭い刃を突き進めるが、またしても相手の体に触れる事なく京哉の脇腹の横を掠めていった。
直ぐに体勢を立て直そうとするアミティエルであったが、ナイフを突き出した姿勢で伸び切った右腕を突如上から掴まれ、床に組み伏せられる。
金属の甲高い音と共に床に転がったナイフ。取り返そうと慌てて腕を飛ばしたアミティエルの手首を掴んだ京哉は、手早く内側に捻って後ろ手に押さえ付けた。
「っぐ……っ」
関節に走る痛みに顔を歪めた少年は、何故気が付いたのかわからないといった表情で自分の上に乗る京哉の方を睨みつけていた。
何とか拘束から抜け出そうと踠き続けるアミティエルの片腕を持ち上げた京哉は、肩甲骨の辺りにもう一方の手を添えて力を入れた。パキッと小気味良い音がホール内に響き、続いて少年が悲鳴を上げる。肩を脱臼した様子で、京哉が手を離した後はその腕を床にダラリと投げ出していた。
「っ……何で…俺の幻覚が効いてなかったの…!?耳が良い奴程効果ある筈なのに…」
何故奇襲を何度も回避されてしまったのか。答えを知りたがる彼の眼差しに、ニヤニヤと得意げな笑みを浮かべた京哉。
「お前、僕から見えてないからってド正面から攻撃してきてんじゃん」
京哉の指摘通りアミティエルは自身の作り出した幻覚を過信するあまり、攻撃方法がぞんざいであった。致命的なミスは、何かの気配を察知した京哉が敢えて下段に構えて心臓近くの急所を晒した状態にした時、正直に其処を狙う動きを見せた事だ。
敵が戦闘経験の少ない人間だと見破った京哉は、相手の姿が見えなくとも、攻撃してきそうな箇所とタイミングを予想することで対処していた。
…………………………………………………………………………………
背中に乗っていた京哉が立ち上がった事で、自身を床に押さえ付けていた重みから解放される。アミティエルは一瞬安堵の表情を見せるものの、視線の先にはギラリと刀身を鈍く光らせた太刀が見えた。
「立てよ、ガキ」
切先をアミティエルの鼻先まで近付けた京哉は、冷たく言い放つ。
「……ガキ相手に大人が刀ブン回すのかよ…」
肩の痛みに耐えながら、脱臼していない方の腕で体を支えたアミティエル。歯を食いしばりながら京哉の方を見上げて悪態を突いた。
「ブン回されたくなかったら、大人しく答えろ。異端全体の規模と構成は?色んな国の政府に取り入ってご機嫌取りしてるようだが、何が目的だ?」
「……答えると思ってんの?僕が子供だからって舐め…」
京哉が垂直に立てた切先が音も無くアミティエルの左手の中指と人差し指の第一関節から上を弾き飛ばす。ドクドクと流れ出る血を目の当たりにして、少年の顔からみるみるうちに血の気が引いていく。
「あ…ああああっ!指……があ…っ!」
「答える気が無いならこの場で殺す。3…2…い」
カウントダウンが終了する間際、涙をポロポロと床に溢しているアミティエルが大声を上げた。
「世界中の人間が俺達と同類になることだよ!」
はぁはぁと息を切らしながら床を這い蹲って移動したアミティエルは、エレベーターの扉に背中を預けて座り、京哉を再び睨み付けた。
「お前らが持ってる楽譜を演奏すれば、誰だって異能を持つことができんだろ!?ユリエルは皆が平等に生きられる様に曲を書いたんだ!」
音楽家が持つ者とするならば、この地球上に生きる殆どの人間は持たざる者という事になる。
音楽的な技術だけではなくセンスと呼ばれる努力だけでは越えられないもの、それらは産まれや生育環境に起因し、一生触れることの無い人間すら存在する。
世界のエネルギーの中心が音に成り代わった瞬間に、音楽家は職業カーストの最上位に急浮上した。
ハンネス機関によってエネルギーを増幅する場合も、音楽家の奏でる生音が一番の発電効率を叩き出す特性を持つ事から、完全なオートメーション化はできず、音楽家の力を借りる他ないのだ。
楽器に触れた事のない人間でも、膨大な音エネルギーを産み出す異能を得る方法。それが、異端の人間曰く託斗の超絶技巧に触れる事だという。
音楽家、しかも超絶技巧を習得するに至る技量を持つ者のみが持ち得る異能をどのようにして万人が手にしようというのだろうか。
