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#076 Gavotte
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東京都・40代男性「就任以降、ずっと彼の秘書として活動を支えてまいりました。でも時々不安になります。自分は間違った事をしているのではないかと…。越権行為は承知の上で止められる程の度胸が私にあれば…」
…………………………………………………………………………………
破壊されたビル群の中心で、瓦礫の山の上に立って高く腕を伸ばした京哉。
彼の頭上に大きな影が迫り、美しいハクトウワシが腕に舞い降りてきた。
背中に括り付けられた小包を取り外してやると、嬉しそうに京哉の顔に頭を擦り付けている。
「何やアレ?捕食されとるんか?」
廃ビルの中から京哉の様子を眺めていた阿須賀が恐ろしい事を口走る。
「伝書鳩みてぇなもんだ。たまにああやってちょっとした荷物も運んでくれる可愛い仲間さ」
鬼頭の説明を聞き終わるタイミングで、振り上げた腕からハクトウワシが飛び立って行った。
一夜を過ごした廃ビルから出た一向は、総理官邸を目指していた。志麻凌壱が首相の都野崎に贔屓にされているならば、彼と近い場所にいるのではないかと踏んでいる京哉達。
現在地からは徒歩1時間圏内であり、敵に見つからないように回り道や足止めを食らったとしても昼前には到着する算段である。
「あっちに到着したら、敢えて目に付く行動を取る。殺したと報告した相手が生きてたんじゃあ、向こうは面目丸潰れで正気じゃいられねぇだろうな」
「題して、バチボコカチコミ大作戦…とでも言いましょうか!」
鬼頭と道夫が話す後ろで阿須賀が苦笑いを浮かべていた。
「大作戦っちゅう程のこともしとらんやろ、ソレ。あと、目に付く行動いうてもどないすんの?」
もっともな指摘をされて二人は頭を悩ませる。そこは考えていなかったのかと、呆れ顔を見せる阿須賀は京哉に何か良いアイデアはあるのかと尋ねた。
「やっぱり、片っ端からボコしていく?そういうの得意じゃん、アッスー」
「せやから、反社やない言うとるやろが!」
いつものやりとりを聴きながら、何か思いついた様子の祐介がスッと手を挙げた。「ハイ、仁道くんっ!」と京哉が指名する。
「目立つ必要は無いんじゃないかな?志麻凌壱の中で阿須賀くんは死んだ事になってるなら、その事を最大限に利用してみる…とか?」
…………………………………………………………………………………
志麻家を出てから、凌壱は都野崎の好意で総理官邸内の一室で生活をしていた。
都野崎は近年の総理大臣としては珍しく所帯を持っていない。その為、敷地内には空き部屋が多く秘書の男にも部屋を貸し出していた。
朝起きて顔を合わせるのは、秘書の男と使用人。そして、たまに都野崎本人と遭遇する。東京の街中で好き放題に暴れ回っていた時と比べれば実に張り合いの無い毎日になってしまった。
しかし、これこそが都野崎が理想とする未来の日本における国民の生き方なのだと凌壱は考えていた。不平不満の無い裕福な生活の中では争い事も生まれない、と。
自分が都野崎の理想の世界に生きる人間に選ばれた事に、凌壱は優越感を覚えていた。
邸宅の裏に突貫工事で増設された倉庫。この場所に、生産された弍式自鳴琴が納品されていく。強烈な腐敗臭を除去する為のファンが常時フルパワーで稼働しており、そのモーター音でそれ以外の物音は非常に聞き取りづらい。
シエナの脳をコピーした擬似脳を格納する為の人体。彼らはどのような経緯でこの役割を担うに至ったのだろうか。
もともと死んだ人間だったのか。それとも兵器を造るために殺されたのだろうか。
それすらも、凌壱は知らなかった。何も知らないまま、彼らを使って多くの命を奪い続けているのである。
表面だけ腐敗防止処理を施された子供の死体の頭部と鉄製の箱とを繋ぐ太いシールドに血が伝っていた。汚い物を見るかのように顔を顰めた凌壱は、鉄の箱から伸びるUSBケーブルをPC端末に刺す。
弐式自鳴琴は自走式ではあるが、行動パターンはプログラミングによって決まる。納品されたばかりの状態ではただの死体と鉄屑なのである。逆に言えば、如何様にも自分の好きな様にその動きを制御することができるという訳だ。
次の掃討作戦に備えて機械兵器の整備をする凌壱がPC端末の画面を凝視している時、突如倉庫内の電源が落ちた。
