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第一章 凍てつく春と、雪解けのメス
第4話 鉄仮面と、瞳の奥にある熱
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食堂のざわめきの中、皐月の隣でハンバーグを平らげた雷久保が、大げさに腕時計を確認して立ち上がった。
「さてと。そろそろオペの時間だから行こうか、桐也」
「うん。じゃあね、美雲。また後で」
桐也が美雲に優しく手を振り、雷久保の背中を追う。
対照的な二人の背中を見送りながら、皐月はふぅと息をついた。
「……ねえ、皐月ちゃん」
向かいの席に残った美雲が、不思議そうに首をかしげている。
「雷久保先生と何話してたの?」
皐月は箸を止め、さきほどの会話を思い返した。
「なんか……『なんで皮膚科医になったの?』って、唐突に聞かれてびっくりしちゃいました」
「へぇ……動機かぁ」
美雲は目を丸くした。
「私、研修医の頃に形成外科ローテでお世話になったし、飲み会とかでも一緒になるけど、そんな真面目なこと聞かれたことないなぁ。いつも『今日の髪型かわいいね』とか適当なことばっかりだし」
「そうなんですね……。あ、あと、去り際に『雨宮先生によろしく』って言ってましたけど、お知り合いなんですかね?」
皐月の問いに、美雲は「ああ」と納得したように頷く。
「あの二人、同期ですごく仲が良いらしいよ」
「えっ!?」
皐月は、素っ頓狂な声を出した。
「水と油に見えるでしょ? でも、お互い優秀だし、何か通じ合うものがあるみたい」
想像がつかない。
この病院には、皐月の知らない人間関係が蜘蛛の巣のように張り巡らされているようだ。
*
昼食を終え、美雲とは外来ブースの前で別れた。
「私は午後、一般外来だからこっちの診察室ね。皐月ちゃんは雨宮先生の陪席だよね?頑張って!」
「はい、ありがとうございます……!」
美雲の笑顔に励まされ、皐月は深呼吸をしてから「第3診察室」のプレートがかかったドアをノックした。
「失礼します」
重い扉を開けると、そこには静寂があった。
診察開始まであと10分。
雨宮はデスクに向かい、何か書類仕事をしていた。
積み上げられたカルテの隙間から、モニターの光が彼の眼鏡を反射させている。
手元にあるのは、おそらく論文の査読資料か何かだろう。
雪村に見せつけられたあの難解な世界を、この人も当たり前のように生きているのだ。
彼は視線を上げずにキーボードを叩き続けていたが、ふいに手を止めた。
「……来たか」
低く、落ち着いた声。
「座れ」
顎で自分の後ろの丸椅子を示される。
皐月は緊張で強張る体を無理やり動かし、言われた席にちょこんと座った。
雨宮がくるりと椅子を回転させ、皐月の方を向く。
「私の午後の専門外来は『皮膚悪性腫瘍』がメインだ。極めて予後不良な疾患も扱う」
淡々とした口調だが、告げられた言葉の重さに、皐月は息を呑んだ。
「皮膚がんは死なない、というのは一部の話だ。ここに来る患者たちは、すでに確定診断を受け、転移や再発の恐怖と隣り合わせで生きている。……彼らの人生を背負う覚悟がないなら、今すぐ出ていけ」
眼鏡の奥の瞳が、射抜くように皐月を見据えた。
怖い。けれど、その厳しさは皐月個人への攻撃ではなく、患者の命に対する誠実さから来ているのだと、直感的にわかった。
「……勉強させていただきます。よろしくお願いいたします」
皐月が頭を下げると、雨宮はふい、と視線を逸らし、「始めるぞ」と短く告げた。
専門外来は、一般外来とは全く異なる重苦しい空気が支配していた。
訪れる患者さんたちは皆、すでに「がん」と宣告された人たちだ。
雨宮は、手術後の経過観察や、抗がん剤治療中の患者さん一人一人と向き合っていく。
決して、「大丈夫ですよ」といった安易な慰めは言わない。
しかし、手つきは驚くほど優しく、患者さんの不安を受け止めるように穏やかだった。
夕方に差し掛かった頃、一人の女性患者が入ってきた。
以前からメラノーマで通院し、術後の補助療法を続けていた方だ。今日の結果説明のために、娘さんも付き添っている。