しかし疑う余地は無く、京哉はこれまで何度も目の当たりにしてきている。
上海の福音、そして鶯谷の霊歌だ。
大衆に聴かせるという形で、奏者ではなく聴衆が災厄の影響を受ける結果となっていたその盗作された楽譜が齎したものは、紛れもなく『し損ねた結果』としての副産物である。
アミティエルの言い分を真に受けたとすれば、人々を死に至らしめる呪いとなったのは当初の目的ではない筈なのだ。
…………………………………………………………………………………
「そのユリエルって奴…お前が思う様な崇高な志で曲書いてるって、本当にそう思ってんのか?」
京哉が現地で目の当たりにしてきた惨状を、まさか同じ組織の人間が知らない訳がない。
「超絶技巧は万人が扱える魔法じゃねーし、お前らの組織が作った曲が誰かを救うなんて到底思えねぇな。どれだけ人が死んだかわかってんのか?」
「うるさい!自分達の儲けの為にしか力を使おうとしない楽団に何がわかる!異端はこれから世界政…」
エレベーターが最上階から降下し3階に到着したのと同時に、アミティエルがもたれかかっていた扉が開く。バランスを崩し、仰向けに倒れていった少年が見上げたのは、グレーの髪をオールバックに撫で付けたスーツ姿の男。
左脚は関節から下が無く、松葉杖をついた状態であった。
オーストリアから帰国した後、鬼頭から見せられた映像の男であった。
敵の指示役という中枢を担う人物の突然の登場に、京哉はすぐに距離を取って太刀を構えた。
「ミゲル!どうして此処に!?」
アミティエルの声色はどこか嬉しそうであった。そんな彼を見下ろしたミゲルは、ニコリと笑って懐から拳銃を取り出した。
間髪入れずに引き金を数回引き、全ての鉛玉が少年の頭部を貫通する。
「…おしゃべりし過ぎは良くないな、アミティエル」
ミゲルの足元に赤い水溜まりができる。ギョロギョロと忙しなく痙攣する少年の目玉は、既に息絶えている筈なのに『何故』と訴えている様にいつまでもミゲルの方を見つめていていた。
一瞬の迷いも無く仲間を撃ち殺した目の前の男の次なる行動を注視していた京哉。しかし、ミゲルは再び和かな笑顔を作ったかと思えば閉まりかけた扉に手を置いて呑気な声色で話しかけてきた。
「やあ、君と会うのは初めてかな?私はミゲルと呼ばれている男だ。アポ無しの訪問は困るな。おもてなしの準備ができなかったじゃないか」
「…何がおもてなしだ……茶菓子でも用意してくれんのかよ?」
じっと顔を凝視してくる相手を睨み付けた京哉。一方のミゲルは攻め入られている立場にも関わらず、余裕の笑顔を見せていた。
「少し話をしないか?」
「………は?」
予想外の申し出に、京哉は唖然とする。
「警戒しなくても良い。見ての通り、今は手負いでね。弾もさっきので全部使い切ったさ」
そう言いながら先程アミティエルを殺害した拳銃をエレベーターの床に投げ捨てた。
松葉杖を支えにしながらホールに出てきたミゲルに向けて太刀を構える京哉に、戦う意志は無いのだと両手を挙げて示す。
「……誰が信じるんだよ、アンタの言葉を」
「信じなくて良いよ。私が怪しい動きを見せたと思ったら遠慮なく斬りかかってきてくれて構わない。な、そこに休憩スペースがあるだろ?」
一歩ずつ近付く度、距離を保つ為に遠ざかって行く京哉を見てミゲルは苦笑いを浮かべた。
「折角異端の中枢人物に出会したのに、何の収穫も無かったなんて情け無いだろ?君が知りたい事を何でも教えてやろう」
困った様子で好条件をチラつかせるミゲルを鼻で笑った京哉は、エレベーターとホールの境界に跨って倒れているアミティエルの方を顎でしゃくった。
「おしゃべりは良くないって教えてくれたのはアンタだぜ?」
エレベーターホール全体を冷気が駆け抜け、四方からパキパキと壁が凍りついていく音だけが聞こえてくる。
そして、目の前に立っていたミゲルの姿が蜃気楼の様に揺らめき、やがて消えてしまう。
幻覚の世界から引き戻された京哉は、冷凍庫の内部の様に凍り付いた氷点下の室温に白い息を吐く。
対面にはチェロを構えたまま首の下まで氷漬けにされているアミティエルがガタガタと震えて歯を鳴らしていた。