真っ暗闇の中、バッテリー駆動の端末の画面だけが眩く光っている。ブレーカーが落ちたのだろうか。パイプ椅子から立ち上がって歩き出した凌壱の背後から青白い光が一瞬駆け抜けて倉庫内が熱気に包まれる。何事かと振り返るも、暗闇の中で光る端末画面のみが見えた。
周囲を警戒しながらゆっくりと歩き出した凌壱は、後ろ手に出入り口の取手を掴んだ。しかし、建て付けが悪い訳でもないのに扉がビクともしない。鍵は自分が持っている筈なのに。
バタンという物が落下するような大きな音が響き、凌壱は思わず声を上げた。
「誰かいるのか!?」
しん…と耳が痛くなる程静まり返った倉庫内。人間は一人しかいない筈。
そう、生きた人間は……。
オカルトの類いなど信じる性分ではない凌壱であったが、この場所にはあまりにも念が溜まり過ぎている。死んだ子供の頭蓋骨を開けて改造を施した呪物のようなものが所狭しと並べられているのだ。
信じぬ者でも、もしや…と疑ってしまう。
…………………………………………………………………………………
凌壱は意を決してズカズカと音の聞こえた方に進んで行った。ダンボールや書類を乱暴に退かし、物影に誰か潜んでやいないかと躍起になって探し出す。
そして、子供の死体と対になった鉄の箱が並んでいた場所の前を通りかかった時、彼は足首が何かに触れたようや感覚を覚える。
慌てて足元に視線を落とすと、白く細い腕が箱の間から伸び、両手で足首を鷲掴みにしていた。
「っ何だ!?」
さすがの凌壱もこれには驚いた様子で、手首を強引に振り払ってその場を離れた。そして、辿り着いた先の目の前の棚が大きく揺れ始め、収納してあった書類の束が続け様に床の上に落下した。
普通ではないことが起こっている。危機感を感じ、再び出口の方に向かおうと踵を返したその時……扉の隙間から僅かに入り込む日光によって、逆光のシルエットが浮かび上がっていた。
「……お前…そんな筈は……確実に死んだ筈だ……何でこんな所にいるんだよ!!阿須賀ァっ!!!」
次第に恐怖が増していったのか、凌壱は大声でその名を叫んだ。
…………………………………………………………………………………
「……凌壱兄さん……いや、志麻凌壱……。やっぱな、アンタの前歯折っただけじゃ死ぬに死にきれんでな、戻ってきたんよ……地獄の底から」
チャッとグランドのサングラスを上げた阿須賀は、床を蹴って凌壱との距離を一気に詰める。そして、思い切り振りかぶった右の拳で彼の左頬を殴り付けた。
全体重の乗った重いストレートに、凌壱はPCの置いてあるデスクの所まで吹き飛ばされ、激しい音を立てながら地面に倒れた。
鼻血を垂らしながらはくはくと息を漏らすワイシャツの襟首を鷲掴みにした阿須賀は、その小柄な身体からは想像もつかないような怪力で凌壱を無理矢理引き起こす。
「なにヘバっとんのや?あ?自分、何人殺したかわかっとらんのやろ。ボタン一つで全部片付けてまう便利なロボ手に入れて調子付いとったんやもんな?」
今度は左フックで顎を打ち付ける。また何本か歯が折れたようで口から血をボタボタと流す彼を床に投げ捨てた阿須賀は、細い目を更に細めて告げた。
「……掛かってこい…勝負じゃ」
拳を構えた阿須賀を見て、何とか立ち上がった凌壱は一目散にPCの方に向かっていった。
「クソっ……クソがあぁっ!今度こそ八つ裂きにしてやる!死ね阿須賀アァッ!!」
エンターキーを力強く叩く音が響き、彼の背後に並ぶ弐式自鳴琴が起動する。しかし、激しいモーター音がこだまするだけで、阿須賀に襲い掛かろうという気配は無い。
鉄製の箱、その殆どがドロドロに溶かされた状態で固まっていた。先程放たれた青白い光は京哉によるものであった。弐式自鳴琴の変形前の金属ボディは溶解し自走不能状態になっていた。
「何で…どうしてこんな事に……っ!?」
狼狽える凌壱に一歩、また一歩と歩み寄る阿須賀。その足音が聞こえる度に悲鳴を上げる。堪らず逃げ出そうとした凌壱の足首に、また白い腕がからまりついていた。今度は4人分だ。
「やめろっ!!俺は言われた事をやっただけだ!!責任なら都野崎に取らせろっ!!」
往生際の悪い凌壱は足をジタバタさせて掴んでくる手を振り解こうとするが、今度は物凄い力で掴まれているようで一向に離れてくれない。
「……カッコ悪ぅて涙出てくるわ。他人のせい?すごいな、アンタ。あんだけの事やっといて自分は何も悪くないんか」
「俺は仕事でやってんだ!選ばれた人間なんだよ俺ァ!!お前らみてぇなク…」
