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第89話 戦略的視察
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ドヤ顔で戦術眼を語り、自己満足に浸っていると、
「専守防衛だと? もし防衛線を敵側に突破されたらどうするんだ?」
父上は、僕の戦術が納得が出来ていないようすだった。
「防衛線は、何重にも配備致します。それに、我が同胞もバーサーカーの如く士気もうなぎ上りで、万が一突破された際は遥か後方には狂乱鬼婦人会が控えさせていただきます。狂乱鬼婦人会の皆様には、お一人につき敵兵800人に当たってもらいます。どうでしょうか、母上?」
狂乱鬼婦人会の恐さは、この国の上層部の者なら誰でも知っている。しかも、人々に恐怖を植え付けるだけではなく、厄介な事に王妃の立場を利用して、インフルエンサー的役割りまでしているという。このフロンガスター王国のガン細胞みたいな存在だ。
「アレク、私達に失礼ですよ。一人につき敵兵800人だなんて。相当、私達をみくびっているのかしら?」
母上はイラついた顔を隠そうとせずに、僕に恐ろしい口調で質問返しをしてきた。
「そんな…… みくびってなど……」
僕はあまりにも恐ろしい母上の気迫に言葉が途切れ途切れになっていると、
「相変わらず馬鹿な息子には苦労させられるわ。まあ良いでしょう。狂乱鬼婦人会一人につき、敵兵2000人で対処してあげるわ」
「母上! なんと狂乱鬼婦人会一人に対して、敵兵2000人だなんて…… 心強い一言を…… 母上、ありがとうございます」
僕はビビりながらも母上にゴマすりをした。
周りを見渡すと、その場にいた一同は本当に一人で敵兵2000人を葬り、さらに血祭り確定に顔面を青白くさせ震えていた。それだけのポテンシャルを持っているのが狂乱鬼婦人会なのだ。
「……………………」
沈黙の時間が流れ、
「では、戦場となりうる箇所の選定があるため、僕はこれで失礼します」
僕はそう言って部屋をあとにした。
◇
自室に戻り、色々と考え事をしていた。
ユリアラ王女が最後に『ざまぁ』と言った意味がようやくわかった気がした。ケーリンネガー国王も酷いことをするよなぁ。ユリアラ王女と結婚まで約束したアイスキー皇太子を無理矢理別れさせるなんて……
ユリアラ王女も僕にその事を打ち明けてくれたら、ユリアラ王女が幸せになるよう、お互い納得のいく形で、幾らでも手を考えたのに…… 最悪、僕の有責で婚約破棄にしても良かったのに…… 実際には冤罪で有責にさせられてしまったけれど……
「今さらユリアラ王女の事を考えてもしょうがないな! あまり後ろを振り向かず、前を見よう。前向きが一番!」
僕は自分自身を慰めるように、独り言を呟いた。
「あとは如何に敵軍を攻城戦を野戦と思わせるかだよな。陣形を展開しやすい場所も把握しておかないとな。明日から視察に行って見るか」
◇
そんな訳でギョシン騎士師団長とウィザード魔法師団長。いつもの愉快な仲間たちを連れてケーリンネガー王国とフロンガスター王国の国境まで来ている。
数日掛けて視察を行い、何ヵ所かケーリンネガー軍が進軍してくるであろうという目星はついた。
続いて、グランプロス帝国国境にも訪れたが、グランプロス帝国とフロンガスター王国の国境には山脈が連なり、大軍を移動する道は限られている。
「ギョシン師団長、ウィザード魔法師団長。出来る限りグランプロス軍の戦力を削りたいが、どうしたら良いと思う。出来れば一網打尽に出来れば上出来なのだが」
「では、一番行軍をしやすい要所を残し、あとは、通れないよう道を封鎖しておきましょう。そして、グランプロス軍の戦力を削りながら、我が軍は退却戦を行い、補給線が延びきったところで包囲戦を仕掛け殲滅させるのです」
ギョシン騎士師団長はなんともエグい作戦を言い出した。
「ギョシン。うん、うん、それはスゲー良い案だな。グランプロス軍のヤツらは勝って進撃してると思ったら、いつの間にか負けてると…… 気づいた時には全軍が全滅しているという悪夢。うん、うん、楽しいなぁ~」
ウィザード魔法師団長はおもちゃを与えられた少年のように目をキラキラと輝かせ上機嫌で話していた。