雨宮は、モニターに映し出されたCT画像を静かに指し示した。
「……残念ですが、肺への新たな転移が見つかりました」
その瞬間、診察室の空気が凍りついた。 患者の女性が小さく息を呑み、娘さんが口元を押さえて泣き崩れる。
「そんな……先生、もうダメなんですか……? 手術も頑張ったのに……」
絞り出すような娘さんの問いに、胸が詰まる。
雨宮はモニターを見つめ、冷静に次の治療法を考えている。
それが医師として一番正しい姿だとは分かっている。
けれど、目の前で震えている彼女たちを、ただ見ていることなんてできなかった。
皐月はそっと立ち上がり、泣いている娘さんの背中に手を添えた。
ポケットからティッシュを取り出し、震える手に握らせる。
「……っ」
娘さんがハッとして顔を上げた。
皐月は何も言わず、ただ「ここにいますよ」と伝えるように、ゆっくりと背中をさすった。
医学的な言葉は何も言えない。でも、あなたの悲しみは分かります、と。
その小さな温もりが伝わったのか、娘さんの号泣が少しずつ静かな嗚咽へと変わっていく。
雨宮が、ゆっくりと口を開いた。
「いいえ、まだ終わりではありません」
力強い、確信に満ちた声だった。
「従来の薬の効果は薄れてしまいましたが、今は新しい免疫チェックポイント阻害薬があります。あなたの体力なら、まだ戦える選択肢がある」
その言葉は、単なる慰めではなかった。
膨大な知識と最新の知見、そして経験に裏打ちされた、医師としての「覚悟」だった。
涙を流しながらも、患者さんの瞳に微かな希望の光が宿るのを、皐月は見た。
「……お願いします、先生……」
診察が終わり、患者さんが退室した後も、皐月はしばらく動けなかった。
胸が熱かった。
(すごい……)
これが、本物の医者だ。 医学という武器で、絶望を希望に変える力。
それに比べて、私はただ背中をさすることしかできなかった。
出過ぎた真似だったかもしれない。
(怒られるかな……)
最後のカルテを書き終えた雨宮が、ふぅ、と小さく息を吐き、眼鏡の位置を直した。
外はもう暗くなっている。
彼は背もたれに体を預け、皐月の方を振り向いた。
「明日は病棟回診があるからな。今のうちに入院患者の状態をもう一度確認しておけ」
「……はい! ありがとうございます!」
素っ気ない指示。
皐月が安堵と少しの落胆を感じながら、「失礼します」と頭を下げて退室しようとした、その時だった。
「……それと」
雨宮が呼び止めた。
振り返ると、彼はモニターを見たまま、独り言のようにボソリと言った。
「……いいフォローだった」
「え?」
「今の患者には、医学的な正しさだけでなく、安心感が必要だった。……お前がいてくれて助かった」
予想外の言葉に、皐月の心臓が跳ねた。
顔を上げると、雨宮は作業に戻っていた。
(……認めて、くれた?)
知識だけじゃない。
私の「心」の部分も、この人は見ていてくれたのだ。
胸の奥がじわりと温かくなる。
窓ガラスに打ち付ける雨音が、心なしか優しく聞こえた、その時だった。
コンコン。
ノックと共に、診察室のドアが軽快に開いた。
「潤一、まだ終わんないのー? 飯行こうぜ」
白衣をラフに着崩した雷久保が、当然のように顔を出した。
彼は皐月を見つけると、猫のように目を細めてニヤリと笑った。
「お、皐月ちゃんも一緒か。お疲れー」
「あ、お疲れ様です……」
「へぇ……」
雷久保は、頬を紅潮させた皐月と、そっぽを向いている雨宮を交互に見比べ、楽しそうに喉を鳴らした。
「なんかいい雰囲気じゃん。潤一が新人にデレるなんて、明日は槍でも降るか?」
その言葉に、雨宮の指がピタリと止まる。
室内の温度が、一度下がった気がした。
雨宮はモニターを見たまま、凍えるような声で言った。
「……雷久保。くだらないことを言うな」
「はいはい。でもさぁ、こんなツーショット……」
雷久保は意地悪く口角を上げ、爆弾を投下した。
「五十嵐が見たら、泣いちゃうかもねぇ」
五十嵐。
その名前が出た瞬間、皐月の肩がビクリと跳ねた。
心臓が早鐘を打つ。
どうしてここで、彼の名前が出るの?
雷久保先生は、私と五十嵐の過去を知っているの?