戯言をほざく凌壱の右頬に、2発目のストレートがめり込む。大きく仰け反って子供達の死体の間へと仰向けで背中を叩き付けられた。
ゲホゲホと激しく咳き込む凌壱の腰に跨った阿須賀は、襟首を掴んで上体を引き上げる。至近距離で睨み付ければ、凌壱は肩を震わせた。
「…何でもエエわ、もう」
唸るように低い声で凄んだ阿須賀は、じっと真っ直ぐに凌壱の目を見据えながら続けた。
「ワシを殺そうとして…椿を使うたよな、アンタ。何でワシが銃で自分の首撃ち抜いた後、椿の事殺したんや?……なぁ……何でや?」
振り上げた拳が真っ直ぐ鼻にめり込む。鼻血をダラダラと流し続ける凌壱の目の前でもう一度拳を振り上げれば、唇をパクパクと忙しなく動かしながら歯の抜けた発音で慌てて言葉を発した。
「ッ……アイツは…俺に復讐しようと……」
「ああ、そうか……椿が怖かったんか」
マウントポジションから何度も振り下ろされる拳が凌壱の顔にヒットする。呻き声は段々と小さくなり、白目を剥く凌壱。
無表情のままもう一度振り上げた腕を、京哉が後ろから掴んで抑えた。
「もう良いよ、阿須賀。こんなの、殺す価値も無い。今日は自警団のやり方で…だろ?」
フルフルと震える拳の力が抜け、静かに腕を降ろす阿須賀。床の上で昏倒する憎き仇を静かに見下ろして、これが最後だと吐き捨てる。
「何度もアンタに手を差し伸べた仲間がいた事を忘れんなや。ソイツを全部振り払って、身勝手に生きた落とし前がコレやからな。後悔せぇ…生きてる限りずっと…」
ぴくりとも動かなくなった凌壱の上から立ち上がった阿須賀は暫く俯く。ラウンドのサングラスを外し、アロハシャツの裾でレンズに付着している返り血を拭き取りながら京哉の方を見上げた。
「コレでエエ……エエよな?」
「ああ…ジィちゃんも、椿も…皆もきっと安心してる」
新宿自警団として、凌壱に制裁を下す。
目標を達成した阿須賀の表情は晴れ晴れとしていた。
…………………………………………………………………………………
「みんなもありがとな、協力してくれて」
阿須賀の呼び掛けに、物影に隠れていた面々がひょこっと顔を出した。
ブレーカーを落として、凌壱の足に掴まり、棚を揺らす。まるでお化け屋敷のような演出を考え付いたのは祐介であった。凌壱は阿須賀の事を殺したと思い込んでいる。ならば、亡霊として彼の前に化けて出てやろう…と。
「こんなに上手くいくなんて思ってなかったな。シェリーちゃんの掴み方がすごいソレっぽくて良かったよ」
祐介に褒められ、シェリーは両手をワキワキとさせる。
「京哉殿、コレを見てくだされ!」
道夫に呼ばれた京哉は、煌々と光続けているPC端末の画面を覗き込んだ。
「…弐式自鳴琴……操作プログラミング…」
京哉にとって、その名称は初めて目にするものであった。
零式、壱式と続き、弐式と呼ばれる凌壱が扱っていた機械兵器。それらに関係性が無い訳がない。オルバスの設計図に記載されていた零式の形状と酷似した機械兵器はやはり、零式を模して政府側が作成したものなのだろう。
「ふむふむ…なるほど……この程度であれば、ぼくでも命令の書き換えが出来そうですな。幸い、画面は編集モードのままです」
「え、道夫さん…プログラミングとかもできんだ」
感心する京哉の目の前で、道夫はカタカタとリズミカルにキーボードを叩いていく。
そしてものの数分で打ち込んだコードを流し込み、マウスを使って別のコマンドを開く。
「2度とあの様な恐ろしい兵器を作動させない為に、こちらのパソコン内のOSを破壊するウィルスを作成しますぞ。機械兵器とを繋ぐサーバにもこっそりと潜ませておけば、いくら端末を挿げ替えようともたちまちシステムダウン……ふふ、お陀仏という訳であります」
メガネのレンズがキラリと反射し、ムフフと楽しげな道夫は一心不乱にキーボードを叩き続けた。
「やるなぁ、道夫さん…僕はそういうのからっきしだからスゲー尊敬しちゃうわ」
道夫の肩越しに、ほぉー…と感動の溜め息を漏らす京哉は、ふと彼の手の動きが止まる様子に首を傾げた。
「道夫さん?」
「……ぼくは腕っ節も弱いし運動神経も皆無ですからな。これぐらいしか……」
彼はこれまでずっと、仲間達に守られているだけの自分を不甲斐なく感じていた。
異端の企みに巻き込まれたとは言え、責任から逃れる為に駆け込んで来た六本木の廃ビルで京哉達と出会った道夫。
何度も危険な敵と遭遇するうちに、手先の器用さも趣味で蓄えた知識も、特殊な能力を持つ人間達との戦いでは何の役にも立たないのだと痛感していたのだ。
