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第60話 心優しいイケメン
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もうこれ以上引き伸ばしてもしょうがないので、僕はマリア嬢のフルネームを不本意であるが、呼んであげることにした。
「マリア・ハーネスト」
「――!? フルネームなんて他人行儀みたいじゃない! 名前で呼んでちょうだい!」
「へぇ!?」
僕はマリア嬢とは赤の他人なんだけど…… 仕方がない。
「マリア(棒)」
「そんな言い方じゃ、私にあなたの愛は伝わらないわ」
この汚嫁はどこまでも自分勝手なんだ。これだから不倫脳はたちが悪い。これ以上、長引かせるのも疲れるので普通に呼んでみた。
「マリア」
「もっと言って!」
マリアしつこい……
「マリア マリア」
「もっと もっと 私の名前を呼んで! 私にあなたの愛を感じさせて!」
「マリア マリア マリア マリア!」
僕はコイツらにこれ以上、関わりたくないので要求通りにしてみた。
「……………………」
僕が気が付くと、マリアは床の上に倒れ込んでいた。
「おい、どうした 返事をしろ」
僕が駆け寄り、身体を揺さぶろうとしたが、汚嫁であっても女性の身体に触ること自体セクハラになるため、教室に置いてあった棒でマリアの身体をつついてみた。メアリー嬢立ち会いのもと行い、つついた場所は頭限定にしておいた。顔から下を棒であってもつつくのはセクハラ的にNGになるためだ。お胸様やお尻様をつついた日には社会的制裁が待っている。
『つん つん』
「……………………」
返事がない。ただの屍のようだ。
「もう一度、棒でつついてみよう」
僕は犯罪者になりたくない為、メアリー嬢に己の身の潔白を証明するためにあえて声を掛けた。
「そ、そうね。もう一度、意識があるか確認してみましょう」
メアリー嬢は快く、賛同してくれた。
「了解した」
『つん つん つんつんつんつん バキッ』
つい手元が狂ってしまい、マリアの頭を殴打してしまった。
――許せ。汚嫁
「無いわ…… これは無いわ…… 今のは流石に無いわ……」
メアリー嬢がポツリと溢した。
「いや、今のは手が滑っただけで故意は無い」
「故意が無くても、女の子の頭を棒で殴打するなんて信じられない!」
「メアリー嬢。君も見てただろう? 僕はただマリアの頭をつついただけだ! 頭を殴打したのも僕の不注意での出来事だ」
「もうマリアの事は呼び捨てにしてるのね」
急に話の論点をすり替えられてしまった。
「それは……」
僕が返事に困っていると
「呼び捨てにしたくらいで、もう彼氏気取りなのね……」
メアリー嬢はとんでもない事を言い始めた。
「えっ!? そんなわけ無いじゃないか。僕はマリアの彼氏でもないし、何とも思っていない! 信じてくれ!」
「そうやって、いつも女性に言って口説いているんでしょ? 私、騙されないんだから」
――!? 僕は神に誓ってむやみやたらに口説いたりしない。何故ならそれはヘタレだから…… 悲しいなぁ
「それは誤解だ。寂しかったんだ! 気の迷いだったんだ! 許してくれ! も、もう一度チャンスをくれないか?」
どこから見てもW不倫をした旦那が奥さんにばれて、テンプレ通りの言い訳をしているようにしか見えない。
メアリー嬢は最後に毒舌を吐いた。
「そこに転がっている汚嫁とあなたはこれから先の転落人生がお似合いよ! ざまぁ!」
まさに不倫した旦那に離婚と慰謝料、財産分与破棄、子供の養育費を請求し、勝ち誇った姿のメアリー嬢がいた。
「メ。メアリー…… そんな冷たい事は言わないでくれ。これから心を入れ替えるから、どうか許してくれ! 頼む! チャンスを…… もう一度チャンスを……」
『バタン』
――茶番劇をしていたら、急にメアリーが失神してしまった…… きっと、メアリーは不倫されたショックと疲労で倒れてしまったのだろう。許せ、メアリー。
その場に立っているのは、僕一人になってしまった。これが俗に言う、『死骸を乗り越えて行け!』という名言なのだろう。まさか自分がそんな体験をするとは思わなかった。
しかし、彼女たちの死骸をこのままにしておくのはさすがにマズイと思い、収納魔法から緊急避難用グッツを取り出し、簡易枕と毛布を掛けてあげた。イケメン不倫男は気配りの出来る優しい男なのだ。
机の上に置いてあったシン・ジャージのデザイン画を見つけると、この場に居ては殺人者扱いになってしまうと思い、デザイン画を掴み、教室から出ようとした。まさに出ようとした瞬間、教室内に広がる異様な光景にドアに『死体安置所』と書いた紙を貼っておいた方が良いのではと考え込んでしまった……
因みに僕が居なくなってから誰かに彼女達がいたずらされないように痴漢防止魔法を親切心から掛けておいた。これでしばらくは誰も彼女達には指一本触れる事は出来ないだろう。