…………………………………………………………………………………
非常階段を昇ってきた巳継が合流し、京哉は太刀をフルートの姿に戻してアミティエルの前に並ぶ。
「あぶねー…危うく情報抜かれる所だった…。閖塚さん、あーっス」
「礼には及ばないよ。PHSを常に通話状態にするようにと忠告してくれたのは君のお父様だ。やはり右神先生は先見の明が…」
手でメガネをスチャッと上げながらいつもの託斗語りが始まった所で、京哉は慌ててアミティエルの方に向き直った。
唯一動かすことの出来る首から上をしきりに振り乱し、どうにか逃れようとしているようだ。無理に動かした所為で、氷との境い目の皮膚から血が滲んでいる。
「やめろやめろ。取って食ったりしねーよ。そのまま大人しくしてろ」
京哉が呆れ顔を見せると、アミティエルは必死の形相のまま彼を睨み付けた。
「ミゲルがまだ動けないのわかって攻めてきたんだろ……」
「あー…ハイハイ、そうね」
指示役不在の状況を狙ったのだと勘違いしている様子のアミティエルに、真実を伝える訳にもいかず軽くあしらった京哉。その隣で巳継が何かに気が付いた様子で口を挟んだ。
「……あの指示役と名乗った男はミゲルというのか。まぁ、コードネームか何かだろうが」
鬼頭からの情報共有によれば、ミゲルという指示役の男が攻め入って来た際に彼に重傷を負わせたのは巳継である。そして、同時刻に廃雑居ビルでナツキや鬼頭と対峙したのは幻覚を操る少年であった。
「氷の……お前がミゲルの脚を…ッ!」
隣に並んだ巳継の方に視線を移したアミティエルは、噛み付かんばかりの勢いで首を動かした為また彼の首を傷付けて血が出ていた。
見かねた巳継がリードを食み氷が一気に溶けると、ずぶ濡れのアミティエルが掴み掛かろうとして前に飛び出してきた。
しかし、少年が一歩前進した先には京哉が待ち構えており、いとも簡単に腕を掴まれて後ろ手に捻られてしまう。床にできた水溜まりに足を滑らせたアミティエルが床に体を打ち付けたところで巳継が再度オーボエを取り出した。
両足を揃えた状態で京哉が押さえ付け、脚首周辺を太い氷の枷が纏わりつく。立ち上がる事のできない状態のアミティエルの両腕を抱えてエレベーターの中に放り込んだ京哉は、最上階のボタンを押してから閉ボタンを連打した。
「じゃあな、クソガキ。ミゲルサンとやらによろしくー」
「おい!舐めんな!俺がお前らをぶっ殺してやる!」
腕の力だけで這い出ようとしたアミティエルであったが、あと数センチという所で扉が閉まる。
少年の暴言は数秒後には聞こえなくなり、エレベーターホールは一気に静まり返った。
…………………………………………………………………………………
赤色灯が等間隔に並ぶ薄暗い空間。
アームで頭上に吊られた無影灯、バイタルを測定する数々の精密機器が並ぶ空間はさながら手術室のようである。
薬品の並ぶ鉄製の棚の中に、10センチほどの分厚いファイルが収納されていた。静かに扉を開け、両手でそれを取り出す。
無造作に書類が散らばっている作業台の上に鈍器のようなファイルを置き、手早く中身を確認していく。
「……あった。コレだな…」
人骨を使ったオルゴールの作成方法と人体への埋没処理。小型ハンネス機関との連結方法。
オルゴール造形師であったオルバス・シェスカが遺した最高傑作、シェリアーナ・シェスカを造り変える為の設計図である。
異端本拠地の最上階に忍び込んでいた麗慈は、無事に今回の作戦の目標物を発見していた。
それは、持参してきた布製のトートバッグにファイルを仕舞い込み、早々に現場を離れようとしていた時であった。
両開きのドアが勢い良く開き、白い半面をつけた男と七三分けのスーツ姿の男が室内に入ってきたのだ。棚の配置によって彼等からは見えない場所にいた麗慈であったが、発見されるのも時間の問題であった。
手に持った懐中電灯で辺りを照らすユリエルは、ズカズカと足音を立てながら麗慈が身を潜めている方向へと進んで来た。続いて椙浦も棚と天井の隙間や作業台の下までくまなくライトで照らしていく。
迫り来る二人分の足音が目の前で止まり、懐中電灯の眩い光が麗慈を捉えた。