一度で良いから、皆の役に立ちたい。道夫はかねてよりそう思い続けていた。
「慕ってくれた皆様のお役に立てるのなら、何だってやりますぞ…京哉殿」
「…助かるよ、道夫さん。頼んだぜ」
道夫の肩を力強く叩いた京哉は、棚の上に飛び乗って開きっぱなしになっていた通気ダクトの中に入っていった。
狭いダクト内を匍匐前進で移動し、屋外に出る。内側からは開かないように針金で細工した扉を元に戻している時であった。
倉庫内から聞こえた数回の破裂音。
そして、数秒の後にもう一回…。
京哉にはその音の正体が何なのかすぐにわかった。聞き慣れている……間違いなく銃声だ。
急いで細工を取り払い、勢い良く引き戸をスライドさせる。
…………………………………………………………………………………
拳銃を握っていたのは凌壱であった。眉間には風穴が開いており、既に死亡している。そして、彼の最も近く…PCで作業をしていた道夫はデスクに寄り掛かった姿勢でヒューヒューと浅い息を繰り返している。
「道夫さんっ!」
駆け出した京哉が彼の傍にたどり着いた時、丁度最後の一文字の入力が終わった。そして、力の入らない人差し指でエンターキーを押す。
ズルズルと床に吸い込まれていった道夫の背中を支え、京哉は必死の形相で呼び掛けた。
「道夫さん!ダメだっ!こんな所で……折角仲良くなれたじゃんかっ!」
「ふふ…京哉殿……光栄ですぞ…」
そう言い残した道夫の腕が床に投げ出される。腹からとめどなく流れる血が床に広がっていった。
腕の中で一つの命が消えていく。京哉は歯を食いしばりながら、半開きのままの道夫の瞼をそっと閉じさせた。
自分があの時殺しておけば。そんな後悔の念が阿須賀を支配する。既に絶命している凌壱に馬乗りになり、その頬を力任せに殴り付けていた。
「糞がッ!腐れ外道がッ!どこまで…どこまで醜態晒せば気が済むんじゃ!!起きろ!起きろコラボケッ!!」
「阿須賀、ヤメロ…」
鬼頭に背後から羽交い締めにされた阿須賀は、それでも凌壱に殴り掛かろうともがいていた。
顔面蒼白になっているシェリーの傍で彼女の肩を支えていた祐介。チカチカと瞬いていたPC画面に視線を移すと、道夫が流し込んだウィルスによって表示が文字化けと虫食いだらけになっていた。そして、上部から徐々にブラックアウトしていき、終いには画面全体が黒くなる。
「銃声は倉庫の中からだ!侵入者に警戒しろ!」
外から聞こえてきた怒号と複数の足音。先程の銃声を聞き付けてやってきた総理官邸周りの警護の者であろう。
発見される前に逃げなければならない。シェリーの手を握って倉庫を飛び出した祐介、それに続いて阿須賀を引き摺る鬼頭。最後に、道夫を抱えて倉庫から出ようとした京哉であったが彼の服の裾がデスクの金具に引っかかってしまって抜けなくなっていた。
「京哉!早くしろ!」
鬼頭の怒鳴り声を耳にし、グッと眉間に力を込めた京哉は道夫の体を床の上に置いて立ち上がった。
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昼過ぎに総理官邸に戻ってきた都野崎は、捜査員が出入りする倉庫内に足を踏み入れた。
腐敗臭の漂う屋内、床に横たわる二人の遺体と血溜まり。そして、ウィルスに犯されて機能停止したPC端末…。
「防犯カメラ映像の確認は?」
背後に控えていた秘書の男が、タブレット画面を操作し始める。
「一時的な停電が発生し、倉庫内の防犯カメラの映像は記録されていませんでした。……近くの街頭に付けられていたカメラからは…遠目にですが、6名の侵入者の姿が送られてきています」
拡大した写真を目の前に差し出され、視線を落とす都野崎。倉庫に向かう人の列の中の一人、床に倒れている道夫と身体的特徴が一致している。
「弐式の稼働もこれまでだ。異端には生産を中止するように早急に連絡を入れろ」
「…は、はいっ」
頭を下げた秘書の男が倉庫から出て電話を掛ける様子を一瞥した都野崎は二人の死体の方に視線を戻した。遺体収容袋に収められた凌壱と目が合う。
「馬鹿と鋏は……とはよく言うが…七白、彼は使い道の無い馬鹿だったようだ」
誰にも聞こえない程小さな声量で呟き、踵を返す。
22区内の掃討作戦は計画の7割程が完遂されていた。建物の解体、区民の追い出しはいずれも順調に進んでおり、瓦礫まみれの街は地獄の様相を呈していた。
ここから新たな東京、新たな日本の建設が始まっていく。理想通りの日本が築き上げられる日も近い。そう信じて突き進んできた都野崎の未来に暗い影を落とす存在に、彼はまだ気が付いていなかったのだ。