恐る恐る雨宮を見ると、眼鏡の奥の瞳が、剣呑に細められていた。
「……お前こそ、余計なちょっかいを出すなよ」
明確な牽制。
しかし、雷久保は動じるどころか、さらに口角を上げて肩をすくめた。
「さあね。それはどうだろうなー」
不敵な笑みを残し、雷久保は「先に行ってるぞ」と手を振って出て行った。
バタン、と扉が閉まる。 再び訪れた静寂の中、雨宮の深いため息が落ちた。
皐月は戸惑いながらも、二人の間に流れた奇妙な火花のようなものを感じ取っていた。
そして、不意に出された「五十嵐」という名前に、封印したはずの胸のざわめきが蘇るのを止められなかった。
「さてと。そろそろオペの時間だから行こうか、桐也」
「うん。じゃあね、美雲。また後で」
桐也が美雲に優しく手を振り、雷久保の背中を追う。
対照的な二人の背中を見送りながら、皐月はふぅと息をついた。
「……ねえ、皐月ちゃん」
向かいの席に残った美雲が、不思議そうに首をかしげている。
「雷久保先生と何話してたの?」
皐月は箸を止め、さきほどの会話を思い返した。
「なんか……『なんで皮膚科医になったの?』って、唐突に聞かれてびっくりしちゃいました」
「へぇ……動機かぁ」
美雲は目を丸くした。
「私、研修医の頃に形成外科ローテでお世話になったし、飲み会とかでも一緒になるけど、そんな真面目なこと聞かれたことないなぁ。いつも『今日の髪型かわいいね』とか適当なことばっかりだし」
「そうなんですね……。あ、あと、去り際に『雨宮先生によろしく』って言ってましたけど、お知り合いなんですかね?」
皐月の問いに、美雲は「ああ」と納得したように頷く。
「あの二人、同期ですごく仲が良いらしいよ」
「えっ!?」
皐月は、素っ頓狂な声を出した。
「水と油に見えるでしょ? でも、お互い優秀だし、何か通じ合うものがあるみたい」
想像がつかない。
この病院には、皐月の知らない人間関係が蜘蛛の巣のように張り巡らされているようだ。
*
昼食を終え、美雲とは外来ブースの前で別れた。
「私は午後、一般外来だからこっちの診察室ね。皐月ちゃんは雨宮先生の陪席だよね?頑張って!」
「はい、ありがとうございます……!」
美雲の笑顔に励まされ、皐月は深呼吸をしてから「第3診察室」のプレートがかかったドアをノックした。
「失礼します」
重い扉を開けると、そこには静寂があった。
診察開始まであと10分。
雨宮はデスクに向かい、何か書類仕事をしていた。
積み上げられたカルテの隙間から、モニターの光が彼の眼鏡を反射させている。
手元にあるのは、おそらく論文の査読資料か何かだろう。
雪村に見せつけられたあの難解な世界を、この人も当たり前のように生きているのだ。
彼は視線を上げずにキーボードを叩き続けていたが、ふいに手を止めた。
「……来たか」
低く、落ち着いた声。
「座れ」
顎で自分の後ろの丸椅子を示される。
皐月は緊張で強張る体を無理やり動かし、言われた席にちょこんと座った。
雨宮がくるりと椅子を回転させ、皐月の方を向く。
「私の午後の専門外来は『皮膚悪性腫瘍』がメインだ。極めて予後不良な疾患も扱う」
淡々とした口調だが、告げられた言葉の重さに、皐月は息を呑んだ。
「皮膚がんは死なない、というのは一部の話だ。ここに来る患者たちは、すでに確定診断を受け、転移や再発の恐怖と隣り合わせで生きている。……彼らの人生を背負う覚悟がないなら、今すぐ出ていけ」
眼鏡の奥の瞳が、射抜くように皐月を見据えた。
怖い。けれど、その厳しさは皐月個人への攻撃ではなく、患者の命に対する誠実さから来ているのだと、直感的にわかった。
「……勉強させていただきます。よろしくお願いいたします」
皐月が頭を下げると、雨宮はふい、と視線を逸らし、「始めるぞ」と短く告げた。
専門外来は、一般外来とは全く異なる重苦しい空気が支配していた。
訪れる患者さんたちは皆、すでに「がん」と宣告された人たちだ。
雨宮は、手術後の経過観察や、抗がん剤治療中の患者さん一人一人と向き合っていく。
決して、「大丈夫ですよ」といった安易な慰めは言わない。
しかし、手つきは驚くほど優しく、患者さんの不安を受け止めるように穏やかだった。
夕方に差し掛かった頃、一人の女性患者が入ってきた。
以前からメラノーマで通院し、術後の補助療法を続けていた方だ。今日の結果説明のために、娘さんも付き添っている。
雨宮は、モニターに映し出されたCT画像を静かに指し示した。
「……残念ですが、肺への新たな転移が見つかりました」
その瞬間、診察室の空気が凍りついた。 患者の女性が小さく息を呑み、娘さんが口元を押さえて泣き崩れる。