出来るイケメン不倫男は全てに優しいのだ。
「マリア・ハーネスト」
「――!? フルネームなんて他人行儀みたいじゃない! 名前で呼んでちょうだい!」
「へぇ!?」
僕はマリア嬢とは赤の他人なんだけど…… 仕方がない。
「マリア(棒)」
「そんな言い方じゃ、私にあなたの愛は伝わらないわ」
この汚嫁はどこまでも自分勝手なんだ。これだから不倫脳はたちが悪い。これ以上、長引かせるのも疲れるので普通に呼んでみた。
「マリア」
「もっと言って!」
マリアしつこい……
「マリア マリア」
「もっと もっと 私の名前を呼んで! 私にあなたの愛を感じさせて!」
「マリア マリア マリア マリア!」
僕はコイツらにこれ以上、関わりたくないので要求通りにしてみた。
「……………………」
僕が気が付くと、マリアは床の上に倒れ込んでいた。
「おい、どうした 返事をしろ」
僕が駆け寄り、身体を揺さぶろうとしたが、汚嫁であっても女性の身体に触ること自体セクハラになるため、教室に置いてあった棒でマリアの身体をつついてみた。メアリー嬢立ち会いのもと行い、つついた場所は頭限定にしておいた。顔から下を棒であってもつつくのはセクハラ的にNGになるためだ。お胸様やお尻様をつついた日には社会的制裁が待っている。
『つん つん』
「……………………」
返事がない。ただの屍のようだ。
「もう一度、棒でつついてみよう」
僕は犯罪者になりたくない為、メアリー嬢に己の身の潔白を証明するためにあえて声を掛けた。
「そ、そうね。もう一度、意識があるか確認してみましょう」
メアリー嬢は快く、賛同してくれた。
「了解した」
『つん つん つんつんつんつん バキッ』
つい手元が狂ってしまい、マリアの頭を殴打してしまった。
――許せ。汚嫁
「無いわ…… これは無いわ…… 今のは流石に無いわ……」
メアリー嬢がポツリと溢した。
「いや、今のは手が滑っただけで故意は無い」
「故意が無くても、女の子の頭を棒で殴打するなんて信じられない!」
「メアリー嬢。君も見てただろう? 僕はただマリアの頭をつついただけだ! 頭を殴打したのも僕の不注意での出来事だ」
「もうマリアの事は呼び捨てにしてるのね」
急に話の論点をすり替えられてしまった。
「それは……」
僕が返事に困っていると
「呼び捨てにしたくらいで、もう彼氏気取りなのね……」
メアリー嬢はとんでもない事を言い始めた。
「えっ!? そんなわけ無いじゃないか。僕はマリアの彼氏でもないし、何とも思っていない! 信じてくれ!」
「そうやって、いつも女性に言って口説いているんでしょ? 私、騙されないんだから」
――!? 僕は神に誓ってむやみやたらに口説いたりしない。何故ならそれはヘタレだから…… 悲しいなぁ
「それは誤解だ。寂しかったんだ! 気の迷いだったんだ! 許してくれ! も、もう一度チャンスをくれないか?」
どこから見てもW不倫をした旦那が奥さんにばれて、テンプレ通りの言い訳をしているようにしか見えない。
メアリー嬢は最後に毒舌を吐いた。
「そこに転がっている汚嫁とあなたはこれから先の転落人生がお似合いよ! ざまぁ!」
まさに不倫した旦那に離婚と慰謝料、財産分与破棄、子供の養育費を請求し、勝ち誇った姿のメアリー嬢がいた。
「メ。メアリー…… そんな冷たい事は言わないでくれ。これから心を入れ替えるから、どうか許してくれ! 頼む! チャンスを…… もう一度チャンスを……」
『バタン』
――茶番劇をしていたら、急にメアリーが失神してしまった…… きっと、メアリーは不倫されたショックと疲労で倒れてしまったのだろう。許せ、メアリー。
その場に立っているのは、僕一人になってしまった。これが俗に言う、『死骸を乗り越えて行け!』という名言なのだろう。まさか自分がそんな体験をするとは思わなかった。
しかし、彼女たちの死骸をこのままにしておくのはさすがにマズイと思い、収納魔法から緊急避難用グッツを取り出し、簡易枕と毛布を掛けてあげた。イケメン不倫男は気配りの出来る優しい男なのだ。
机の上に置いてあったシン・ジャージのデザイン画を見つけると、この場に居ては殺人者扱いになってしまうと思い、デザイン画を掴み、教室から出ようとした。まさに出ようとした瞬間、教室内に広がる異様な光景にドアに『死体安置所』と書いた紙を貼っておいた方が良いのではと考え込んでしまった……
因みに僕が居なくなってから誰かに彼女達がいたずらされないように痴漢防止魔法を親切心から掛けておいた。これでしばらくは誰も彼女達には指一本触れる事は出来ないだろう。
出来るイケメン不倫男は全てに優しいのだ。
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