[76] Gavotte 完
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破壊されたビル群の中心で、瓦礫の山の上に立って高く腕を伸ばした京哉。
彼の頭上に大きな影が迫り、美しいハクトウワシが腕に舞い降りてきた。
背中に括り付けられた小包を取り外してやると、嬉しそうに京哉の顔に頭を擦り付けている。
「何やアレ?捕食されとるんか?」
廃ビルの中から京哉の様子を眺めていた阿須賀が恐ろしい事を口走る。
「伝書鳩みてぇなもんだ。たまにああやってちょっとした荷物も運んでくれる可愛い仲間さ」
鬼頭の説明を聞き終わるタイミングで、振り上げた腕からハクトウワシが飛び立って行った。
一夜を過ごした廃ビルから出た一向は、総理官邸を目指していた。志麻凌壱が首相の都野崎に贔屓にされているならば、彼と近い場所にいるのではないかと踏んでいる京哉達。
現在地からは徒歩1時間圏内であり、敵に見つからないように回り道や足止めを食らったとしても昼前には到着する算段である。
「あっちに到着したら、敢えて目に付く行動を取る。殺したと報告した相手が生きてたんじゃあ、向こうは面目丸潰れで正気じゃいられねぇだろうな」
「題して、バチボコカチコミ大作戦…とでも言いましょうか!」
鬼頭と道夫が話す後ろで阿須賀が苦笑いを浮かべていた。
「大作戦っちゅう程のこともしとらんやろ、ソレ。あと、目に付く行動いうてもどないすんの?」
もっともな指摘をされて二人は頭を悩ませる。そこは考えていなかったのかと、呆れ顔を見せる阿須賀は京哉に何か良いアイデアはあるのかと尋ねた。
「やっぱり、片っ端からボコしていく?そういうの得意じゃん、アッスー」
「せやから、反社やない言うとるやろが!」
いつものやりとりを聴きながら、何か思いついた様子の祐介がスッと手を挙げた。「ハイ、仁道くんっ!」と京哉が指名する。
「目立つ必要は無いんじゃないかな?志麻凌壱の中で阿須賀くんは死んだ事になってるなら、その事を最大限に利用してみる…とか?」
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志麻家を出てから、凌壱は都野崎の好意で総理官邸内の一室で生活をしていた。
都野崎は近年の総理大臣としては珍しく所帯を持っていない。その為、敷地内には空き部屋が多く秘書の男にも部屋を貸し出していた。
朝起きて顔を合わせるのは、秘書の男と使用人。そして、たまに都野崎本人と遭遇する。東京の街中で好き放題に暴れ回っていた時と比べれば実に張り合いの無い毎日になってしまった。
しかし、これこそが都野崎が理想とする未来の日本における国民の生き方なのだと凌壱は考えていた。不平不満の無い裕福な生活の中では争い事も生まれない、と。
自分が都野崎の理想の世界に生きる人間に選ばれた事に、凌壱は優越感を覚えていた。
邸宅の裏に突貫工事で増設された倉庫。この場所に、生産された弍式自鳴琴が納品されていく。強烈な腐敗臭を除去する為のファンが常時フルパワーで稼働しており、そのモーター音でそれ以外の物音は非常に聞き取りづらい。
シエナの脳をコピーした擬似脳を格納する為の人体。彼らはどのような経緯でこの役割を担うに至ったのだろうか。
もともと死んだ人間だったのか。それとも兵器を造るために殺されたのだろうか。
それすらも、凌壱は知らなかった。何も知らないまま、彼らを使って多くの命を奪い続けているのである。
表面だけ腐敗防止処理を施された子供の死体の頭部と鉄製の箱とを繋ぐ太いシールドに血が伝っていた。汚い物を見るかのように顔を顰めた凌壱は、鉄の箱から伸びるUSBケーブルをPC端末に刺す。
弐式自鳴琴は自走式ではあるが、行動パターンはプログラミングによって決まる。納品されたばかりの状態ではただの死体と鉄屑なのである。逆に言えば、如何様にも自分の好きな様にその動きを制御することができるという訳だ。
次の掃討作戦に備えて機械兵器の整備をする凌壱がPC端末の画面を凝視している時、突如倉庫内の電源が落ちた。
真っ暗闇の中、バッテリー駆動の端末の画面だけが眩く光っている。ブレーカーが落ちたのだろうか。パイプ椅子から立ち上がって歩き出した凌壱の背後から青白い光が一瞬駆け抜けて倉庫内が熱気に包まれる。何事かと振り返るも、暗闇の中で光る端末画面のみが見えた。