「そんな……先生、もうダメなんですか……? 手術も頑張ったのに……」
絞り出すような娘さんの問いに、胸が詰まる。
雨宮はモニターを見つめ、冷静に次の治療法を考えている。
それが医師として一番正しい姿だとは分かっている。
けれど、目の前で震えている彼女たちを、ただ見ていることなんてできなかった。
皐月はそっと立ち上がり、泣いている娘さんの背中に手を添えた。
ポケットからティッシュを取り出し、震える手に握らせる。
「……っ」
娘さんがハッとして顔を上げた。
皐月は何も言わず、ただ「ここにいますよ」と伝えるように、ゆっくりと背中をさすった。
医学的な言葉は何も言えない。でも、あなたの悲しみは分かります、と。
その小さな温もりが伝わったのか、娘さんの号泣が少しずつ静かな嗚咽へと変わっていく。
雨宮が、ゆっくりと口を開いた。
「いいえ、まだ終わりではありません」
力強い、確信に満ちた声だった。
「従来の薬の効果は薄れてしまいましたが、今は新しい免疫チェックポイント阻害薬があります。あなたの体力なら、まだ戦える選択肢がある」
その言葉は、単なる慰めではなかった。
膨大な知識と最新の知見、そして経験に裏打ちされた、医師としての「覚悟」だった。
涙を流しながらも、患者さんの瞳に微かな希望の光が宿るのを、皐月は見た。
「……お願いします、先生……」
診察が終わり、患者さんが退室した後も、皐月はしばらく動けなかった。
胸が熱かった。
(すごい……)
これが、本物の医者だ。 医学という武器で、絶望を希望に変える力。
それに比べて、私はただ背中をさすることしかできなかった。
出過ぎた真似だったかもしれない。
(怒られるかな……)
最後のカルテを書き終えた雨宮が、ふぅ、と小さく息を吐き、眼鏡の位置を直した。
外はもう暗くなっている。
彼は背もたれに体を預け、皐月の方を振り向いた。
「明日は病棟回診があるからな。今のうちに入院患者の状態をもう一度確認しておけ」
「……はい! ありがとうございます!」
素っ気ない指示。
皐月が安堵と少しの落胆を感じながら、「失礼します」と頭を下げて退室しようとした、その時だった。
「……それと」
雨宮が呼び止めた。
振り返ると、彼はモニターを見たまま、独り言のようにボソリと言った。
「……いいフォローだった」
「え?」
「今の患者には、医学的な正しさだけでなく、安心感が必要だった。……お前がいてくれて助かった」
予想外の言葉に、皐月の心臓が跳ねた。
顔を上げると、雨宮は作業に戻っていた。
(……認めて、くれた?)
知識だけじゃない。
私の「心」の部分も、この人は見ていてくれたのだ。
胸の奥がじわりと温かくなる。
窓ガラスに打ち付ける雨音が、心なしか優しく聞こえた、その時だった。
コンコン。
ノックと共に、診察室のドアが軽快に開いた。
「潤一、まだ終わんないのー? 飯行こうぜ」
白衣をラフに着崩した雷久保が、当然のように顔を出した。
彼は皐月を見つけると、猫のように目を細めてニヤリと笑った。
「お、皐月ちゃんも一緒か。お疲れー」
「あ、お疲れ様です……」
「へぇ……」
雷久保は、頬を紅潮させた皐月と、そっぽを向いている雨宮を交互に見比べ、楽しそうに喉を鳴らした。
「なんかいい雰囲気じゃん。潤一が新人にデレるなんて、明日は槍でも降るか?」
その言葉に、雨宮の指がピタリと止まる。
室内の温度が、一度下がった気がした。
雨宮はモニターを見たまま、凍えるような声で言った。
「……雷久保。くだらないことを言うな」
「はいはい。でもさぁ、こんなツーショット……」
雷久保は意地悪く口角を上げ、爆弾を投下した。
「五十嵐が見たら、泣いちゃうかもねぇ」
五十嵐。
その名前が出た瞬間、皐月の肩がビクリと跳ねた。
心臓が早鐘を打つ。
どうしてここで、彼の名前が出るの?
雷久保先生は、私と五十嵐の過去を知っているの?
恐る恐る雨宮を見ると、眼鏡の奥の瞳が、剣呑に細められていた。
「……お前こそ、余計なちょっかいを出すなよ」
明確な牽制。
しかし、雷久保は動じるどころか、さらに口角を上げて肩をすくめた。
「さあね。それはどうだろうなー」
不敵な笑みを残し、雷久保は「先に行ってるぞ」と手を振って出て行った。
バタン、と扉が閉まる。 再び訪れた静寂の中、雨宮の深いため息が落ちた。
皐月は戸惑いながらも、二人の間に流れた奇妙な火花のようなものを感じ取っていた。
そして、不意に出された「五十嵐」という名前に、封印したはずの胸のざわめきが蘇るのを止められなかった。
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