「……此処も違いましたか。書庫の方を探してみましょう」
「あぁ…」
再び両開きのドアが勢い良く開け放たれ、ユリエルと椙浦の二人はかなり急いだ様子で部屋を後にした。
完全に足音が聞こえなくなり、麗慈は静かに息を吐く。確かに真正面で対峙し、懐中電灯の明かりを向けられた筈。しかし、二人にはまるで麗慈の姿が見えていないかのような反応をしていた。
「あれ以上近付いて来られたらどうしようかと思ったけど…良かったわね」
静まり返った室内に響く彼女の声。
奏でる音は空気中の水分を特定の周波数で振動させて光の反射角を歪める。すると、周囲にいた筈の人や物の姿を認識できなくなるのだ。
麗慈の隣には、茅沙紀によって殺害された筈の梓の姿があった。
もちろん、亡霊ではない。
「やーっぱりアンタは私がついててあげないとダメだなぁ。死んだって聞かされて、どうだった?泣いちゃった?」
ニヤニヤとしたり顔で尋ねてくる梓を睨みつけた麗慈。
鬼頭の運転するワゴンに乗りニュー千代田区画に向かう途中、彼のPHSは1件のメールを受信していた。
送り主は師匠の梓であった。
殺害された筈の梓からのメール。しかしこの時、麗慈は特段驚く様子も見せなかった。
彼もまた、計画の一部に加担した人間だったからである。
…………………………………………………………………………………
京哉が日本に戻り極楽町に潜る少し前……麗慈が管理する品川の医院に身を置いていた託斗からの『お願い』からこの作戦は急始動した。
「今回は一つ電話を入れてもらうだけで良いんだ。簡単なお願いだろ?」
託斗から麗慈へのお願い。それは、贔屓にしている葬儀屋に連絡をして『新鮮な死体を一人分融通してもらう』というもの。
死体を用意して行う事など数が知れているが、その中でも今回の目的は死を偽装するという事であった。
「今日燃やす予定だったのを一人分確保してもらった。何処に運ぶか教えろだと」
端末の受話器の部分を手で押さえて振り返った麗慈は、診察室で談笑していた託斗に尋ねた。
「あぁ、君のお師匠さんの家だよ。都営団地わかる?」
何故?と顔に書かれた表情で小首を傾げた麗慈に歩み寄った託斗は、手のひらを上に向けて右手を差し出してきた。PHSを寄越せ、という意味である。
麗慈から端末を奪い取った託斗は、咳払いをしてから電話先の相手ににこやかに話しかけた。
「どうもー、ご無沙汰してまーす」
『おや、この声は右神様ですね。こちらこそ、ご無沙汰しております』
楽団が贔屓にしている葬儀屋…もとい、遺体回収屋の男は託斗と面識のあるようであった。
「ごめんね、急に。場所は八王子の都営団地で、今から向かってもらえる?敦賀っていうオジサンが駐車場で待っててくれてるから」
『ツルガさん、ですね。承知いたしました。すぐに出発致します』
手短に通話を済ませ、託斗は麗慈に端末を投げ返す。
「那珂島茅沙紀の処刑日が決まったって、本社から通達があった。まぁ、湯河原の別荘を出た時にはもうそういう段取りに入ってた訳なんだけどさ…」
「あぁ…やっぱりそうなったか。結局楽団には入らなかったんだな」
楽団本社には秘密裏に茅沙紀を保護している。梓は本人にそう説明をしていたものの、そもそもそのような勝手が罷り通る筈がない。
報告義務を怠り、組織の掟に反する者の末路については旋律師としての経験が長い梓が一番良く理解している。楽団の調査網を掻い潜る事など無理に等しいのだ。
事実、茅沙紀の件に関しては発電所爆破後に帰国した託斗からロジャーの耳にもしっかりと聞き及んでいた。
日本政府によって迫害を受け、地下に追いやられて利用され続けていたオーケストラの一員であった茅沙紀が宇迦之御魂神に触れたのは不可抗力によるものであった。
楽団としても元の所有者が第17楽章の楽譜を手放す事態になった責任を取る意味でも彼女の処刑に関しては憂慮期間を設けてはいたのだ。
そして、音楽家であった彼女が望み、適性さえあれば仲間になる事もできた。
しかし、それら全ての可能性を捨てる羽目になったのは異端による謀略と、彼女自身の心の弱さに他ならない。
…………………………………………………………………………………