――まさかとは薄々気が付いていたが、コイツもヤベェ人種の一人だったのか……
「専守防衛だと? もし防衛線を敵側に突破されたらどうするんだ?」
父上は、僕の戦術が納得が出来ていないようすだった。
「防衛線は、何重にも配備致します。それに、我が同胞もバーサーカーの如く士気もうなぎ上りで、万が一突破された際は遥か後方には狂乱鬼婦人会が控えさせていただきます。狂乱鬼婦人会の皆様には、お一人につき敵兵800人に当たってもらいます。どうでしょうか、母上?」
狂乱鬼婦人会の恐さは、この国の上層部の者なら誰でも知っている。しかも、人々に恐怖を植え付けるだけではなく、厄介な事に王妃の立場を利用して、インフルエンサー的役割りまでしているという。このフロンガスター王国のガン細胞みたいな存在だ。
「アレク、私達に失礼ですよ。一人につき敵兵800人だなんて。相当、私達をみくびっているのかしら?」
母上はイラついた顔を隠そうとせずに、僕に恐ろしい口調で質問返しをしてきた。
「そんな…… みくびってなど……」
僕はあまりにも恐ろしい母上の気迫に言葉が途切れ途切れになっていると、
「相変わらず馬鹿な息子には苦労させられるわ。まあ良いでしょう。狂乱鬼婦人会一人につき、敵兵2000人で対処してあげるわ」
「母上! なんと狂乱鬼婦人会一人に対して、敵兵2000人だなんて…… 心強い一言を…… 母上、ありがとうございます」
僕はビビりながらも母上にゴマすりをした。
周りを見渡すと、その場にいた一同は本当に一人で敵兵2000人を葬り、さらに血祭り確定に顔面を青白くさせ震えていた。それだけのポテンシャルを持っているのが狂乱鬼婦人会なのだ。
「……………………」
沈黙の時間が流れ、
「では、戦場となりうる箇所の選定があるため、僕はこれで失礼します」
僕はそう言って部屋をあとにした。
◇
自室に戻り、色々と考え事をしていた。
ユリアラ王女が最後に『ざまぁ』と言った意味がようやくわかった気がした。ケーリンネガー国王も酷いことをするよなぁ。ユリアラ王女と結婚まで約束したアイスキー皇太子を無理矢理別れさせるなんて……
ユリアラ王女も僕にその事を打ち明けてくれたら、ユリアラ王女が幸せになるよう、お互い納得のいく形で、幾らでも手を考えたのに…… 最悪、僕の有責で婚約破棄にしても良かったのに…… 実際には冤罪で有責にさせられてしまったけれど……
「今さらユリアラ王女の事を考えてもしょうがないな! あまり後ろを振り向かず、前を見よう。前向きが一番!」
僕は自分自身を慰めるように、独り言を呟いた。
「あとは如何に敵軍を攻城戦を野戦と思わせるかだよな。陣形を展開しやすい場所も把握しておかないとな。明日から視察に行って見るか」
◇
そんな訳でギョシン騎士師団長とウィザード魔法師団長。いつもの愉快な仲間たちを連れてケーリンネガー王国とフロンガスター王国の国境まで来ている。
数日掛けて視察を行い、何ヵ所かケーリンネガー軍が進軍してくるであろうという目星はついた。
続いて、グランプロス帝国国境にも訪れたが、グランプロス帝国とフロンガスター王国の国境には山脈が連なり、大軍を移動する道は限られている。
「ギョシン師団長、ウィザード魔法師団長。出来る限りグランプロス軍の戦力を削りたいが、どうしたら良いと思う。出来れば一網打尽に出来れば上出来なのだが」
「では、一番行軍をしやすい要所を残し、あとは、通れないよう道を封鎖しておきましょう。そして、グランプロス軍の戦力を削りながら、我が軍は退却戦を行い、補給線が延びきったところで包囲戦を仕掛け殲滅させるのです」
ギョシン騎士師団長はなんともエグい作戦を言い出した。
「ギョシン。うん、うん、それはスゲー良い案だな。グランプロス軍のヤツらは勝って進撃してると思ったら、いつの間にか負けてると…… 気づいた時には全軍が全滅しているという悪夢。うん、うん、楽しいなぁ~」
ウィザード魔法師団長はおもちゃを与えられた少年のように目をキラキラと輝かせ上機嫌で話していた。
――まさかとは薄々気が付いていたが、コイツもヤベェ人種の一人だったのか……
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