周囲を警戒しながらゆっくりと歩き出した凌壱は、後ろ手に出入り口の取手を掴んだ。しかし、建て付けが悪い訳でもないのに扉がビクともしない。鍵は自分が持っている筈なのに。
バタンという物が落下するような大きな音が響き、凌壱は思わず声を上げた。
「誰かいるのか!?」
しん…と耳が痛くなる程静まり返った倉庫内。人間は一人しかいない筈。
そう、生きた人間は……。
オカルトの類いなど信じる性分ではない凌壱であったが、この場所にはあまりにも念が溜まり過ぎている。死んだ子供の頭蓋骨を開けて改造を施した呪物のようなものが所狭しと並べられているのだ。
信じぬ者でも、もしや…と疑ってしまう。
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凌壱は意を決してズカズカと音の聞こえた方に進んで行った。ダンボールや書類を乱暴に退かし、物影に誰か潜んでやいないかと躍起になって探し出す。
そして、子供の死体と対になった鉄の箱が並んでいた場所の前を通りかかった時、彼は足首が何かに触れたようや感覚を覚える。
慌てて足元に視線を落とすと、白く細い腕が箱の間から伸び、両手で足首を鷲掴みにしていた。
「っ何だ!?」
さすがの凌壱もこれには驚いた様子で、手首を強引に振り払ってその場を離れた。そして、辿り着いた先の目の前の棚が大きく揺れ始め、収納してあった書類の束が続け様に床の上に落下した。
普通ではないことが起こっている。危機感を感じ、再び出口の方に向かおうと踵を返したその時……扉の隙間から僅かに入り込む日光によって、逆光のシルエットが浮かび上がっていた。
「……お前…そんな筈は……確実に死んだ筈だ……何でこんな所にいるんだよ!!阿須賀ァっ!!!」
次第に恐怖が増していったのか、凌壱は大声でその名を叫んだ。
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「……凌壱兄さん……いや、志麻凌壱……。やっぱな、アンタの前歯折っただけじゃ死ぬに死にきれんでな、戻ってきたんよ……地獄の底から」
チャッとグランドのサングラスを上げた阿須賀は、床を蹴って凌壱との距離を一気に詰める。そして、思い切り振りかぶった右の拳で彼の左頬を殴り付けた。
全体重の乗った重いストレートに、凌壱はPCの置いてあるデスクの所まで吹き飛ばされ、激しい音を立てながら地面に倒れた。
鼻血を垂らしながらはくはくと息を漏らすワイシャツの襟首を鷲掴みにした阿須賀は、その小柄な身体からは想像もつかないような怪力で凌壱を無理矢理引き起こす。
「なにヘバっとんのや?あ?自分、何人殺したかわかっとらんのやろ。ボタン一つで全部片付けてまう便利なロボ手に入れて調子付いとったんやもんな?」
今度は左フックで顎を打ち付ける。また何本か歯が折れたようで口から血をボタボタと流す彼を床に投げ捨てた阿須賀は、細い目を更に細めて告げた。
「……掛かってこい…勝負じゃ」
拳を構えた阿須賀を見て、何とか立ち上がった凌壱は一目散にPCの方に向かっていった。
「クソっ……クソがあぁっ!今度こそ八つ裂きにしてやる!死ね阿須賀アァッ!!」
エンターキーを力強く叩く音が響き、彼の背後に並ぶ弐式自鳴琴が起動する。しかし、激しいモーター音がこだまするだけで、阿須賀に襲い掛かろうという気配は無い。
鉄製の箱、その殆どがドロドロに溶かされた状態で固まっていた。先程放たれた青白い光は京哉によるものであった。弐式自鳴琴の変形前の金属ボディは溶解し自走不能状態になっていた。
「何で…どうしてこんな事に……っ!?」
狼狽える凌壱に一歩、また一歩と歩み寄る阿須賀。その足音が聞こえる度に悲鳴を上げる。堪らず逃げ出そうとした凌壱の足首に、また白い腕がからまりついていた。今度は4人分だ。
「やめろっ!!俺は言われた事をやっただけだ!!責任なら都野崎に取らせろっ!!」
往生際の悪い凌壱は足をジタバタさせて掴んでくる手を振り解こうとするが、今度は物凄い力で掴まれているようで一向に離れてくれない。
「……カッコ悪ぅて涙出てくるわ。他人のせい?すごいな、アンタ。あんだけの事やっといて自分は何も悪くないんか」
「俺は仕事でやってんだ!選ばれた人間なんだよ俺ァ!!お前らみてぇなク…」
戯言をほざく凌壱の右頬に、2発目のストレートがめり込む。大きく仰け反って子供達の死体の間へと仰向けで背中を叩き付けられた。
ゲホゲホと激しく咳き込む凌壱の腰に跨った阿須賀は、襟首を掴んで上体を引き上げる。至近距離で睨み付ければ、凌壱は肩を震わせた。