楽団調査班による徹底マークによって、茅沙紀がニュー千代田区画の病院を出る際、既に異端の人間と接触していた事は調査済みであった。
異端は言葉巧みに彼女を利用し、楽団に対して何らかの攻撃を仕掛けようとしている。
敵の思惑通り、茅沙紀は京哉達の保護下に入った。
……かのように見せかけていたのだ。
託斗の思惑によって。
茅沙紀は超絶技巧を暗譜している唯一の非旋律師。異端としては利用しない手は無い。
必ず彼女に接近する筈だと踏んだ託斗は、異端が茅沙紀を懐柔し引き入れる瞬間を狙おうと画策したのだ。
託斗の狙いは、自分の曲を盗作し続ける人間を引き摺り出す事。
宇迦之御魂神の一件に麗慈を関与させたのは託斗の独断であった。
理由は二つ。まず、発電所が崩壊する際の自滅プログラムによって地下オーケストラの人間が全員殺害される事態は想定の範囲内であり、茅沙紀の生命維持の為に大己貴命を奏でる彼を現場に仕向けたのだ。
そしてもう一つは、本来表立った戦闘に不向きである麗慈を敢えて『楽団の人間である』と政府や警察に強く印象付ける事によって、彼に日本を一時的に離れさせる理由を作る為である。
爆発事件の後、顔写真を撮影されて特別手配をされた京哉と麗慈は国外の任務に向かわされている。麗慈には託斗から予め、自身が預かりきれなくなれば信頼できる人間に預けるように、と言付けていた。自然な形で茅沙紀が彼の元を離れ、梓の保護下に入るように仕向けていたのだ。
全ては、異端の盗作犯に文句を言ってやろうという託斗の目的の為であった。
そうして、託斗と関わりの深い梓と茅沙紀の間に繋がりが出来れば、敵は必ずそこを突いて来ようとする筈。
楽団の精鋭達に取り囲まれ、手を出す事が出来ない要たる存在に唯一接近する為の方法……それは、託斗自身が一人で出向くだけの理由を作る事より他無い。
異端は茅沙紀を使い、頃合いを見て梓を攻撃してくる筈である。
…………………………………………………………………………………
梓が狙われるという前提のもと、楽団上層部は茅沙紀を旋律師として迎え入れられなかった場合の処刑の段取りを進めていた。
異端と手を組む可能性が出てきた彼女が超絶技巧を暗譜している事は楽団としては由々しき事態である為だ。
当初、上層部は異端の動きとは関係無く、京哉を使って茅沙紀を処刑する事を考えていた。しかし、それに待ったをかけたのは託斗である。
諸々の事情、託斗自身の思惑を知ったロジャーは最終的に彼の策に乗ったのだ。そして、作戦を遂行するべく一人の人間を梓の元にアサインした。
それが、敦賀侑儞である。彼は楽団御用達の工作員であり、死体の偽造や現場状況の改竄を行って敵の目を欺いたり警察の捜査を撹乱する役割を担う職人であった。
異端が最も茅沙紀に接近するのは、彼女を預かっている梓を亡き者にしたタイミングであろう。現役でないにしても旋律師一人を殺害するには骨が折れる事を彼らは理解していた。その点、近しい間柄となった茅沙紀を利用すれば警戒される事なく成し遂げる事ができる筈だと、敵は考えていたようだった。
都営団地にて椙浦が茅沙紀を呼び出した晩、勿論梓はその動きに気が付き、尾行していた。そして、相手から姿を認識されなくなる技を利用し、茅沙紀を使った自身の殺害計画を真正面で全て聞いていたのだ。
家族と自身の生命が危機的状況にあるという虚偽の説明を受け、いよいよ事態が大きく動きそうだという時……オーストリアの楽団本社内で、ペネムがシェリアーナに隠された秘密を解き明かす為の重大なヒントを暴露した。
異端が所持しているオルバス・シェスカの設計図が大きな手掛かりになる、と。
託斗の思惑を叶える為、楽団の掟による部外者の粛清、そして敵の中枢に入り込む重大な理由…それらが重なったタイミングで、ロジャーはアサインしていた敦賀を現地に向かわせたのだ。
椙浦からの指示によって思い悩む茅沙紀の疑念に拍車を掛け、もう後がないのだと彼女を追い詰める為に。
[47] Recitativo Ⅲ 完
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