「…何でもエエわ、もう」
唸るように低い声で凄んだ阿須賀は、じっと真っ直ぐに凌壱の目を見据えながら続けた。
「ワシを殺そうとして…椿を使うたよな、アンタ。何でワシが銃で自分の首撃ち抜いた後、椿の事殺したんや?……なぁ……何でや?」
振り上げた拳が真っ直ぐ鼻にめり込む。鼻血をダラダラと流し続ける凌壱の目の前でもう一度拳を振り上げれば、唇をパクパクと忙しなく動かしながら歯の抜けた発音で慌てて言葉を発した。
「ッ……アイツは…俺に復讐しようと……」
「ああ、そうか……椿が怖かったんか」
マウントポジションから何度も振り下ろされる拳が凌壱の顔にヒットする。呻き声は段々と小さくなり、白目を剥く凌壱。
無表情のままもう一度振り上げた腕を、京哉が後ろから掴んで抑えた。
「もう良いよ、阿須賀。こんなの、殺す価値も無い。今日は自警団のやり方で…だろ?」
フルフルと震える拳の力が抜け、静かに腕を降ろす阿須賀。床の上で昏倒する憎き仇を静かに見下ろして、これが最後だと吐き捨てる。
「何度もアンタに手を差し伸べた仲間がいた事を忘れんなや。ソイツを全部振り払って、身勝手に生きた落とし前がコレやからな。後悔せぇ…生きてる限りずっと…」
ぴくりとも動かなくなった凌壱の上から立ち上がった阿須賀は暫く俯く。ラウンドのサングラスを外し、アロハシャツの裾でレンズに付着している返り血を拭き取りながら京哉の方を見上げた。
「コレでエエ……エエよな?」
「ああ…ジィちゃんも、椿も…皆もきっと安心してる」
新宿自警団として、凌壱に制裁を下す。
目標を達成した阿須賀の表情は晴れ晴れとしていた。
…………………………………………………………………………………
「みんなもありがとな、協力してくれて」
阿須賀の呼び掛けに、物影に隠れていた面々がひょこっと顔を出した。
ブレーカーを落として、凌壱の足に掴まり、棚を揺らす。まるでお化け屋敷のような演出を考え付いたのは祐介であった。凌壱は阿須賀の事を殺したと思い込んでいる。ならば、亡霊として彼の前に化けて出てやろう…と。
「こんなに上手くいくなんて思ってなかったな。シェリーちゃんの掴み方がすごいソレっぽくて良かったよ」
祐介に褒められ、シェリーは両手をワキワキとさせる。
「京哉殿、コレを見てくだされ!」
道夫に呼ばれた京哉は、煌々と光続けているPC端末の画面を覗き込んだ。
「…弐式自鳴琴……操作プログラミング…」
京哉にとって、その名称は初めて目にするものであった。
零式、壱式と続き、弐式と呼ばれる凌壱が扱っていた機械兵器。それらに関係性が無い訳がない。オルバスの設計図に記載されていた零式の形状と酷似した機械兵器はやはり、零式を模して政府側が作成したものなのだろう。
「ふむふむ…なるほど……この程度であれば、ぼくでも命令の書き換えが出来そうですな。幸い、画面は編集モードのままです」
「え、道夫さん…プログラミングとかもできんだ」
感心する京哉の目の前で、道夫はカタカタとリズミカルにキーボードを叩いていく。
そしてものの数分で打ち込んだコードを流し込み、マウスを使って別のコマンドを開く。
「2度とあの様な恐ろしい兵器を作動させない為に、こちらのパソコン内のOSを破壊するウィルスを作成しますぞ。機械兵器とを繋ぐサーバにもこっそりと潜ませておけば、いくら端末を挿げ替えようともたちまちシステムダウン……ふふ、お陀仏という訳であります」
メガネのレンズがキラリと反射し、ムフフと楽しげな道夫は一心不乱にキーボードを叩き続けた。
「やるなぁ、道夫さん…僕はそういうのからっきしだからスゲー尊敬しちゃうわ」
道夫の肩越しに、ほぉー…と感動の溜め息を漏らす京哉は、ふと彼の手の動きが止まる様子に首を傾げた。
「道夫さん?」
「……ぼくは腕っ節も弱いし運動神経も皆無ですからな。これぐらいしか……」
彼はこれまでずっと、仲間達に守られているだけの自分を不甲斐なく感じていた。
異端の企みに巻き込まれたとは言え、責任から逃れる為に駆け込んで来た六本木の廃ビルで京哉達と出会った道夫。
何度も危険な敵と遭遇するうちに、手先の器用さも趣味で蓄えた知識も、特殊な能力を持つ人間達との戦いでは何の役にも立たないのだと痛感していたのだ。
一度で良いから、皆の役に立ちたい。道夫はかねてよりそう思い続けていた。
「慕ってくれた皆様のお役に立てるのなら、何だってやりますぞ…京哉殿」
「…助かるよ、道夫さん。頼んだぜ」
道夫の肩を力強く叩いた京哉は、棚の上に飛び乗って開きっぱなしになっていた通気ダクトの中に入っていった。
狭いダクト内を匍匐前進で移動し、屋外に出る。内側からは開かないように針金で細工した扉を元に戻している時であった。
倉庫内から聞こえた数回の破裂音。
そして、数秒の後にもう一回…。
京哉にはその音の正体が何なのかすぐにわかった。聞き慣れている……間違いなく銃声だ。
急いで細工を取り払い、勢い良く引き戸をスライドさせる。
…………………………………………………………………………………
拳銃を握っていたのは凌壱であった。眉間には風穴が開いており、既に死亡している。そして、彼の最も近く…PCで作業をしていた道夫はデスクに寄り掛かった姿勢でヒューヒューと浅い息を繰り返している。
「道夫さんっ!」
駆け出した京哉が彼の傍にたどり着いた時、丁度最後の一文字の入力が終わった。そして、力の入らない人差し指でエンターキーを押す。
ズルズルと床に吸い込まれていった道夫の背中を支え、京哉は必死の形相で呼び掛けた。
「道夫さん!ダメだっ!こんな所で……折角仲良くなれたじゃんかっ!」
「ふふ…京哉殿……光栄ですぞ…」
そう言い残した道夫の腕が床に投げ出される。腹からとめどなく流れる血が床に広がっていった。
腕の中で一つの命が消えていく。京哉は歯を食いしばりながら、半開きのままの道夫の瞼をそっと閉じさせた。
自分があの時殺しておけば。そんな後悔の念が阿須賀を支配する。既に絶命している凌壱に馬乗りになり、その頬を力任せに殴り付けていた。
「糞がッ!腐れ外道がッ!どこまで…どこまで醜態晒せば気が済むんじゃ!!起きろ!起きろコラボケッ!!」
「阿須賀、ヤメロ…」
鬼頭に背後から羽交い締めにされた阿須賀は、それでも凌壱に殴り掛かろうともがいていた。
顔面蒼白になっているシェリーの傍で彼女の肩を支えていた祐介。チカチカと瞬いていたPC画面に視線を移すと、道夫が流し込んだウィルスによって表示が文字化けと虫食いだらけになっていた。そして、上部から徐々にブラックアウトしていき、終いには画面全体が黒くなる。
「銃声は倉庫の中からだ!侵入者に警戒しろ!」
外から聞こえてきた怒号と複数の足音。先程の銃声を聞き付けてやってきた総理官邸周りの警護の者であろう。
発見される前に逃げなければならない。シェリーの手を握って倉庫を飛び出した祐介、それに続いて阿須賀を引き摺る鬼頭。最後に、道夫を抱えて倉庫から出ようとした京哉であったが彼の服の裾がデスクの金具に引っかかってしまって抜けなくなっていた。
「京哉!早くしろ!」
鬼頭の怒鳴り声を耳にし、グッと眉間に力を込めた京哉は道夫の体を床の上に置いて立ち上がった。
…………………………………………………………………………………
昼過ぎに総理官邸に戻ってきた都野崎は、捜査員が出入りする倉庫内に足を踏み入れた。
腐敗臭の漂う屋内、床に横たわる二人の遺体と血溜まり。そして、ウィルスに犯されて機能停止したPC端末…。
「防犯カメラ映像の確認は?」
背後に控えていた秘書の男が、タブレット画面を操作し始める。
「一時的な停電が発生し、倉庫内の防犯カメラの映像は記録されていませんでした。……近くの街頭に付けられていたカメラからは…遠目にですが、6名の侵入者の姿が送られてきています」
拡大した写真を目の前に差し出され、視線を落とす都野崎。倉庫に向かう人の列の中の一人、床に倒れている道夫と身体的特徴が一致している。
「弐式の稼働もこれまでだ。異端には生産を中止するように早急に連絡を入れろ」
「…は、はいっ」
頭を下げた秘書の男が倉庫から出て電話を掛ける様子を一瞥した都野崎は二人の死体の方に視線を戻した。遺体収容袋に収められた凌壱と目が合う。
「馬鹿と鋏は……とはよく言うが…七白、彼は使い道の無い馬鹿だったようだ」
誰にも聞こえない程小さな声量で呟き、踵を返す。
22区内の掃討作戦は計画の7割程が完遂されていた。建物の解体、区民の追い出しはいずれも順調に進んでおり、瓦礫まみれの街は地獄の様相を呈していた。
ここから新たな東京、新たな日本の建設が始まっていく。理想通りの日本が築き上げられる日も近い。そう信じて突き進んできた都野崎の未来に暗い影を落とす存在に、彼はまだ気が付いていなかったのだ。
[76] Gavotte 完
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